63話 競技決め
やっと、体育祭の時期のお話となりました。
今回は、体育祭の参加種目を話題にしています。
前半・後半共に、全て未香子視点となっています。
今日で2学期初のテストが終了した。始業式の次の日から、2日ほどテスト期間があり、今日が最終日であった。本日の日程では、残すは学級会のみである。
2学期には、体育祭と文化祭の2大行事が行われることになっている。
然も、体育祭はもうすぐそこまで迫っている為、あまり時間がない。今日のうちに、まずは、体育祭の競技など取り決めなければならない。
内部生の中には、親の家業を継ぐからと、部活に入っていない生徒も、若干居たりするようです。そういう方達は、『帰宅部』というそうですね?外部生の皆さんからお聞きするまで、私は知りませんでした。便利な言葉ですわ。
その帰宅部の皆さんは、部活若しくは委員会のどちらかを、選択しなければならないことになっており、何かしらの委員をする形となる。委員になる方が、行事がある際には、先頭に立って活躍することになり、大変そうではありますが。
それでも、行事さえなければ、何もすることがなく、暇な委員もあったりする。
部活に所属すれば、1年中活動することになりますからね。その点、委員会でしたら、一部の委員会については、その行事の時期ぐらいですからね。
勿論、生徒会に関しては、他の委員会とは異なりますので、別格の扱いですわ。
2学期最初の行事は体育祭なのですから、体育委員が中心に活躍することになりますわね。後は部活として、運動部、写真部、我が映像部も、活動しますかと。
この高等部には、写真部が存在いたしまして、プロの写真家と共に部員達が、体育祭の様子を撮影してくれることになっている。写真部の顧問が、何とプロの写真家さんだそうなので、部員達も既にプロ顔負けの腕前をお持ちだとか。
実は、高等部に進学してからというもの、今までの行事の度に、私達1年の写真も、写真部員が取ってくださっていたそうです。…全く気が付きませんでした。
勿論、撮られた写真も購入しましたけれど、とても完成度が高いものでしたわ。
とてもではありませんが、生徒の作品とは思えませんでしたもの。
そして、今年からは、我が映像部も、体育祭の映像を撮ることになりましたのよ。
但し、写真部とは異なり映像部では、うちの部員達を中心に撮るわけですが…。
つまり、これは映像部の作品に使用する、若しくは、部員の映像を公開する、という目的がある訳でして。主に人気のある部員を、特に夕月の活躍を、最終的には販売目的に利用しようと、画策中なのだそうです…。う~む。個人情報の乱用には、ならないのでしょうか?このままでは、問題大ありな気がいたします…。
撮影した映像をどう利用するのかは、まだ具体的には決定していない。
赤羽根部長の代で利用可能かどうかも、まだ分からないそうで。
…まあ、そのうち、多分…、有効利用されることになりましょう。
今のところはまだ、個人的なグッズを販売するとかは、問題があってしていない。
観客である生徒達、特に女子生徒から、そういう要望も沢山来ているそうなので、何れは実現しようと検討中なのである。
その要望の中で1番多いのが、映像部部員のプロマイドである。そしてその中で、1番に要望がある人物は、当然の如く、夕月であったりする。しかし、夕月も私も正式な許可を出していないので、今のところは、演劇部でも映像部でも扱っていなかった。個人情報の問題がありますからね。この問題が解決しない限り、簡単には販売出来かねますのよ。このままでは、学苑外にも広まる可能性もありますし…。
ところが、特に夕月の場合は、勝手に隠れて写真を撮られては、裏でこそこそと取引もされているようですのよ。今のところは一応、金銭等の取引とかではなく、授業の課題とか食事とかでの取引で、写真の取引をしているようでして…。
これは…個人情報の悪用になる?
これには、夕月も「まあ、このぐらいなら…。」と、目を瞑っているのです。
それに、そうでなければ、理事長である遠縁の小父さんも、そういう犯罪的な行為は、見逃すことがないでしょうね。飽く迄、本人の好意からですので、夕月も小父様も、見て見ないフリをされているのですわよ。
生徒達の大半が、純粋な憧れを持っていたり、大好きな人だから欲しかった、と言っていたり、それが理由になっているのです。夕月も、「それほど想われていたら、仕方がないね?」なんて言っては、笑っていましたもの。
私は…面白くありませんけれど!
