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君の騎士 ~君を守るために~  作者: 無乃海
第一幕 名栄森学苑1年生編【3部 秋の巻 編】
79/201

69話 動揺 ~萌々花~

 今回も、前半・後半共に、萌々花視点となり、引き続きとなっています。


萌々花と夕月の、2人だけの時間が続いています。

 未だ教室の中には、私と北岡君しかいない。今の北岡君は、私に柔らかい笑顔を向けている。けれど、私は、さっきの()()()()()北岡君の顔が、忘れられそうになかった。だって、あんな顔、初めて見たんだもん…。


私は、北岡君から目線を外し、顔を下に向けそうになってから、漸くこの時になってふと気が付いたのだ。目の前に立っている北岡君は、男子っぽい私服を着ていたのだ。最近仲良くなってから、私も北岡君の私服姿は見慣れている。

普段の北岡君の服装は、どちらかというと、女子が着そうな服装寄りだった。

しかし、こんなに近くで、今日のような男子寄りの私服姿を見るのは、今日が初めてだと思う。演技とかで見たことあるけど、遠目だったし…。


入学式の時は、制服姿(勿論、女子のだよ)だったし、ドッチの対戦時は体操服だったし、体育祭の練習も同じく。私服はいつも、()()()()()()な感じだった。

ああ、そういえば、校外学習の時も、制服プラスパンツルックだったような…。


今日の服装は、完全に北岡君自身の私服だと思う。カッター風の黒シャツにジーンズ、男子が着そうなお洒落な上着を羽織って、ラフな服装だった。

何度も言うけど、女子というより、()()()着そうな服装だと、はっきり言える。

元々、北岡君の顔が中性的でもあるから、男女どちらでも通りそうではある。

…でも、この服装を見てしまったら、やっぱり可愛い系の男子だと思うだろうな。

そのぐらいには、男子っぽい姿だと思っていた。


私は一通り、北岡君の服装を眺めてから、改めて北岡君の顔を見て…。

私は…声が出せなくなった。…うっ!…何だか、物凄く…似合ってる。

この人、本当に女子なの?さっき、扉に凭れていた時も、カッコイイと思っていたけど、如何やら…この服装も()()()()()()()みたいね。こんな私服姿を見せられたら、そりゃあ…同性と知っていても、本気で惚れちゃう…かもね。


 「…萌々、どうかした?」

 「…!…い…いえ…、な…何も……。」


私の様子がおかしいと思ったようで、北岡君が話し掛けてくるけど、私は急に恥ずかしくなってきて…、妙に意識してしまっているのか、いつものように話せない。

い…いや、私ったら、どうしたのよ。たった今、目が合っただけでも、心臓がバクバクいってるし…。…動揺し過ぎでしょ?北岡君が不思議そうに、ジ~と私の顔を見つめてくる。…わ~ん。これ以上、見ないで…!


私は、今だに目が合わせられず、目線を彷徨わせていた。だって、急に恥ずかしくなったんだもん!どうしたらいいのか、分かんないよ~。その時、北岡君が、ふと何かに気が付いたように、真顔になって窓の方へ歩いて行く。

…えっ?もしかして…誰か居るの?もしかして…私達の話、全部聞かれてたの?

私は、赤くなりかけている顔を見られたくなくて、身体ごと廊下側の方へ向く。


その後、やはり窓の外に誰か居たようで、北岡君と誰かが、ボソボソと話をしている声が聞こえて来た。しかし、小声で話しているせいか、何を言ってるのか分からなかったけどね。声の様子からして、相手は男子生徒のようだった。

暫く話をしてから、窓を閉めたような音が聞こえる。そして、北岡君が、私のすぐ横まで歩いて来る。


 「萌々。待たせて、ごめんね。それじゃあ、行こうか?」

 「…う、うん…。…そうだね。」


私が、首を縦にコクコク振りながら返答すると、満足げに笑ってから、北岡君が先に廊下を出て行く。私は、後から付いて行く形で、追い掛ける。

正直言うと、斜め後ろを歩くのは正解だったわ。私の隣なんて歩かれていたらと思うと、右足と左足が一緒に出てしまって、大爆笑されていたに違いない…。

今の私は…()()()()()()()くらいに、緊張しているんだもん。


緊張しているのは…明らかに、北岡君の所為なのよ。「行くよ」って声掛けるのはいいんだけど…、何で態々、私の耳元の近くで話し掛けるのかな…?

何でそう…行動が一々、()()()()()なんだろうか?お陰で…私の心臓は、バクバク言いっぱなしなんだからね…。せめてもの抵抗として、私は、北岡君の後ろ姿を睨み付けている。…その後ろ姿をジッと見つめて。


片手に持った鞄を肩に担ぐようにして、男子そのものの仕草で、少し先を歩いて行く姿は、女子とか男子とかに関係なく、綺麗な姿勢でしなやかな歩き方で。

歩き始めてから、一度も後ろを振り返らないのに、私の歩く速さに合わせたように、ややゆっくりの速度で。そういう北岡君の()()()()()優しさが、私の身体に染みて込んで来るようだった。私は何時(いつ)しか睨むのを止め、後ろ姿を見つめていた。


