↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
君の騎士 ~君を守るために~  作者: 無乃海
第一幕 名栄森学苑1年生編【2部 夏の巻 編】
PR
67/201

58話 本音と疑心の狭間

 夏休み中のプライベートな2回目のお話、Part2です。

Part2では、誰視点かが、前半と後半で違います。

前回に、今後に暴力行為若しくは言語が見られます、と後書きで記載しましたが、今回はチラッと見られます。

次回はもう少し多めに、この展開が続く予定ですので、暴力などで気分が悪くなるかもしれません。お気を付けください。

 私と夕月(ゆづ)の2人は、腕を組んだり手を繋いだりして、仲睦まじく歩いている。カップルも大勢いるものですから、私達ばかりが目立っている訳ではなくて。

でも、時々、同世代の女子達から見られているのが、…その視線がやけに心地良く感じる。偶に、「ねえねえ、…あのカップル。物凄く仲良さそうだし、お似合いだし、羨ましいなあ。」と、話す声が聞こえてくる度に、顔が()()()()()になって困っている、私…。


そう、そう。困ると言えば…、夕月(ゆづ)が1番困ってしまう出来事が、あるのよね…。

それは、生理現象、つまり、…お手洗いの事である。

男装している時には、まさか女子トイレに入る訳にもいかず…、かと言って、男子トイレで立ってなんてことも、…男子ではない限り無理である。

では…、どうするのか?結果的には、男子トイレに堂々と入るしか、仕方がない。勿論、個室の方へのようですが…。


女子トイレとは、若干造りが異なったり、衛生面では、女子トイレの方が圧倒的に綺麗な仕様、となっているようですが…。夕月(ゆづ)自身は、特に気にしていないようなのですけれど…。…私でしたら、絶対に耐え切れないことですわね。

問題なさそうな場所でなら、多目的トイレでも利用可能なのですが、こういう場所での人が多い所は、まず無理なのです…。


こういう時、夕月(ゆづ)には本当に悪い事をしている、とは思っているのです。

しかし、それでもやっぱり男装してほしいと思う私は、薄情な人間なのですわ…。

夕月(ゆづ)が本気で嫌がっていないからと、私の我が儘を通してしまっている。

ですから、そういう態度が、学苑の皆さんに我が儘だと思われているのでしょう。家族も夕月(ゆづ)も、私に対しては激甘ですから、つい気付くのが遅れてしまって…。


そんなことを、つらつらと考えていましたら、突然、このお店の外から、大きな女性の声が聞こえて来た。今、私達2人は、とあるお店の中でウインドショッピングをしていたところです。女性の声に反応して、お店の外を覗いて見ても、人混みが多過ぎて何も見えなかった。私の背が低いから、見えないのもあるのですが。

夕月(ゆづ)は、背丈が程々にあるので、チラッと見えたのかもしれない。


私の隣に立っていた夕月(ゆづ)は、私の方を振り返って来て。私の肩に両手を置いて、私の顔を覗き込むようにして、私の目を真正面から見つめながら話し掛けてくる。

そこには、いつものふざけたような楽し気な表情は、()()なかった。


 「未香子…。()()で待っていて。僕が戻って来るまでは、()()()動かないで。」

 「…うん。…分かりましたわ。」


私は呆然として、夕月(ゆづ)の顔を…、目を見つめたまま、何とか返答をしていた状態で…。私は、夕月(ゆづ)の瞳の中に、不安げな顔をした私がいるのを、ぼんやり見つめていたのだった。…そうなのです。私は、何となく不安だったのである。

夕月(ゆづ)が私に、こういう風に説得するように話す時は、間違いなく誰かの助けに入る時でしたから…。いくら夕月(ゆづ)が強いと言っても、心配なものは心配なのである。


今回もお店の外では、若い女性が、素行の悪そうな男性に絡まれている、という雰囲気がしている。夕月(ゆづ)は正義感が強い人だから、困っている人を見捨てることが出来ないのだと思う。夕月(ゆづ)が、今まで誰かに負けた瞬間なんて、私は()()()見たことがない。しかし、だからと言って、ケガをしないというお話でもない。

私は、夕月(ゆづ)に出来るだけ、不必要に危ない目に遭ってほしくない、と思っている。そして、ケガも()()くしないでほしい。


…私は、()()()()だと思う。自分を守ってもらう時は、いつも平然と守ってもらっている癖に…。自分以外の人間に対しては、夕月(ゆづ)を巻き込まないで、と思ってしまっている。何も、夕月(ゆづ)ではなくても、いいのではないのでしょうか?と…。

夕月(ゆづ)以外にも、他にきっと助けてくれる人がいる。だから、その人に助けてもらえばいいのだと…。そのような非情な想いを抱えている。


夕月(ゆづ)、行かないで!危ない目に遭うと分かっていて、あなたが態々(わざわざ)行く必要なんてないのです。きっと…、誰かが何とかしてくれることでしょう。

こんなにも大勢の男性達が、見ているというのに…。

何故、誰も見ているだけで、()()()()()のです?…この、卑怯者!


