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君の騎士 ~君を守るために~  作者: 無乃海
第一幕 名栄森学苑1年生編【3部 秋の巻 編】
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79話 面倒くさい奴の扱い方

 前回の続き、体育祭当日のお話となっています。


いつも通りの未香子視点ですが、一部の会話部分だけとなっているところは、特別扱いとなります。(誰視点でもありません。第三者視点。)


 全員参加の競技は、徒競走の他にも幾つかある。大玉転がし、玉入れなどは、全生徒参加である。一応、その時は、赤白の2チームに分かれることになる。

チーム分けは簡単で、A・C・E・Gが赤で、B・D・F・Hが白となる。

内部生と外部生で赤白を分けていた頃もあったらしいけれど、それでは外部生が不利だという意見もあって、今のように変更された。


因みにクラス替えが3年間ないので、この赤白対決もずっと同じである。

それでも面白いことに、毎年赤が勝つとか、白が勝つとかないらしい。

学年優勝は大体決まって来るようですが、そのだけに、この赤白対決では、去年負けた分を取り返しにくるようで…。去年白の勝ちだったので、今年は赤の番だと言われている。


私もこういう全員参加は、嫌いではない。皆でワイワイ騒ぎながら行うのは、楽しいと思っているもの。それに、この2つの競技ならば、そんなに皆に迷惑を掛けることもない。私にとっては、気楽な競技でもあったりする。しかし、実際に参加して見ると、中等部までとは少し趣が違っていた。細かいルールとかも違っていたのもあるけれど、()()()()()()ではなく。何故か上級生達が血走った目をして、気合十分で挑んで来る。ちょっと怖い…と思ってしまう。1年生はほぼ全員、上級生たちの熱意に圧倒され、気後れしていた。


うん…。ちょっと、…というか、大分というか…、気合入り過ぎで怖いですわ…。

結果としては、赤チームが勝っていた。これって、毎年1年生は、上級生に圧倒されているばかりで、きちんと参加できていないのではないかしら?

もしかして、来年には私達も、()()()()のかしらね…。今のところ、全く想像できなくて、どうなったら()()()()のか、首を傾げるばかりである。


先日の登校時に、萌々花(ももか)さんから聞いた話では、公立の学校では、お遊戯みたいな踊りのようなものがあるらしい。小学生低学年では、学年全員で参加し、高学年からは男女に分かれて、5・6年の男子は組体操、5・6・年女子は音楽で舞う踊りもあるとか。中学も同様に男女で、別々の出し物、主に1年男子が組体操、1年女子が踊りなのだそうで。2年・3年になると、男女別々での騎馬戦を行ったりするらしいとか。


勿論これは、萌々花さんが通っていた学校のお話らしいので、全ての公立がこうなのかどうかは分からない。しかし、少なくともこの学苑には、踊りとか組体操とか騎馬戦とかは、全くないのであった。その理由は()()()()()()ではあるが、令息令嬢になるべくケガをさせない、余計な練習をさせないという一言に尽きる。内部生の中には、体育が得意な生徒も存在してはいますが、明らかに体育が苦手な生徒の方が多いのです。


通常授業内の体育ならば大丈夫でも、こういう体育祭のような行事では、1日体育が出来るような生徒はそう多くはないのです。短期的には実力が出せても、長時間では体力が続かないということです。また練習が長期間続くような競技は、この学苑での授業上、時間が取れないこともあり、いつからか競技から消え、練習して一糸乱れずの舞いとか、大勢がケガをしそうなものは一切ないのです。流石に運動会主要種目である、徒競走やリレーを止める訳にもいかず…。


その代わりとして、借り物競争、障害物競争、パン食い競争(実際にはパンではなく、毎年異なる食べ物らしい)とかの競技がある。こうやって考えると、走るものばかりなのですが。まあ、仕方ありませんわね。パン食い競争に関しては、生徒に令息令嬢が多い為、パンを齧って走るというのは下品であると、不人気だったこともあり、1口サイズの口の中に納まるものに変更されており、毎年何になるかも本番まで分からない。萌々花さんは、この競技にも出場するようで。何が出るのか分からないと知って、とても楽しみにしている様子であった。


私が出場する借り物競争は、午後からである。夕月(ゆづ)は午前中に幾つか、競技に参加していた。1人幾つまでとは決まっていないので、体育が得意な人達は掛け持ちをしている。逆に私みたいに運動音痴な人は、全員参加以外では1つだけ、競技に参加すればよい。私が参加出来るとしたら、この3つくらいしかない。所謂消去法で選んだに過ぎない。パン食い競争は恥ずかし過ぎて無理ですし、障害物は飛び越えられないので、残るは借り物だけでしたのよ…。


ここで1番の問題になるのは、お題なのですわ。難題が書かれていましたら、どうしましょう?…簡単なお題に当たるのを、祈るばかりです…。





      *************************





 夕月(ゆづ)はリレーの他には、障害物リレーにも参加していた。障害物は単にハードルだけと思うでしょう?でも、この学苑では違いますのよ。ハードルのほかに網のトンネルもあるし、平均台みたいなのもあり、体育委員が投げてくるボールを躱し、とスリリングな仕掛けがある。借り物・障害物・パン食いは、全て高等部からしかない競技になるので、夕月(ゆづ)も初参加である。


