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君の騎士 ~君を守るために~  作者: 無乃海
第一幕 名栄森学苑1年生編【2部 夏の巻 編】
62/199

54話 見守る会の結成

 夏休み中のプライベートなお話、Part3です。未香子視点が続きます。


今回は、おかしな方向に向かう未香子のお話です。何か、頭のネジが1本ぐらい抜けていそうです。前回、葉月に振り回された、未香子の反撃の回だっだりして…?

 今現在、私達は、()()()()()()の行動を見守っているのである。

…えっ?見守るのではなくて、見張っている(ほう)の間違いですって?

ち、違うわ。だって、本当に見守っているのですもの。

何故、見守るのですって?そ、それは…。


 「退()()だったからだよね?」

 「ぎゃあ!…何故、耳元で話すの?それより、私の心の声を、どうして……。」

 「はっ?いやだって…、さっきからブツブツ呟いてたよ?」


はっ!しまった…。どうやら、また私は、呟いて声に出していたのですわね。

それより…、先程から、葉月(はづき)が近い!…近すぎるわ。うううっ。もう少し離れて欲しいのに…。私は思わず、葉月の身体をギュウギュウと横に押してみる。

しかし、全く、これっぽっちも、ビクともしない。…ううっ。全然動かせない…。


 「何してんの?(ひと)を押してきて…。狭いんだからね、我慢して。これ以上押されると、この柱から()み出して、あっちから丸見えだよ。」


う、嘘つき!全く動いていない癖に…。…確かに、これ以上柱から出てしまうと、向こうからは丸見えになりますのよね。…というより、葉月とこのように近くに、1ミリでも動けば、肩が触れそうなぐらいな距離に、居たことがないのだ。

私が動揺するのは、当たり前のことなの!もう、どうにかして…。


それに対して、葉月は全く動じていない様子である。しかも、セリフが一々(いちいち)夕月(ゆづ)と被っているのだから、困ってしまう。そして…、行動も同じく。

これではまるで、夕月(ゆづ)と一緒に行動しているみたいだと、勘違いしそうで怖いの。まあ…、違うところもあるにはあるのですが。


今はこうやって、私は、葉月と一緒に行動していますけれど、サービスエリアで降りた際に、手を引っ張っられたぐらいで、それ以前もそれ以降も、葉月は、私に全く触れて来ないようにしている。多分、…そうだと思いますわ。

サービスエリアのあの時は、私が、ボ~と考え事をしていたものだから、何か危ないと思う事でも、あったのかもしれない。夕月(ゆづ)も同様に、よくそうしてくれるわ。


思えば、葉月に手を掴まれたとかって、知り合ってから初めてのことかもしれないわね。私からも、今までは特に触れたことがないし、葉月もそうだったのよ。

…そうだわ。だから、()()()()()()()()、嫌いなのだと思っていたのですわ…。

夕月(ゆづ)と同じ行動をする、葉月だからこそ…、そう思ってしまったのだろう。


もしかしたら、私が男性恐怖症になってしまっていたから、触れないようにしていたのだろうか?私の為に、気を遣ってくれていたのだろうか?…そうなのかな?

葉月のことは、夕月(ゆづ)の弟としてしか、今までは見ていなかったもの。

だから、今頃になって、気が付いたこともある訳で…。


それよりも、今は、あの2人を見守ることに集中致しましょう。そうでもしないと、頭が余計なことまで考えて、パンク寸前まで行ってしまいそうよ。

夕月と葉月を間違えそうになったことなんて、今までに一度もなかったものだから、余計に混乱してしまっているのだ。

それに、今の状態になったのは、葉月が原因なのである。


遡ること、数分前。退屈しのぎにと、葉月がある提案を提示して来たのである。「今日は、夕月(ゆづ)朔兄(さきにい)の2人を、僕達2人で見守ろう。」と…。

その時は、未だに混乱して、フリーズしていた私。そんな私を見て、葉月も当惑したのだろうと思う。前触れもなく、こんな提案をしてきたのだった。


 「こんな機会、()()()ないかもしれないから、2人の後を付けようか?案外、面白いものが、見られるかもしれないよ?退屈しのぎにもなるし…。」

 「…はい?…面白いものって、どういうことですの?」

 「うん。だからね。未香子(みかこ)の場合なら、朔兄の照れてる姿とか挙動不審の姿とか、結構面白いと思わない?」


夕月(ゆづ)と兄の2人の後を付けるって言われても、何だかピンと来なかったの。

あのお兄様が、何か失敗するご様子は、私からは考えられないのですわ。

それに…、2人っきりでいる姿を見ていても、面白いことでもあるだろうか?

…でも、気になると言えば…、気になるかも…。

確かに、葉月と唯2人で回っても、今の私には、楽しいとは思えないわ…。


 「じゃあ、2人を見守る会の結成だね。」


私の様子を()()()に見つめていた葉月は、私の同意を得たとばかりに、無理に押し切ってくる。まあ、それしかないですわね…。はあ~。(気が重いと溜息を吐く)

こうして、私と葉月の夕月(ゆづ)達を見守る会が結成されたのであった。でも、何だか、()()()()何でも楽しむところも、夕月(ゆづ)にそっくりだと思うのですが…。

逆に、2人の性格で、似ていない部分の方が、あるのかしらね?