このような醜い私の声が、私の頭の中で渦巻いていて。可哀そう、助けてあげて。そう呟くような小さな声も、微かに頭の中で生まれている。

私の中の、唯一の正義の声でもある。でも、今は、醜い私の声の方がまさっていて。正義の心の声は、今にも消えそうであった。夕月(ゆづ)の強い意志を感じた私は、何とか正気を保つことが出来た。夕月(ゆづ)に嫌われたくない()()で…。


 「未香子?怖い?…大丈夫?」

 「…大丈夫。だから、…行って来て。私、待っていますから…。」


私の心の異常に、夕月(ゆづ)は気が付いたのかもしれない。醜い心を持った私を、心から心配してくれている。だから、私も勇気を出して、夕月(ゆづ)を送り出す。

私が、快く送り出してあげなければ、夕月(ゆづ)が悲しむだけ…。

私だって本来は、夕月(ゆづ)が行くことを応援していた。なのに…、いつからこんなに歪んでしまったのだろうか…?


私の言葉に、夕月(ゆづ)は大きく頷いてから、すぐ身を翻すようにして、素早くお店の外に出て行った。私は涙が零れそうになり、何度か大きく深呼吸をして、心を落ち着かせていて。ただただ、店の中から飛び出していく夕月(ゆづ)を、姿が見えなくなってしまっても、()()()見つめ続けたのだった。






         *************************





 

 今日、私とナルちゃんは、一緒に街に買い物に来ていた。もうすぐ夏休みが終わるので、新学期に必要な文具などを買いに来たのだ。学苑の購買でも買えるけど、商品も値段も、お金持ち用といった感じなのよね。私のお小遣いでは、高すぎて買えないよ…。そんな理由もあり、2人で買物の約束をしたのだ。(いく)ちゃんも誘ったけど、今日は家の用事があるんだって。


私とナルちゃんの家は、ごく一般人の家である。でも、郁ちゃん家は、お金持ちの家といった雰囲気の大きなお家であった。この夏休み中に、お互いの家に遊びに行ったりした。郁ちゃん家は、外車も持っていて、お手伝いさんも居たんだよね。郁ちゃんって、案外()()()()()()お嬢様だったのね…。


 「今日は、郁のことは、気にしなくてイイって。郁ん家だったら、学苑の購買でも買えるだろうし。」

 「そうだね。深く考えないで誘ったけど、もしかしたら迷惑だったかもね。」

 「あっ、それはないと思うよ。郁って、嘘つけなさそうだし。今日だって、本当は行きたそうだったじゃん。」


そうなのだ。郁ちゃん家はお金持ちだと思うけど、郁ちゃん自身は、高価な物は全く身につけていなかったりする。学苑だけでなく、家での持ち物も、どこででも買えそうな平凡な物ばかりだった。家は大きかったけど、彼女の部屋は、一般的な普通の女子の部屋だったのよね。


私達は、午前中に必要な買い物を済ませ、午後の今は、ブラブラと当てもなく歩いている最中である。今日来られなかった郁ちゃんに、お土産を何か買っていこうという話になって、今は丁度、2人で探しているところだったのだ。


 「()()なんか、いいんじゃない?」

 「いいね。私も気に入っちゃった。私達も、お揃いで買わない?」

 「うん。いいね。じゃあ、どうせなら柄違いにしようよ。」


郁ちゃん用に選んでいた品物が、ナルちゃんも気に入ったと話すので、それならば3人でお揃いにしようと、自分の分も買うことになった。ふふっ、お揃い!

郁ちゃんも、喜んでくれたら嬉しいなあ~。私達が買ったのは、和物の小物入れ。お財布みたいに、がま口になっていて、超可愛いの!


ルンルン気分で、私はナルちゃんの後から、お店を出ようとしていた。

決して急いでいた訳でもなく、人が多いので気を付けていたのにも関わらず。

お店を出たところで、()()()、私は誰かにぶつかってしまった。

相手の人には、すぐに謝ったのだけど、相手が悪かったみたいで…。


 「へえ~。君達、可愛いね。どう?俺達と一緒にお茶しない?」

 「いえ、急いでいるので結構です。」


私のぶつかった相手が、ナンパしてきたので、私達は急いでいると断った。

それなのに、相手の不良風の少年達は、しつこくて諦めが悪くて。

()()助けを求めるように、大きな声になって必死に(あらが)っていると、誰かが私達の前に立ち塞がるように、割り込んできた。

横顔を見えたけど、私達と同じくらいの、全く知らない()()だった。


背丈は、男子にしてはそんなに高くなくて、顔も童顔なのか中性的な人だった。

それなのに、何故かホッとしてしまう。何故だか、とても安心出来たのであった。

それに、…()()()知っている様な気がしていたのだ。…何故だろうか?


 「相手が嫌がっているというのに、それが本気で分からないのなら、()()()盆暗だよな?…あんた達って?」

 前回のほのぼのムードとは異なり、暴力行為(言葉など)の内容を含む展開となります。(今回は、ケンカを吹っ掛けた状況で、終了です。)


暴力の多い話で、申し訳ないです。ですが、この展開あっての物語となっていますので、ご理解願います。


※お気付きだと思いますが、前半は、未香子視点、後半は、萌々花視点です。

 この時点で、萌々花達は、少年が誰か知りません。

 また少年も、助けているのが誰だか知りません。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。