その筈なのに、夕月(ゆづ)はまるで慣れているとでもいうかのように、黙々と障害物を熟して行く。ここでも、2位とは差をつけてゴールした。男女混合であったにも拘らず、圧倒的な勝利である。夕月(ゆづ)のお陰で今のところ、Aクラスが学年トップの成績のようである。次がEクラス、その次にHクラスであった。Bクラスはその次のようであった。


Bクラスには、運動神経のいい飛野(ひの)君が居る。球技大会は大活躍していたけれど、ボール競技と走る競技では若干勝手が違うので、個人種目が多い体育祭は不利のようですわね。それでも、飛野君だけは1位ばかり取っていましたわ。こんなスポーツ少年が何故ゆえに、運動部に入部していないのかしら?(赤羽根(あかばね)部長の所為だったり…しますかしら?)


他にも夕月(ゆづ)は、二人三脚にも、出場していた。夕月(ゆづ)と組める女子が居なくて、男子が組むことに…。ぜひ組みたいと、女子の候補者は大勢名乗り出ましたけれども、息が合わないし、夕月(ゆづ)について行けなかった。仕方なく、鷹野(たかの)君が組むことになりましたが、2人の息がピッタリ過ぎていて、鷹野君への女子の視線が…()()()()()()、怖かった…ですわ。


鷹野君は苦笑するほどで、全然気にしていなかったみたいね?鷹野君って見た目に寄らず、結構、器が大きいですわ。飛野君も二人三脚に出場していたのですが…。夕月(ゆづ)が鷹野君と組んでいるのを見た途端、暫く数分間ぐらい固まっていましたわ。

彼が余りにも動かなくなったので、最終的には、Bクラスのクラスメイト達に回収されて行きました…。


その後、クラス席に着いてからも、飛野君は…ずっと鷹野君を睨んでいる。

…う~ん。無意識なのでしょうが、あからさま過ぎでしょう…。

Aクラスの生徒もBクラスの生徒も、皆ほぼ呆れていたと思う。鷹野君は、ただ単に競技で組んだだけの相手なのに……。結果、飛野君は()()()()()()と認定され、彼が競技に出場する時以外は、完全に放置されていた。


私から言えば、飛野君もクラスの女子も、そう変わらないと思うのですが。

夕月(ゆづ)と鷹野君の2人の息が、ピッタリし過ぎていた所為で、何故か応援している筈の女子達の目が据っていて、非常に怖かったし…。どうも鷹野君が、フツメンなのが気に入らないようで。これが飛野君とかだったら、「まあ。絵になるわぁ。」と許していたのだろう。()()というものは、複雑で摩訶不思議なのです…。


飛野 「彼奴あいつ、鷹野…だったよな。何で彼奴が北城と…。」と、1人でブツブツ呟いている。


木島 「…はあ~。相変わらず、晶麻は、これでバレてないと思ってんだから…。どうする?もうすぐ、コイツ競技だろ?」


田尾 「おい、晶麻。」と声掛けしてから、晶麻の耳元で何か囁く。

飛野 「!! 俺、頑張ってくるわ~!」と、行き成り晶麻が()()()()様子に、木島だけでなく、周りの皆も驚いている。


木島 「…光輝。お前、何言ったんだ?」と、不思議そうな表情で光輝の顔を見つめる。すると、光輝は二カッと笑ってこう言い放つ。


田尾 「お前の活躍、北岡に()()見られてるぞって、言ったんだよ。お陰で張り切って行ってくれたな。」と……。


木島 「…お前…良い性格してるよな?…北岡が見てなかったら、どうすんだよ。彼奴、もっと落ち込むぞ。」と、呆れたように言う。


田尾 「いや、それも大丈夫だ。北岡には、晶麻の活躍見てなくても、適当に盛り上げてもらうように、頼んで置いたから。」


木島 「……お前、案外酷い扱いだな…。晶麻が…哀れに見えて来たよ…。」

田尾 「そうか?北岡から声掛けられたら、晶麻のヤツも、元気になるだろう?」

木島 「………。いや…それはそうなんだが…。そういう意味では…ないんだけどな…。まあ、いいか…。」


というような会話があったそうで。夕月(ゆづ)から聞きました時は、目が点に…なりましたよ。飛野君、結構雑な扱い受けているのですね?…とはいっても、本人は気が付いていないかも…。それからその後、このようなこともありました。


飛野 「北岡っ!今の俺も活躍見てくれたか?!」

夕月 「…ああ、見たよ。飛野って()()()()()しているから、何かと…分かりやすいよね?…まあ、良く頑張ってたよね?…よしよし。」


…と言う会話を、すぐ間近(というより、目の前)で聞きましたわ。夕月(ゆづ)に頭を撫でられて、猫みたいに目を細めて、嬉しそうに満足している飛野君。

…う~ん。何気に…夕月(ゆづ)も、酷いセリフを言っている。飛野君は…全く、気が付いていない?…まあ、飛野君が()()()()幸せそうなので、良しとしましょうか?

 体育祭の当日のお話、その続きpart2です。


夕月が二人三脚に参加して、鷹野と組む話は後から追加した内容です。

晶麻がいい具合に暴走しているので、これはこれでいいかな、と思っています。

何気に、夕月の晶麻に対する扱いが…。弟みたいになってます。

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