80話 盛り上がった体育祭
引き続き、体育祭当日のお話となっています。
内容的には、午後からの競技の話になります。
いつも通りの未香子視点です。
午前の競技が全て終了し、お昼ご飯を食べた後、午後の競技に移ることになる。お昼ご飯は、教室でクラスメイトだけで昼食を取っていた。何しろ今日は他のクラスは敵扱いとなる為、午前中の反省と午後の対策を、皆で昼食を食べながらも話し合っている。クラス委員が中心となり、クラスメイトに意見を出させていた。
そうしているうちにお昼時間も終了し、午後の競技が始まった。午後一には、ブラスバンドの部活の演奏と、その後には、チアリーダーの部活の演技がある。
これらは、各クラスや紅白での点数には加算されないので、私達にとっては休息の時間のようなものだった。これら2つの部は高等部からの部活であり、高校野球などの大会に出場する時に、応援として駆け付けたりと、色々と多忙な部のようであった。私達の部とは一切関わり合いがなく、今日初めて見学しましたのよ。
ブラスバンドの演奏も、チアの演技もとても素晴らしかったわ。外部生だけではなく、内部生の部員も少々在籍しているようですし、よく統制が取れていたと思う。
衣装も派手過ぎず、また可愛いだけではなく、かっこ良く作られておりました。
私は、ピアノぐらいは弾けますが、金管楽器などは苦手ですし、チアは反射神経がいると思われますから、どちらも入部したいとは思わなかったでしょうね?
それでも、女子生徒達に人気がある部なのだと、よく理解出来ましたわ。
「借り物競争にご出場になる生徒の皆さんは、開場門前までお集まり下さい。」
丁度、今の競技が終了したタイミングで、放送が流れされる。私の出番が迫って来ています…。…はあ~。緊張して来ましたわ…。トンデモナイ要求の指示が出されたら、どうしましょう?体育委員がお題を用意したらしく、毎年お題も変わるようですし、誰がどのお題を当てるかは、全く予測出来ない。お題はくじ引きのようにして、箱の中から私達参加者が、その場で引くのですものね?
誰がどれを当てるか分からないので、お題は誰が引いてもOKなようには、考えられている。部長達上級生の生徒達が、何故か内緒にしている為、油断出来ないわ。内心では、とてもビクビクしているのです。変なお題が出ませんように、と…。
神様!どうか、私が許容範囲のものでお願いしますね。…この際、神様にでも祈っておきましょう。
やがて入場となり、愈々私の番が回って来る…。パンという音を合図に走り出し、お題がある箱まで一直線に走って行く。すると…先に到着している生徒達が、何やらお題が書かれた紙を見るなり、動揺したお顔をしているのですが……。
…何なのかしら…?…途轍もなく…嫌な予感がいたします…。
私も漸く到着して、箱からくじを引くように引き当てた紙を見て、私も…暫く呆けましたわ。…え~と…何をさせたいのですか?まるで、今の私の気持ちにピッタリ過ぎていて、言葉が出て来ませんわね…。先に着いた方々も、今見たばかりの人達も、皆さん戸惑っておられます…。それでも、目的の物を探しに、何処かへ去って行く生徒達。一体、他には…何が書かれているのでしょうね?
私も覚悟を決めて、キッと前を睨むような顔を作ります。…何故か、体育委員の生徒が怯んだような顔をして、少し後ずさりされたのですが…。私は…別に、あなたを睨んだ訳ではないのですよ?…そういう顔にならないと、自分の覚悟に負けてしまいそうでしたのよ…。まあ、こういう選択を選んだ委員さんには、お恨み申しあげますわ……。
そして、私は1年生のクラス席の方を目指して、懸命に走って行く。そして…とあるクラス席で、その人物の名を声高に呼んで…。
「菅 萌々花さん!私と一緒に、来て下さいませんか?」
「えっ!?私?…勿論!OKだよ!」
…そうなのです。私は…Eクラス席に座っている、萌々花さんの名を呼んだのです。彼女は、私がEクラスに来たことにも驚いていて、更に私が名前を呼んだものですから、驚愕していたみたいね?それでも…すぐに、パッと顔の表情を輝かせ、とても嬉しそうにOKしてくださいました。…何か、勘違いされておられるようですが。私のお題にピッタリ合っただっただけですよ?
彼女はにこにこしながら、私の前にやって来たと思ったら、私の手を強く引っ張るようにして、あっという間にゴールしたのであった。お陰で私は…ゼーゼーと、息を荒く吐く羽目になっていた。彼女は「一等取れたね!」と言いながら、ゴールした後に私の方を振り返り、「…あっ!ごめんね、私のペースで走っちゃった…。」と、シュンとした表情になっていた。態とではないのは分かるけど、人にペースを合わせてくださいね!……プンプン!
