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君の騎士 ~君を守るために~  作者: 無乃海
第一幕 名栄森学苑1年生編【3部 秋の巻 編】
84/201

73話 あの時の真実

 いつも通り、未香子視点となります。

今後、どうしようかと悩んだ結果、こういう流れになりました。

 夕月(ゆづ)が部室に現れてから、30分ほどで部活は終了となる。元々、体育祭の練習の為に、部活の時間が短くなっていた。あの後、夕月(ゆづ)の許には、飛野(ひの)君が突進して来て、「今まで、何してたんだよ!」と…物凄い剣幕でした。そんなに…心配されたのですか?


木島(きじま)君と田尾(たお)君も苦笑して、飛野君を宥めに近づいて来る。

「まあまあ」とか「どうどう」とか、かなり適当に扱われてますが。

そして夕月(ゆづ)には、「いつでも、相談しろよ。」と、木島君が話し掛ければ、「何かあれば、言ってくれ。力になる。」と、田尾君も話し掛けている。


それに対し、夕月(ゆづ)は「ありがとう。心配掛けたみたいだね。」と、軽い感じで返答しつつ、飛野君の頭を撫でている。彼は…、お顔がうっとりと溶ろけるような表情になっておりますが、それって多分…()()()()()されていますわね…。

今の状態の彼は、(さなが)ら、猫みたいでして。木島君も田尾君も…呆れ果てていますわよ?…飛野君って、本当に分かりやす過ぎ…。


他の部員達も、夕月(ゆづ)が遅れて来たのを不思議には思うものの、誰も何も訊いては来なかった。後片付けを終えた者から解散となり、私は夕月(ゆづ)と一緒に部室を出る。

競技の練習後の夕月(ゆづ)の行動を、夕月(ゆづ)が何をしていたのかを、訊きたいと思った。

私には…()()()()がありますわよね?


しかし、私達の後からすぐ、イケメン3人が一緒に部室から出て来て、後ろをピッタリくっ付いて歩いて来るのである。これには私も、少々イラっとしていた。

少しでも早く、夕月(ゆづ)に問い(ただ)したいのに……。もう!何なのよ!邪魔しないで!


夕月(ゆづ)も、飛野君達が、私達の後を付いて来ていることに、()っくの昔に知っている癖に…。私のイライラが加速するのを見て、フッと笑って。

もう!私の気持ちにも、気付いているでしょう?何とかしてよ!夕月(ゆづ)()()

⦅…ウソ、ウソ!そんな風に思っていないわ!⦆


 「何か…用?未香子(みかこ)()()()()()()()から、付いてくるのは、止めてくれる?」

 「いや…北岡。…お前、今日、明らかにおかしいだろ?今まで部活に遅れることもなかったのに、何であんなに遅れたんだ?」

 「そうだな。あの場では、納得した言葉を言うしかなかったからな。」

 「そうだよ!俺、心配したんだぞ!話聞くまで、帰らないからな!」


夕月(ゆづ)はピタリと立ち止まり、後ろを振り返らずに彼らに話し掛ける。…はあ?!

ちょっと待って…夕月(ゆづ)。私の機嫌が悪くなるって…何?確かに…少しピリピリしていますが、私を()()()しないで!本当に…もう…!


私は、ぷくっと頬を膨らませている。その傍らで、木島君が、夕月(ゆづ)に直接的な疑問をぶつけて、田尾君も納得していないことを、強調する。飛野君は、話聞くまで帰らないって、…まるで幼い子供みたいですわね?

まあ、私も、人のことは言えない立場なのですが…。


夕月(ゆづ)は肩を竦めるようにして、ふうっと息を吐いてから、後ろを振り返る。

私も、同じく振り返って3人を見ると、3人の視線は、夕月(ゆづ)の方を向いていた。

…う~ん。私の存在を忘れていませんか?


