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君の騎士 ~君を守るために~  作者: 無乃海
第一幕 名栄森学苑1年生編【2部 夏の巻 編】
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61話 夏休み最後の夜

 夏休み中のプライベートな2回目のお話は、前回で区切りがついたので、今回のお話は別の内容になります。

そして、今回が夏休み最後のお話となります。今回も前半と後半で、視点の人物が異なっていますが、前半はいつもの人で、後半は…?

 長いような短かったような夏休みが、明日で終了する。私の兄は、授業の準備があるからと、一足先に寮に帰って行った。その為、昨夜は兄からのお誘いで、レストランで夕食を取ることになったのである。勿論、夕月(ゆづ)葉月(はづき)も誘って4人で。

お兄様の運転する車で一緒に出掛けて。もう、お兄様ったら、私達と一緒に出掛けたくて、仕方がないみたいなの。うふふっ。お兄様もお寂しいのかしらね?


そのような訳で、兄は今朝早くに帰って行ったそうである。私が起きるまで待っていてくださっても、良いですのに…。偶にはきちんとご挨拶したいのですが…。

私の寂しい顔を見ると、帰りたくなくなるからと、お別れを言いたくないそうで。う~ん。私、いつもお別れの時に、()()()()()悲しそうな顔をしていますかしら?


さて、夕月(ゆづ)の双子の弟・葉月も、明日の午前中には寮に帰る、と聞いている。

ギリギリですけれど、何も問題ないのでしょうか?まあ、葉月も、夕月(ゆづ)()()優秀だそうですから、今更、休み明けのテストの準備など、必要ないのでしょうね。

そういう理由でしたら、私の兄も同様なのでしょう。兄も、2人に負けず劣らずの優秀な人間ですからね。


今までも、お兄様達の帰宅に合わせては、お別れを兼ねた食事会を、毎回のようにおこなっている。ただ、今回と違う点は、昼食時にお別れ会をしていたのよね。

ですが、今年から夜になりましたの。私達が全員高校生()()になりましたから、夜の外出も可能となり、少しぐらい帰宅が遅くなっても、許可が下りますのよ。


昨日もお兄様の運転で出掛けて、4人で一緒にレストランでお食事をして。

本当にとても楽しい一時(ひととき)でしたわ。その翌日には、「今度は、冬休みに来るよ。」と、伝言を残して帰られたお兄様。そして、今度は、…葉月の番なのです。

ですから、今日は、お久しぶりに北城家で、御馳走になる予定になっているのよ。


今日は、小父様と小母さまもいらっしゃるそうだから、一家団欒に私も混ぜてもらって、5人でお食事会をするのよ。本来なら、一家団欒に私が混ざるのはおかしいことですが、私も、北城家からは()()()()に扱ってもらっているのです。

逆に九条家の方でも、夕月(ゆづ)と葉月は家族同然なのですわ。


夕月(ゆづ)が迎えに来てくれると思っていたところ、珍しく葉月が迎えに来てくれたのには、私の方が驚いて、目が点になってしまっていた。私がそういう顔をした途端、

葉月は何だか居心地悪そうに、そっぽを向いて話し掛けてくる。


 「夕月(ゆづ)も母さんも忙しそうだったから…。僕が…1番暇だったんだよ…。」


拗ねているのかと思いましたが、違うみたいですわね?

耳まで赤くなっているから、照れているだけなのかしらね?


夕月(ゆづ)は、小母さまと一緒に、料理を作っている最中ですから、忙しいとは分かっていました。でも…、いつもは葉月も手伝っているというのに、今日はお別れ会の主役だからと、除け者にされたのですわね、きっと。想像しましたら可笑しくなってきて、私はクスクス笑ってしまって。すると、葉月は私の方に勢いよく振り向いてきたと思えば、ムッとした表情になっていた。


 「…何で、笑うかな?支度に手間取って準備が遅れたから、…待ち草臥くたびれていると思って、迎えに来たのに…。」

 「ふふふっ。ありがとう、気を使ってくれて…。夕月(ゆづ)が迎えに来るには、まだ当分掛かりそうなのね?…ですから、葉月が来てくれたのでしょう?」

 「………。夕月(ゆづ)が…迎えを心配してたからだよ。別に…()()意味はないし…。」


葉月は、やはり自分の意志で迎えに来てくれたようだった。今までも、似たような事が何回かありましたけれど、夕月(ゆづ)の頼みで仕方なくなのだと思っていたのに…。本当は…、違っていたのですね。私が思い込んでいた葉月は、夕月(ゆづ)以外には冷たい男の子だと、夕月(ゆづ)以外は優先しない人なのだと、私はずっと勘違いしていた。

()()()案外優しいのだと、最近気が付いてからは、何だかとても嬉しく思ってしまっている。夕月(ゆづ)と同じくらいに、大切にされている気がして…。


私が、また「うふふふっ。」と笑っている傍らで、葉月はずっと、「……。」と無言でしたが。私に触れないぐらいには隙間を開けて、私の隣を歩いている。

勿論、私の歩調に合わせた形で。この前のように、手を繋いだりはして来ない。

夕月(ゆづ)が隣にいるかのように錯覚するぐらい、不自然さはなく。


そう言えば、夕月(ゆづ)と一緒に2人で歩いている時も、葉月は夕月(ゆづ)の歩調に合わせていたように思う。双子と言えど、今は背丈もだいぶ差があるので、歩く歩幅も違ってきている。よく考えてみれば、あれは絶対に私達に会わせた歩みなのですね?