実際には、学苑外の人間には渡っていないようである。隠れて撮った写真は、自分達の撮影方法に対しての美学に反すると、写真部は全く関与していない。
そうなると、隠れて撮った写真は、写真部以外のド素人が撮影した写真ということになる。撮る側も学苑の生徒ですし、信用には値するってことでいいのかしら?
後ろ姿や横顔などが多くて、正面を向いていてもピンボケであったり、タイミング悪くて目線が横を向いているとか、兎に角、真面なものが殆どない写真が多いそうである。それでも欲しいという生徒が居る、と聞いて正直驚いている。…う~ん。
これならば、プロマイドを販売してほしいとの要望が、殺到しても仕方がない。
私達が高等部に入部してから、更にその要望が増えているようですわね。
赤羽根部長は、今のところは、だんまりを決め込んでいる状況で。私達の意見次第では、今後どうなるのか、というところでしょうね?
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「それでは、採決したいと思います。クラス別対抗の徒競走と学年別リレーのAクラス代表ですが、女子の代表は…北岡君で宜しいでしょうか?賛成の方は、拍手をお願いします。」
A組のクラス委員長が採決を執り、クラス全員の生徒達が拍手をする。要するに、満場一致の賛成であった。夕月は体育全般が得意なので、短距離でも長距離でも、本人的にはどちらでも構わないらしいのです。陸上部の部員達よりも、速いタイムを出すこともあるのですよ。クラス代表ともなると、責任重大ですからね。
クラス別の方は、アンカーに選ばれることは、先ず間違いないでしょうね。
小学部の時にも、毎年のように代表に選ばれる度に、アンカーを引き受けていましたもの。そして、これまでも、誰にも負け知らずでしたのよ。私が感傷に浸っていますと、その間に次々と競技が決定していたようである。
「では、男子の学年別リレー出場者は、鷹野君に決定しました。」
周りの拍手する音にハッとして、私も慌てて拍手をする。男子の代表は、当然のように鷹野君が選ばれたのですね?球技大会の時に大活躍をしていましたから、期待されましたのね。学年別リレーは、男女混合で行うものとなっており、こちらに関しても、夕月がアンカーで選ばれる可能性が高い。他のクラスからも、球技大会で活躍したメンバーが出場して来そうですわね。そして、陸上部部員も…。
陸上部部員には、本来なら勝てませんものね。ですから、この2人なのですわね。
さて…私はどう致しましょうか?私は体育が超苦手なのですから、本当ならどれにも、出場したくないですわよ。しかし、一生徒である以上は、出場しないという選択肢はありません。この学苑では、最低でも2つの競技に出場する必要が、あるのですから。そのうちの1つは、学年全員参加の競技であり、選択権がない。
残す1つは、一応は選択可能である。運動神経が悪い私でも、何とかなりそうな競技を探さねば…。…う~む。あの競技なら…私でも大丈夫かしら?
私が散々迷った上で選択した競技は、借り物競争なのであった。お題に書いてある借り物によっては、探すのが相当大変らしいとは聞いていますが、…まあ、何とかなるでしょう。
それに…、他の競技は、運動神経が壊滅的な私にはとっては、厳しい競技ばかりだと思われた。要するに、消去法で考えていましたら、これしか残っていなかったのですわね…。ああ…。特殊な借り物のお題に、どうか当たりませんように…。
そう祈るように、心の中で手を合わせて。
因みに、ケーちゃんとよっちゃんの2人は、運動神経がよい方なので、私が絶対に出場不可能のような種目を選択している。…羨ましい。せっちんは、私と同じで体育が少々苦手みたいで、応援団の方に立候補していましたわね。応援団に入れば、選択種目が免除されることを目的に。応援団は大きな声を出して、踊りまでではなくてもリズムに乗る必要がありますから、私はどちらも苦手という理由で、候補から外していますのよ。
体育祭の種目決めも終了し、今日はこの後に、映像部の上演会が開かれることになっていた。クラス委員が担任に報告する為、教室を去って行き、またクラスの生徒達も次々と去って行く。私も夕月も、上演会に出場する為、その準備の時間が必要である。他の生徒に混ざって、急いで教室を出て、部室に駆け付けることとなったのであった。
体育祭の時期ということで、種目決めにしようと、今回のお話に繋がりました。
暫くは、体育祭関連のお話が続くかと思います。




