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君の騎士 ~君を守るために~  作者: 無乃海
第一幕 名栄森学苑1年生編【3部 秋の巻 編】
72/199

62話 2学期の始まり

 今回からは、学苑のお話に戻りました。と言っても、他の生徒達は出て来ず、会話も少ないです。

2学期序章と言った内容の感じとなりました。今回は、全て未香子視点となっています。


※連休中の追加投稿は、今回までとします。次回から、通常通りの投稿回数となります。

 昨日で夏休みが終了した。到頭、本日から2学期が始まることになる。

今日からいつも通り、学苑には通常登校なので、電車とバスの移動となった。

無論、車での送迎が許されているのは、夏休み中だけのことである。


あれ以来、久しぶりに夕月(ゆづ)と一緒に電車に乗車した。いざ乗ろうとした時、少し恐怖が蘇り、気付いた夕月(ゆづ)がしっかり手を握ってくれて。それからは、平気になって怖くなくなったのである。また、今日からは朝早い登校になる為、女性専用車両にも乗れる時間帯での通学となる。


因みに、葉月は予定通り、昨日の朝早くに寮に帰ったらしい。()()()バイクで。

そうなの。葉月も夕月(ゆづ)同様、16歳の誕生日を迎えてすぐに免許を取っていた。

夕月(ゆづ)が免許を取ることは、私も知らされていた。でも、葉月のことは全く知らされていなくて。まあ、私がそれだけ、葉月に興味を示していなかったのでしょうね。


実は、葉月が免許を取ってから初めての帰宅時に、北城家にバイクが2台あるのを見て、夕月(ゆづ)がもう1台購入したのかしら、と思ったぐらいなの。まさか、葉月のバイクだとは、夢にも見ていなかったのですもの。バイクも色違いという以外では、全く同じ物でしたのよ。葉月。気が付かなくて、ごめんなさいね。


満員の電車に乗るのも、久しぶりな気がします。女性専用車両ですからね。

男性はいませんから、痴漢の心配もありません。ただ、女性ばかりだからと、安心ばかりも出来ませんが。()()()()()で…油断出来ないのです。

稀に、お金を()られることもあるそうですからね。勿論、相手は女性ですよ。

それに、痴漢がいなくても、乗車外で男性に絡まれることもありましたし…。

夕月(ゆづ)が一緒に居てくれるから、私も安心して出掛けられるのですわ。


乗車中には相変わらず、他校の女子高生&女子中学生達が、夕月(ゆづ)を熱心に見つめてくる。「こっち向いてくれないかな?」とか「きゃあ!私の方を見たわ!」とか、「違うわよ。私を見たの!」等々、エトセトラ。


夕月(ゆづ)は慣れたもので、普段は話し掛けられない限りは、完全無視で通していて、()()()という時に笑顔で対応するのである。電車の中で囲まれてしまい、下車出来ない時は「急いでいるから、先に行かせてもらえる?」と、笑顔で話し掛けて、女子達に「どうぞ~。」と快く退いてもらう。う~ん。扱いが慣れ過ぎてます…。


逆に、夕月(ゆづ)には()()()をしている癖に、私に意地悪しようとする(たち)の悪い女子も、()()いるのですわ。そういう時は必ず、夕月(ゆづ)が毎回気が付いて、対処してくれるのです。そういう女子は、2度と私達の前には表れません。夕月(ゆづ)に嫌われたと思っているでしょうね。当たらずとも遠からず、ですが。

夕月(ゆづ)は、はなから()()()()()のです。あなたがたのことなんて…。


私達が電車を下車する時、「帰る時にも会えるかな?」と、他校の女子高生達が、明らかに残念そうな口調で、ボソボソと話している声が聞こえた。

残念でしたわね。今日は部活がありますから、帰宅時間は遅くなりますのよ。

私は、心の中で彼女達に話し掛けている。私は…()()性格が悪くなる。


このような事を心の中で考えている私を、夕月(ゆづ)に知られれば、どう思われてしまうのだろうか?夕月(ゆづ)にだけは、絶対に嫌われたくないと思う傍ら、意地の悪い事を考えてしまう時がある。特に、この前のデートの件で、()()()()()()()()時には…。

ふと…萌々花(ももか)さんなら、どう反応するのだろうと気になって。

私と萌々花さんを、比べても仕方がない。しかし、あの時から、ふとした時に彼女ならどうするのだろうと、そればかり考えてしまう。()()()自分が、嫌になる…。


 「未香子(みかこ)、どうした?何か、あった?今日は、元気がないみたいだよ?」

 「…ううん。何もないですわ。今日のことを、考えていただけですもの。」

 「…そう。それなら、いいんだけど…。今日は、始業式の後に部活があるけど、…大丈夫?参加出来る?」

 「大丈夫。今日は、大事な上演会があるのですもの。」


私がずっと考え込んでいたから、夕月(ゆづ)に気付かれてしまったみたいね。明らかに、()()()に気付いている様子であったのですが、私が何も言い出さないと思ったのでしょうね。それ以上は、追及されなかったのですが…。