自分の所為だからと、うちの部長に説明する為に、態々一緒に来てくれる。

責任感が強い人なのだろうけど、私には、優し過ぎる人としか思えなくて。

そういう事をサラリとされると、私は…どう対応したらいいのか分からなくなる。






         *************************






 「さっきの教室で、誰かと話していたみたいだけど、…知り合いだったの?」

 「ん?…あぁ。物騒なことになるかもしれない、と教えてくれた人物なんだよ。彼は、萌々と同じで外部生でね。内部生が外部生を呼び出すと、偶然立ち聞きしてしまって、心配して私を探しに来たみたいだよ。」

 「じゃあ…その人が、北岡君に知らせてくれたんだね。私も…後で、お礼を言った方がいいのかなあ…?」

 「いや…。必要ないよ。彼も、最初の方から事情を聴いたみたいだから、大袈裟にしたくないって、言ってたよ。だから、萌々も知らない振りをした方がいいし、彼が()()()知らない方がいいよ。萌々は、嘘を()くのが苦手みたいだしね。」


もう間もなく、陸上部の練習場に着きそうになっていた。私は()()()()()、北岡君を引き留めたくなる。だからという訳ではないけど、さっきの教室で窓の外に居た人物が気になるのは、今の私の気持ちでもある。それに…今のうちに訊かないと、本当に訊けなくなってしまいそうだった。


北岡君が教えてくれたことに依ると、その人物は、私が彼女達に呼び出されたことを、北岡君本人に知らせてくれたみたいで。…あ~あ。私ったら、あの時は恥ずかしさに後ろを向いて、その人を無視しちゃったんだ…。…あっ!でも…北岡君との遣り取りも見られているんだよね…。やっぱり恥ずかしいし…。でも…お礼言わないとダメだよね?…う~ん、どうしよう。でも……でも……。


しかし、そういう私の気持ちに反して、北岡君とその人との間で、この呼び出しは無かったことにしようと、話し合ってくれていたようだった。だから、お礼は必要ないと言われた私は、正直心の底からホッとした。そうだね…その方がいいよね。


虐めじゃなかったと言っても、全てを見ていない人から見れば、呼び出されて何もない方が、信じられないだろうな。当人の私さえ、当初は牽制されると思っていたのだからね。それに…他の生徒達に知られれば、彼女達は虐めた加害者とされて、私は虐めの被害者として、お互いに好奇の目で見られるかもしれない。


本当に北岡君は、凄い人だわ。こういう事情を見越して、呼び出しの話が初めからなかったことにするなんて。きっと、その人にも、北岡君からそういう風に、話を持っていってくれたに違いない。そして、それを(おくび)にも出さない姿勢は、評価に値するわよね。


北岡君と話をしているうちに、いつの間にか陸上部の練習場まで来ていたようだ。

明らかに遅れて来た私が、()()()北岡君と一緒に来たものだから、他の部員達も皆練習を停止して、私達2人を興味津々な様子で見つめてくる。北岡君はすぐに陸上部・野神部長に話し掛け、部員達とは少し離れた場所に移動し、話し込んでいた。

部長は当初、チラッと私を確認した後、部長からも何かを話し掛けている。

…う~ん。何だろう…?少々、不安だ…。


北岡君が部長に話し掛ける前に、「私からも、話した方がいいよね?」と言ったのに、「いや…萌々が話すより、私が全部説明した方が早いよ。」と、全面的に断られてしまっていた。お陰で…他の部員全員から、「何で、北岡君と一緒なの?」とか、「今まで、北岡君と何してたの?」とか…質問攻めである。

どうしよう。こんな事なら…北岡君と一緒に、何か考えて置くべきだったなあ…。


 「北岡は、何かトラブルに巻き込まれていたようで、丁度通り掛かった菅が、手助けしたそうだよ。それ以上の話を訊きたい奴は、北岡本人の許可が必要らしい。だから、訊きたい奴は、()()()()に訊け。」


いつの間にか戻って来た部長が、そう説明してくれなければ、私は今頃どうなっていただろう?本当の話をすれば、折角、北岡君が隠そうとした努力が()()になる。

私は、()()()嘘が()けずに困っていたのだ。北岡君は、部長に簡潔明瞭な説明をしてくれて上、ちゃんと、後のことも考えてくれていたんだね。お陰様で、部長の罰を逃れ、私は走り込まなくても済んだのだし…。本当にありがとう、北岡君!



「北岡がそう言えって、説明して来た。北岡に感謝しろよ。」と、部長が皆の練習中に、私にだけ聞こえる小声で、教えてくれたのだった。確かにこれでは、北岡君本人にしか訊くことが出来ず、秘密だと言われたのと同義であろう。

北岡君には逆らえない雰囲気があるようで、私は、心からホッと溜息を()いた。

陸上部の部員で、本人に訊く勇気のある人物は、果たしているのかな?…ふふっ。


北岡君に深い意味はなくとも、こんなに至れり尽くせりされると…。

女子だと分かっていても、好きになってしまいそう…だわ。

…う~ん。どうしたらいいの?…もう既に、()()()()気がする……。

 萌々花視点続いていますが、予想外に長く3話も続きました。

虐め的なお話が続いておりますが、萌々花視点は一応、これで終結となります。


しかし、虐め的なお話はまだ続く予定です。同じ内容を、別の人物から見たりと、暫く続く予定です。また、この時の裏側のお話も書く予定です。

取り敢えず、大夢の方が放置状態なので、先にこちらの方を片付けたいですね。


…ということで、暫くは同じ日の内容のお話に、なりそうですね。


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