ゴールに立つ体育委員が、私にお題の紙を見せるように言って来た。もし、このお題が認められない場合、ゴールしたことにはならないのである。まだ息を乱しながらも、何とか紙を手渡すと、委員さんは驚いたように、私と萌々花さんを見比べる。そして、何とも言えない表情で、OKと認めてくれた。この前の出来事が話題になっているからか、すんなり認められたみたいです。……嬉しくない。
お題は、私達参加者の名誉も守る為もあり、人に関するお題は公表しないようで。知られても仕方がないと思っていても、出来れば夕月の名誉の為にも、言いたくなかったの…。ただ…萌々花さんは、委員が見ていた間に、横から覗いて見ていた。内容に驚いて目を見開き、唯々私を見つめていた。やっと仲良くなれた、と思ったばかりで申し訳ないけれど、実は…そういう事ですわ。…悲しそうな顔をしても、無理なのですもの。
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「未香子、おかえり~。大変だったね?」
「未香子ちゃん、おかえり!お題って、何だったの?」
「そうそう、お題を引いた人全員が、戸惑っていたよね?…何か、大きな物を運んでいた生徒もいたよね…。」
「そういえば、あの大きな荷物って、あれって…中身は何だろうね?」
私がクラス席に戻ると同時に、夕月やケーちゃん達が話し掛けて来た。せっちんもよっちゃんも、大きな物体を探して来た人が、気になるみたいね…。
「ええ、ただいま~。あれはね…美術部員の人達で、お題が作品でも良さそうだったから、美術室から運んで来たそうですわ。因みに私のお題は…内緒です。」
私が分かる範囲で説明し、序でに私のお題は、内緒にしてもらいますわよ。
ケーちゃんは、少し不満そうな顔をしましたが、せっちんとよっちゃんは、分かってくれたみたいです。萌々花さんの表情から、何か察したのかもしれませんね?
夕月も「大変だったね。」と言った後は、何も聞いて来ない。大体の事情は、バレていそうですわね?
「さて…と。今度は、私が頑張る番だね?」
そう言って席を立ち、夕月は入場門の方へ歩いて行った。隣のクラスの飛野君も出場するみたいで、夕月に声を掛けている。本当に、この体育祭って、飛野君の為にあるようなものよね?…今年は、幾つ出場していたのかしらね?夕月に負けず劣らず、飛野君も運動神経がいいので、毎年色んな競技に出場してお出でです。
彼が、席に座っている時間の方が、圧倒的に少ないぐらいかしら?よく、身体が持ちますわよね…。体育バカと言いたいけれども、あれでも成績は今も20位以内を保っていて、優秀なのですわ。病院の跡取りですものね?
さて…愈々、夕月の出番ですわ。体育祭最後の競技である、学年別リレーである。
夕月が出場するのは最後列グループで、正に…体育祭最後を飾るに相応しい、場である。学年別なので、3人ずつでは少なすぎるからと、6人ずつで走ることになっていた。夕月はアンカーなので最終組の最後ですし、確実に目立ちますね。
先に、萌々花さんのグループがスタートした。陸上部の彼女も、アンカーのようである。1年の徒競走で夕月に負けた、運動部の推薦の生徒は、この前に行われたクラス別リレーに参加していて、学年別リレーには参加していない。クラス別か学年別のどちらか一方しか選択出来ないので、迷うところでもあるわね。飛野君も今回は、クラス別リレーに参加しており、先に席に戻って来ていた。
萌々花さんは余裕の表情で、1位でゴールしていた。応援する気はなかったが、彼女が走る直前に、夕月が声を掛けていたのが気になってしまって…。多分、夕月のことだから、「頑張って。」と励ましただけだと思う。それでも…何となく気が重くなる。そして、夕月達のグループが走り出したのですが、特別速くはなくて…。
リレーですから、バトンを手渡さなければならないのに、運の悪くバトンを落としてしまい、最後尾になってしまった…。その後の2人が頑張って、4位にまで持ち直して、そこで夕月にバトンが渡った。…夕月、頑張って!
夕月が走り出した途端、あっという間に3位の生徒に追いつき、抜いてしまう。
その後も…怒涛の速さで、トラックを駆け抜けて行き、そしてまた1人抜いては、2位に上がる。クラス席に座っている生徒達は、どのクラス席も立ち見状態となり、大歓声で応援している。走り終えた生徒達も座ったまま、大声で応援しているのが分かる。興奮気味に「北岡く~ん!あと1人!」と、叫んでいた。それでも、夕月には聞こえていないと思う。あと半周でゴールというところで、1位の生徒に追いつき、あっさり抜き去って…。その時の歓声たるや、もう割れんばかりの大盛況であったわね…。
結果、夕月は3人抜き…しましたわ。抜かれた方も皆、最後は握手で夕月を讃えていたのです。…夕月。本当に、お疲れ様でしたわ!
体育祭の当日のお話、その続きpart3です。体育祭の行事自体は、今回で終了となりそうです。でも、まだ結果発表などあるので、あと少しお話は続くかも。
未香子のお題については、さて、何だったのでしょうか?
次回には…はっきりする予定です。




