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君の騎士 ~君を守るために~  作者: 無乃海
第一幕 名栄森学苑1年生編【3部 秋の巻 編】
85/201

74話 相容れない想い

 いつも通り、未香子視点となります。

一応は同じ日ではありますが、未香子側の事情を語るというものです。

やっと同一日のお話は、これで終わりですかね。

 あの後は、飛野(ひの)君が食べ終わり、夕月(ゆづ)のお話が終了次第、軽食店を出ることになった。会計は、男子3人で支払いを済ませ、私達には奢ってくれて。

私も通学時は、あまり金銭を持ち歩かないので、男子の厚意に甘えましたの。

木島(きじま)君の車で送ってもらっても良かったのですが、自宅が反対方向ですので、悪いと思ってお断りして、九条家(くじょうけ)の車を手配した。


お店を出た時には、幹人(みきと)さんが迎えに来てくれていたので、私と夕月(ゆづ)だけが乗り込んだ。イケメンの彼らは、木島君の車で帰るそうですから。

今の時間帯は、真姫(まき)さんは、三千(みち)さんの調理の補助をしている時間であり、手が()いていた幹人さんが来てくれたのです。


彼らは、幹人さんに今回初めて会ったものだから、当初は()()()と勘違いしたようでして。幹人さんが気付いて、「私は、九条家の専属運転手ですから、お気になさらず。」と、訂正していた。


今日は幹人さんが運転しているから、真姫さんの時みたいに、何でも話すという訳にはいかない。私も、年頃の女子なのですもの。異性の前では、お話出来ないことも聞かれたくないことも、あるのですわ。特に…兄のように懐いている人の前で、あまり変なことを言って、恥ずかしい思いをしたくないですわ。


そうためか、夕月(ゆづ)との会話も、自然と少なくなっている。私は、自分の考えに耽っていた。夕月(ゆづ)はやはり、私のことを探してくれていたそうで。

探そうとしていて、偶々、夕月(ゆづ)が認めているファンクラブ会員達の会話を、間接的に聞いてしまったらしい。誰だか知らない人の言葉を信じ、()()()()()で、萌々花(ももか)さんが虐められる可能性もある、と踏んで……。


夕月(ゆづ)は自分では、冷たい人間だと思っているようですけれど、本当に優し過ぎる人なのですわ。()()()()優しくしていると、言っておきながら、他の人にも気を配っていて…。…そういう人なのです。ですから…私は、いつもヤキモキしているのですわよ?…いつ、誰に、夕月(ゆづ)が…盗られても、おかしくないのですもの。

夕月(ゆづ)()()()()()()()、好きにならないとは限らないでしょう?


萌々花さんが…いい例だと思いましてよ?…彼女は、自分の気持ちに気が付いていないみたいですが、間違いなく夕月(ゆづ)に惹かれ始めている…と、私は感じている。

夕月(ゆづ)自身も、特別視しているところがあって、本気になる可能性だって…、全くの()()()()()()のですもの。そう考えるだけで、胸がはち切れそうで……。

…実際には…胸が小さくて、はち切れませんが、何か?


私は1人で、赤くなったり青くなったりしていたみたいで。夕月(ゆづ)が私を探していたことは、嬉しかったのですが、その後、萌々花さんのセリフを思い出して、また悲観的にもなっていた様子でした。幹人さんから話し掛けられて、ハッと我に返るけれど…。少し遅かったみたい。


 「…未香子(みかこ)お嬢様。先程から、お顔の色が良くないようですが…。今日は、何かありましたか?」

 「…えっ!?…いえ…大丈夫ですわ。多分…疲れただけですわ。」

 「そうですか…。それなら…良いのですが……。」


幹人さんが心配してくれているので、大丈夫だと伝える。私の横に座っていた夕月(ゆづ)は、私達の遣り取りを聞いているのか、いないのか…。車の窓の外を、ボ~と眺めている様子で。夕月(ゆづ)も、今日の出来事には、何か()()()()()があるのかもしれないわね…。どちらにしろ、この車の中では、先程のお話は出来ないもの。


そう言えば、私が保健室に行った(くだり)のお話を、夕月(ゆづ)にはまだ伝えておりません。

先程までは、男子達が居るので伝えられず……。

幹人さんの前で話そうものなら、一気に心配されてしまいますわ。

真姫さんは同性ですから、私の気持ちにも理解してもらえるでしょうが。


…どうしましょう。夕月(ゆづ)には、いつ、お話したらいいの?…このままでは、話しそびれてしまうわ。出来れば、今日のうちにお話したいのに。

その思いながらも、私はチラッと隣を見る。そうすれば、夕月(ゆづ)()()を察したみたいで、窓から私へと目線を移して。


 「何か、言いたいことがありそうだね。」

 「…うん。この後、何か…予定有りますの?」

 「今日は…何も無いよ。宿題も出ていなかったし、予習ぐらいだよね?だから…大丈夫だよ。」

 「それでは、久しぶりに…()()()して行きませんこと?」

 「…う~ん。それじゃあ、一度帰宅してから、泊りに行こうかな?」

 「良かったですわ!久しぶりに、沢山お話がしたいわ。」

 「ふふっ。じゃあ、今日は…夜更かししない程度に、話をしようか?」





         *************************





 久しぶりのお泊り会である。夕月(ゆづ)が我が家に泊まったり、逆に私が、夕月(ゆづ)の家に泊まったりするのは、…()()()()でしょうか?