葉月は、そういうところが器用なのだと思う。お兄様も同様なのですが、それでも何故か、葉月の方が上手いと思ってしまう。やはり身内は除外されるのかしら?

それとも…私、この夏休みで、随分と葉月に感化されたのかも…。


ゆっくりゆっくりと北城家まで歩いて行く。少し前までは、葉月と2人になることを、あれほど苦痛に感じていたというのに…。今日の私は、もう少し歩きたい気分なのであった。本当に、私はどうしてしまったのだろうか?

自分のことなのに、頭に靄が掛かったように、よく理解出来ないでいた。

深く考えようとすればするほど、頭の一部が痛くなって来るような感じがして…、何故だか()()()恐怖を感じてしまっている。


兎に角、今は…あまり考えないようにしたい。考えたくないのです。()()私は…。




         *************************




 朔兄(さきにい)が突然、「明日、寮に帰ることにしたから、今日はレストランで一緒に夕食にしよう。」と言い出した。予約は取ってある、とのことだった。これ、いつものお別れ会だろうけど、朔兄が支払ったら、意味ないんじゃない?


まあ、やっと、女子陣の許可が下りるようになったからね。中学生までは、夜の外出が禁止していたからだ。主に我が家の両親が。例え、1番年上の朔兄が連れて行くとしても、九条家の運転手付きであっても。例外として、九条家のご両親か、我が家の両親、つまり保護者付きでなければ、夜の外出は禁止されていた。


夕月(ゆづ)未香子(みかこ)が高校生になり、また朔兄が大学生になったので、やっと解禁されたのである。但し、誰とでも何処へでも、許可が下りる訳ではなく。飽く迄、保護者達に信用のある朔兄が、車で連れて行くからに()()()()()。朔兄は、()()()()()で油断ならない人なのである。ある意味、実の両親でさえ騙せる人だからね…。


うちの両親って、夕月(ゆづ)が本来高2であることを忘れてない?双子でも一応、夕月(ゆづ)が戸籍上でも姉なんだけどね。まあ、姉だけでなく、僕も禁止対象だったから、心配症なだけかもしれないが。それに比べると、未香子の場合は、案外簡単に許可が取れたんだけど、九条家ってどこか緩くない?


朔兄は、僕らと一緒に食事がしたかったんだろうな。まあ、いいか。一応は、我が家よりも九条家の方が、お金持ちなんだから。お祖母様の実家の四条家と比べたら、九条家も下に見られるんだが。表向きは、我が家は、四条家とは縁がないことになっているから、関係ないからね。


しかし裏事情では、夕月(ゆづ)が、四条家の次期候補に挙がっているのは、間違いない。

四条家は正式な後継者がおらず、色々と理由があって、今はお祖母様が、経営を一部預かっている状態である。お祖母様は、特に夕月を気に入っているので、このまま行くと、まず逃れられなくなる。夕月(ゆづ)自身は、継いでもいいとは思っているようであるが。そう簡単に済む話でもない。


まあこんな話は、今はどうでもいい。今日は、僕のお別れ会を我が家ですることになっている。母と夕月(ゆづ)は、張り切り過ぎていて、未香子の迎える時間を越えるに違いない。今日は、自分は何もするなと言われているし、手持無沙汰でもあるから、久しぶりに未香子の迎えにでも行こうか?

僕が夕月(ゆづ)の代わりに迎えに来るのは、未香子には嫌われるだろうなあ…。


最近の未香子には、…あの水族館での出来事から、勝手が違い過ぎていて、正直僕の方が戸惑っている。僕が嫌っていないと、正直に伝えたからだと思うけど…。

いや…、未香子が嫌っていないのは、意外だったんだが…。

何だか、僕の反応を面白がっている時もあるし、どう対処すべきなのか…。


九条家まで迎えに行くと、未香子がキョトンと()()()()()顔をして、僕を見てくる。ううっ。目のやり場に困ってしまった。慌ててそっぽを向けば、彼女はクスクス笑い出す始末…。何が可笑しいのかと思えば、自分が勝手に迎えに来たのが、バレてしまったようである。彼女に()()は知られたくなかったのに…。


双子だからこそ、夕月(ゆづ)の気持ちが理解出来る。頼まれる前に、こうして実行していただけなのに…。以前から夕月(ゆづ)に、双子以上に認めてもらいたいという気持ちもあり、余計に姉の想いを酌んでいた。今回も、僕にはその延長であるに過ぎない。


しかし、彼女は一緒に歩いている最中、ずっとクスクス笑っていた。こんなことは初めてで、どうしていいのか考えが纏まらない。彼女は、僕が自主的に迎えに来たのが嬉しいように、そう思えて…。僕は一層戸惑っている。


僕は、彼女にとって異性で、僕にとっても彼女は異性で、如何足掻いても、()()()()なれない。男性が苦手の彼女には、僕が苦手である筈なのに…。

抑々(そもそも)、性格が違う時点で、僕は夕月(ゆづ)とは、()()()()なのだ。


なのに、()()そんなに彼女のガードを緩めたのか…。

今の僕には…理解出来ないでいたのであった。

 今回は、夏休み最後のプライベートな夜、というお話です。

前半が、いつも通り未香子視点で、後半は、珍しく葉月視点となっています。

前回が、少し暗めというか重いというようなお話になったので、今回は明るめにしています。


残念ながら、この後の食事会のお話はありません。ご想像にお任せします。

さて、次回からは、また学苑にお話が戻る予定です。

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