         *************************





 

 そうして、今の現状に至る。今現在の私と葉月は、人間が2人分ピッタリ収まる太い柱の陰から、夕月(ゆづ)と兄の()()()()()?を見ているのだった。

兄が話し掛け、夕月(ゆづ)がそれに応えるように笑いかける。楽しそうな雰囲気に、私はいささか、やさぐれている状態ではある。


本音としては、2人が何を話しているのか、その内容が気になって仕方がない。

それでも、よく考えてみれば、お兄様が私を悲しませることをする訳もなく。

例え、ジャンケンでの勝負だとしても。この状況は何か()()()()()のだろうか?

抑々、葉月は、兄に協力でもしているのでしょうか?


横に立っている葉月を、仰ぎ見る。葉月は、お兄様に焼いていないのかしら?

そう、チラッと思って見てみれば、そんな様子は全くなく、ただ冷静に見ている。

う~ん。葉月って、何故か、夕月(ゆづ)よりも表情が分かりにくいかもしれないわ。

夕月(ゆづ)と同じだと思っていたのに、やっぱり違うのでしょうか?


 「うん?何?どうかした?」

 「ううん。何もないのですけれど…。お兄様が、私の事を気になさらないことがあるなんて、本当に珍しいかなって思いまして。」

 「ああ。うん…。朔兄が…、未香子の男性恐怖症を一刻も早く直したいと、最近話していたから、それも…あるのかな?」

 「えっ?どうして…?前ほどではないですわよ?流石に…、大人の男性については、まだ駄目みたいですが……。」

 「う~ん。僕も、上手く説明出来ないんだよね…?僕と練習して…とか、なのかなあ?⦅()()()だとか言ってたし…⦆」


いつもは、私の事を心配して、私の周りに居る兄。でも、今日は全く気にしていない気がします。それを疑問にすれば、葉月が()()()()()を言ってきた。私の男性恐怖症が関係していると。葉月も、イマイチ自信が無さそうに、兄の想いを語ってくれますが…、気になる()()が聞こえて…。…葉月と練習?何を…?


うん?でも、やはりそうなのかしら?…そうだとしたら、夕月(ゆづ)によく似た葉月となら、確かに大丈夫かもしれませんね。お兄様は、やっぱり心配性過ぎるのですわ。

…お兄様を、何とか安心させられないものかしらね。手っ取り早く…。

…そうだわ。いい事を、思い付きましたわ!早速、葉月に協力して頂けねば。


 「…ねえ、葉月。私が嫌ではないのなら、…協力してもらえるかしら?」

 「ん?…何を?協力って…、何をする気なの?」


私の協力の申し出に、葉月は目を丸くして、キョトンとした表情をしていて、

もうこれが、これまた夕月(ゆづ)によく似ていますのよ。

夕月(ゆづ)だったら笑い転げそうな内容なのですが、葉月もそうなるのかしら?


 「お兄様に安心してもらう為ですわ。葉月の協力が必要ですもの。」

 「…一体、何をするつもり?」

 「今から、水族館の中を、()()()見て回るのですわ。()()で。」

 「へっ?……。え~と。2人って、…誰と誰?」


私が協力を再び仰ぐと、葉月は怪訝な顔をして。協力の内容をお話すれば、今度は何だか唐突に、葉月は狼狽え出した。頭の中が混乱しているといった様子である。

あらっ?何だか、()()()微妙に夕月(ゆづ)とは異なっていますわね?

葉月は、どうしたのかしら?私に協力するのが、やっぱり嫌なのかしらね?

誰と誰がと訊かれても、私達しかいないでしょうに。本当に分からないのかしら?


 「もう…。私達のことですわ。私と葉月。」

 「 ‼ 」


私と葉月の2人で仲良く回りましょう、と言っただけなのですが、そう話した途端に、葉月が全く動かなくなったのです…。フリーズしたみたいで…。完全に固まっていますわね。何をそのように、驚いているのでしょうね?…不思議ですわ。

少し待っても動きそうにないので、私は仕方なく、「葉月?」と呼びかけて顔を覗き込んでみる。あらあらっ?葉月が変!?…まあ、どうしたのかしら?

お顔の色が段々と、赤くなってきたような感じが……。


そのように、それほど目を見開いて、私を見なくても…いいではないですか…。

漸く動き出したかと思ったら、葉月は、思いっきり顔をプイッと背けてしまう。

あらっ?耳まで赤いようですね…。もしかして…照れていますの?

夕月(ゆづ)では()()見られない反応に、私は興味をそそられていた。何だか、面白いわ。

何に照れているのかは、分かり兼ねますけれど。


うふふ。このような面白い葉月が見れるのでしたら、これからはもう少し、葉月とも仲良くするのも一興(いっきょう)ね。…… ‼(突然、何かが(ひらめ)いて)

ああ!そうなのですね、お兄様!私、葉月で()()()()()が、漸く分かりましたわ。


葉月と仲良くすれば、男性に対抗する手段も、有効になりそうですのね?

教えて下さって、ありがとうございます。お兄様。

 副タイトルの意味は、本文に書かれている通りです。


今回ふざけている様で、2人共、行き成りタッグを組まされて、他の事に気を回そうとしている状態です。(一応、真剣)

未香子は、何だか今回の事で、初めて葉月を意識した感じですね。しかも、夕月と同等範囲内で。葉月も、未香子を意識してるのかどうか、よく分からないし…。


果たして、恋愛面で、2人が意識し合うことは、あるのかな?それとも、他の誰かなのかな?


※⦅ ⦆…この二重カッコ内は、セリフを言っている本人の小さな呟き声です。

     話し相手には、全く聞こえていません。

 ( )…序でに、このカッコ内の意味ですが、未香子の動作を表しています。

     第三者視点での動作表現となっています。

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