 「…そんなに訊きたいのなら、話しても良いよ。()()()()な気持ちならば、訊かない方がいい。」

 「…分かった。じゃあ、俺の知っている店にでも、行こうか?…晶麻(しょうま)光輝(こうき)も、それでいいよな?」

 「…ああ。僕はそれでいいよ。」

 「俺も…いいよ。出来れば…甘味がある店がいい……。」


夕月(ゆづ)と3人は…見つめ合うというより、お互いに牽制している雰囲気だった。

漸く夕月(ゆづ)がフッと苦笑して、覚悟があるなら話す、という姿勢を見せて。

それに3人が応じて、木島君が、場所の提供をしてくれることになった。

彼自身や家族の行付(ゆきつ)けのお店のようである。


田尾君も飛野君も了承したのはいいのですが…。飛野君は、このような時にも食べ物の要求ですの?然も…甘味とは……。木島君も、目が半眼になっていますわね?しかし…。()()()…誰も訊いてくださらないのね?…悲しいわ。

この中で、夕月(ゆづ)だけが、私の方を振り返って訊いてくれる。


 「未香子も…いいかな?帰るのが、少し遅くなるけど。」

 「…うん。大丈夫。」


私も…出来れば、2人でお話したかったのよ。私側のお話も、聞いて欲しかった。まだ私が、保健室に行った話も報告していないもの…。

流石に彼らが居る場所では、私の話はしたくない。彼らに…私の気持ちを知られるのは、嫌なのです。




         *************************





 私達はあの後、木島君が呼んだ乗用車に、5人一緒に乗り込んでいた。

木島家の専用運転手が、迎えに来てくれたので、木島君が助手席に、後ろ2列に、私と夕月(ゆづ)、飛野君と田尾君の2名ずつに分かれて、座っている。これから、木島君お薦めの、落ち着いて内緒の話が出来るお店に、行くことになっていた。


学苑側も、生徒側に()()事情がある時には、車で帰宅することには、目を瞑ってくれている。それに一々監視している訳でもないので、偶にならば、大っぴらにしなければバレないのもある。それに、夕月(ゆづ)がああいう言い方をした時は、重大な話という意味も含んでいるから、信頼の置けるかどうか、ハッキリ分かるお店でなければ、いけなかったのである。


私達はまだ学生なので、密談可能なそういうお店は、行き慣れてない。

夕月(ゆづ)のお宅では特に、表向き一般人ですからね。普段は絶対利用しないだろう。

私は…両親にも兄にも、まだ早いと普段から利用することは、反対されておりますので、自分1人では利用不可能なのですわ。


木島君がお店を提案するなんて、以外でしたわ。彼のお宅は確か…ご両親が社長とか実業者ではなかった、と思っていましたが……。案外とお父様が、大会社にお勤めで、上役などの役職付きなのでしょうか?それいうことでしたら、こういうお店を知っていても、理解可能な()()()ですわね。


そのお店は、そう堅苦しくない雰囲気の軽食店であった。本格的な料亭とかでなくて、ホッとする。それでも、既に予約してあるようで、奥の扉の先にあった、特別と思われる個室に通された。うん…十分特別扱いですわね。


私達5人はその個室に入り、先ずはメニュー表を見ながら、飲み物だけを注文することに。飛野君だけは、ちゃっかり甘味の食べ物を、注文していたわね…。

店員が出て行ってすぐにでも、話し始めるのかと思いましたが、何故か、体育祭の競技の話題になっている。自分は何の競技に参加するとか、今日の練習はきつかったとか、エトセトラ……。


その話題が終わる頃、先程の店員さんが、飲み物などを運んで来る。私達の前に配膳すると、店員は扉を閉めて戻って行き…。待っていましたとばかりに、夕月(ゆづ)が唐突に、今日の競技練習中のお話から、語り始める。