中学生になってからは、殆どしなくなりましたので、少なくとも小学生以来だと思うわ。お泊りしなくなったと言うより、出来なくなったと言うべきか。

確か…兄や葉月(はづき)が、お泊りしたくないとか何とか……。

理由は、何だったのでしょうか?…ハッキリした理由が、よく思い出せない。


今日は、その兄や葉月も居ないのですから、大丈夫ですわ。お泊り会と言えば…、お兄様と葉月もいつも一緒でしたのよ。あの頃は…楽しかったです。

あの頃から葉月は、私が勝手に(ライバル)認定していただけで、異性だとはあまり感じていなかった。思い返せば、葉月のことを怖いとも、全く思っていなかった。

何故か、葉月は…男の子でも、()()()()()ようです。…何故でしょうね?

やはり…夕月(ゆづ)()()お顔だからでしょうか?


夕月(ゆづ)は一度家に戻り、家事をして食事なども全て済ませて、うちに泊まりに来た。

一緒に夕食を食べたかったけれど、三千さん達に迷惑掛けるからと、断られたのですわ。結局、お泊りだけに来た感じなの。まあ、それでも、私は嬉しいです。

…ふふふ。久しぶりだから、子供の頃のアルバムでも、一緒に見ようかしら?


 「夕月(ゆづ)、今日はごめんなさい。練習の後、待って居なくて…。競技の片づけをした後、一緒に練習したお友達と、保健室に行っていましたの…。」

 「…保健室?何処か…怪我でもした?それとも捻挫?それとも頭痛とか?」


今は、私の部屋に夕月(ゆづ)と2人で居る。私は、漸く今日の出来事を伝えることが出来たのです。私が保健室に行ったことを知ると、夕月(ゆづ)が慌てたように、私の体調を訊いてきて。…う~ん。心配してくれるのは、物凄く嬉しいと思っている。

しかし…ちょっと、いや…かなり過保護過ぎる反応では、ないでしょうか?


 「…大丈夫。そういうのではなく…。私が落ち込んでしまって、それを皆さんが心配して、連れて行ってくださったの。ただ…それだけなの。」

 「…本当に?体調とかでは…ないんだね?…じゃあ、何か遭ったの?」

 「…ううん。ちょっと、競技の練習で…失敗しちゃったものだから。ですから…大したことはないの。…心配しないで。」

 「…そうか。それなら、いいんだけど…。何か遭ったら、すぐ言うんだよ。」

 「うん!もう…夕月(ゆづ)ったら、心配性なのですわ。」


夕月(ゆづ)は、私の返答に、中々納得してくれなかった。失敗してしまったのは、本当のことですもの。失敗した理由は、()()()()()萌々花さんとのこと、なのですが。

まあ、そのぐらいなら誤魔化せるかしら?萌々花さんと仲良くしてたのが、気になっていたというお話は、絶対に夕月(ゆづ)に知られたくないの。夕月(ゆづ)は自分を責める人なので、他の人の所為にはしないし…、萌々花さんには言わないでしょう。


私も、夕月(ゆづ)の所為にしたくない。萌々花さんを責める気はありませんが、彼女に他意はなくても、()()()()()()は…好きになれない。どう考えても、夕月(ゆづ)を意識しているのでしょうし、接近し過ぎだもの。恋だと思っていなくとも、それに似た感情は持っているでしょう?その状態で、私とも仲良しになりたいと言われても……。


抑々、夕月(ゆづ)に初めて話し掛けて来た、あの対抗試合の頃から、私には…()()()()しかしなかったわ。あれから、ドンドンその思いが強くなっている。

今日のことにしても、彼女の不注意な行動が、巻き起こしたものなのに……。

どうして、夕月(ゆづ)が付き合わなければ、いけなかったの?

彼女はそれに対して、ただ単に、夕月(ゆづ)に甘えていただけでは…ないのかしら?


私は、今日の夕月(ゆづ)の行動には、納得出来ない部分もある。確かに…虐めであれば、止める必要はありますし、その役は夕月(ゆづ)が1番向いている、とは理解している。

それでも、萌々花さんの部活の部長にまで、フォローする必要があったの?

抑々、その事については、萌々花さんの行動の結果なのでは?

別に、夕月(ゆづ)を非難するつもりは、ありません。ただ、ただ…私が、納得出来ないだけなのですわ…。彼女の後始末まで、夕月(ゆづ)がする必要はあったのかと……。


私がそう思うことについては、夕月(ゆづ)に伝えるつもりもなく、絶対に知られたくない、と思っている。私は、夕月(ゆづ)を悪者にしたい訳では、ないのですもの。

それでも、夕月(ゆづ)は勘がいい人ですから、気が付かれてしまうかもしれない。

バレたとしても、()()()()を用意しておかねば………。


その晩は、少しだけ夜更かししました。夕月(ゆづ)と幼い時のアルバムを見ては、昔の話を色々したりして、とても有意義な時を過ごしましたわ。

夕月(ゆづ)は今回も、お客様用のゲストルームに泊まったのですが、私が眠くなるまでは一緒に居てくれたのよ。うふふふふっ。


それにもう…萌々花さんのことは、私には()()()()()()()のです。

夕月(ゆづ)が私を見捨てることは、絶対にないのだと…改めて分かったのですもの。

もう…其れだけで、()()充分なのですわ。

 次回は続かない筈、と前回の後書きで述べましたが、前回までとは異なり、未香子側の事情が話題の中心となります。


もっとさらっと流すつもりでしたが、1話分の長さになってしまいました。

話が出来る時間も場所もない、ということで、お泊り会で報告とした次第です。


65話から同じ日の内容となってますので、ほぼ10話近くですから、今までで一番の最長の内容となるお話でした。

でもこれで、やっとこの1日は、終了しました。


今後は、夕月に対して、未香子、晶麻、そして萌々花が加わりそうです。

いよいよ、3角関係以上の複雑化した関係となるかと思います。ご期待下さい。

(何を?!)

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