私は、顔に出てしまうようです。上手な嘘がけないのも、辛いですわね…。

もっと上手に嘘が吐けたら…、夕月(ゆづ)に心配を掛けずに済みますのに…。






         *************************






 今日の午前中は始業式だけで、午後1時からは映像部の上演会がある。

上演チケットは全て完売しており、生徒の殆どが帰宅せず、学苑に残って上演会を待っている。お昼はどうするのかと言えば、調理部が作った菓子パンなどを販売しており、それを昼食にする生徒も多いらしい。


実は、夏休み前に、調理部から映像部の方に、()()()提案があったのである。

今日のように学食のない日は、映像部の上演等に合わせて、調理部の手作りのパンを販売したいと。調理部も、部費を稼ぐ算段を考えた時、閃いたとのことでして。


勿論、これはいい案だと、赤羽根(あかばね)部長は即提携を願い出ていたわ。内部生は学食派が多いですからね。お弁当を持参するのも、面倒でしょうしね。

調理部部長が睨んだ通り、夏休み前の終業式後の上映で、手作り菓子パンは中々の好評でしたわ。私も購入してみましたが、素人作とは思えない程の美味さでした。また食べたいと思わせるような、味わいのあるパンでしたわ。


他のお金持ち学校と比べれば、この学苑の学食は、高級レストランのような学食とかではありませんが。学苑の学食は、外部生も気軽に食べれるようにと、庶民的な料理から一般的なレストラン料理まで、各段階が揃っている。

但し、食材を無駄にしたい配慮がされていて、日替わりで選択可能なメニューが、変更される。毎日同じ物ではないので、飽きないと好評でもある。


学食の食堂は、全生徒と教師陣が入っても、まだ余裕がある程度には広い。

よく()()()()の、席が埋まっていて入れなかったという事態は、この学苑では起こらない。また、お弁当も持ち込みOKであり、学食の食事ではなく、お弁当を持参して食べている生徒も、結構居たりする。私と夕月も、そうなのですよ。


食堂の席も、家柄等で()()()()()があるとか、よく世間では聞くお話ですが、この学苑では一切禁止されている。何年か前に、内部生と外部生の間で揉めたそうで、当時の生徒会が、特定の生徒の独占行為を禁止したそうである。それ以降は、空いている席の好きな場所から、到着の早い順に席を取ることが、可能となっている。


それでも、揉める原因を作る生徒には、学苑側からの転校を言い渡される事態に、発展するかも…。この学苑の生徒会の決定は、それぐらいに絶対的なものである。兎に角、生徒会を敵に回してはならない。その為にも、生徒会の委員には、理事長自らが許可を出した者しか、生徒会役員になれないという決まりがある。

権利を悪用されたら困りますものね。


さて、お話を戻しましょうか。要は、学食のない日は、調理部のパンを購入しましょう、ということですね。抑々、調理部も午前中に調理することは、学生である以上不可である。その為、今日の分のパンは、事前に完全予約制となっている。

調理部は、昨日のうちに登校して、学苑で調理して用意したようである。


学苑では、休暇中も何が起こるか分からないという理由から、年中日夜関わらず、専門の警備員が派遣されている。一部の教室は年中一定の温度で保たれていたり、また温度を調整出来る保管室もあったりする。その為、調理した大量の食べ物も、保管室に入れて置ける。ですから、前日に料理を作っても、全く心配がない。

その保管したパンも表向きは、完全予約とはなるのですが、多少余分に作ってあるみたいです。お弁当も予約も忘れた人の為に、()()()のものですが。


お陰で、私達映像部も、学食のない日にも、上映や上演が可能となりましたのよ。調理部も被服部同様、外部生が多い部なのですが、こうやって内部生と外部生が協力する関係となり、それも悪くないと思いましたわ。私達の映像部でも、部活後のミーティングで食べようと思い、部員全員がパンを頼んでいましたわね。


夕月(ゆづ)は、あっさりしたパンが好みなので、塩パンとか甘みの少ないパンを、注文していましたわ。飛野(ひの)君は、餡がタップリ入ったパンを、幾つか頼んでいましたわね…。…見ただけで、お腹が一杯になりそうでしてよ…。私は、フルーツ系の入ったパンが好きですから、今日はパインが入ったパンを頼んでみましたの。

今回初めて食べますから、楽しみにしていますわ。


これは…他の生徒達には()()なのですが…、夕月(ゆづ)のパンと私のパンを、()()()()交換して食べるのも、楽しみなのです。「私も交換したい!」と、他の生徒達に知られれば、確実に騒がれますからね。バレないようにしなければ、なりませんわね?

これは…()()()の特権なのです。うふふふっ。

 今回、学苑の他の部活(調理部)が出て来ますが、部員の名前は出て来ない予定です。さらっと流して終わりにしようと思いまして。

このお話を書き始めて、ふと葉月の免許についてかいてなかったなあ、と思いついたので、今回のお話に入れました。

当初、夕月もバイク持っているんだから、葉月も持っているよね?的な簡単な発想で、書いていました。なので、今回気が付いて良かったです。


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