同じ競技だった萌々花(ももか)さんが、話し掛けて来てからのことを……。


時々、相槌を打つぐらいで、彼らも黙々と聞いている。私は途中からは、顔から血の気が引いていた。まさか…萌々花さんが虐めに遭うかもしれない、という内容になるとは…思っておらず……。真っ先に、中等部時代のことを、…酷い虐めを受けていた女子生徒のことを、思い出してしまう。


しかし、話が進むうちに、何だか…()()()()()感覚を感じていた。今、夕月(ゆづ)が語っている萌々花さんの描写に、違和感を覚えていたので。それは、男子達も同じように受け止めているらしく、若干微妙な表情になっている。そして私は…夕月(ゆづ)が語った内容に、衝撃を受けることになる。


 「…それでね、萌々(もも)は…私とも未香子とも、()()()()()()()()そうだよ。」

 「「「「………。」」」」


…はい?…何ですって?!…私とも仲良しになりたい?…私、耳がおかしくなったのかしら?…しかし、無情にも事実らしくて…。私に…()()()()()()する気なの?夕月(ゆづ)に気があるかもしれない女子と、本気で…私が仲良く出来るとお思いなの?!それとも…自覚していらっしゃらないの?!


男子3人が私の方に向き、何とも言えない表情を浮かべている。…止めて!

そのお顔は…絶対に同情してますわね?…同情は要りません!…特に…飛野君!

あなた、先程から、この深刻なお話の中で、1人だけ甘味を食べていた癖に、食べかけの状態のまま、私を見ないでくださる?!…()()()…同情されたくない。


まさか…夕月(ゆづ)は、萌々花さんと仲良くしようとか、言いませんわよね?

私は、絶対に願い下げで・す・わ・よ。そういう意味を込めて、夕月(ゆづ)を横からジッと見つめて。私の視線に気が付いた夕月(ゆづ)は、くつくつ笑い出して…。


 「…ふっははは。大丈夫。未香子が仲良く出来ないのは、分かっているからね。でも、それを萌々に説明しても、あの子は理解しないと思うよ。多分、彼女の中では、使命感みたいなものが、あるんじゃないかな?それに…自分が未香子と友達になれば、虐めもない筈という感じだったよ?まあ…元から、未香子とも仲良くなりたいと、思っていたみたいなんだよね。」

 「…くくっ。随分と彼女は、前向きなんだね?真面目と言うか、馬鹿正直と言うか…。…北岡が、()()()()()()()筈だ。」

 「…そうだな。まあ…これは、俺達じゃあ、逆に何も協力出来そうにないな。」

 「うんにゃあ(=うん、そうだな)。それよりさあ、…萌々って…誰?」


夕月(ゆづ)は、私が萌々花さんと仲良く出来ないことは、よ~く理解しているみたい。

木島君は反対に面白がり、田尾君は苦笑気味で、飛野君は…まだ食べていた。

萌々花さん。私、あなたの使命感は要りません!私とあなたがライバルになるのは、分かり切っていますもの。夕月(ゆづ)のライバルは、葉月(はづき)()()()…結構でしてよ。

その葉月が…1番強敵なのですが……。


ところで…飛野君。…今頃ですか?もう何度かお会いして、名前も名乗った後なのですが…?…あなたはもう少し、視野を広げるべきだと思いますわよ?

恋のライバルは、自分と()()()()()()限りませんのよ?…お分かりになりまして?

 前回までで終わったはずでしたが。同一日の話が続いています。多分、次回は続かない筈…。


心配したイケメン3人が、夕月に真実を迫り、未香子も真実を知ることとなりました。

未香子には内緒の話にしようと、思った時もあったのですが、結局この流れになってしまいました。

飛野君、マイペースです。ちょっと、天然入ってそうです。萌々花のこと、以前にお互いに紹介しているのに、忘れています。

多分、夕月以外は、全く目に入っていないのでしょう。筆者も、割と、お気に入りのキャラです。


※飛野君の最後のセリフは、食べながら話しています。はっきり喋れなかったとお考え下さい。

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