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君の騎士 ~君を守るために~  作者: 無乃海
第一幕 名栄森学苑1年生編【2部 夏の巻 編】
52/196

45話 アンティークじゃないの?

 前回に引き続き、今回も萌々花視点です。内容も続きとなっています。

内容が、お店の説明ばかりになってしまいました。こんな筈では……。

 「わあ。何だか、シックな感じのお店だねぇ。」

 「うん、シンプルだけど、落ち着いた雰囲気のお店だね。」


(いく)ちゃんとナルちゃんが、このお店のことを褒めてくれる。どうやら、お店を気に入ってくれたようで、良かった。私は、2人の喜んでくれている姿を見て、ホッとしていた。「私の一押しなんだよ。」と笑顔で応える。お店を気に入ってもらえる自信はあったけど、「時代遅れだよ。」と拒否される可能性もあった。

2人がそんな人ではない、と思っていても。不安だったのだ。


 「そうでしょ、そうでしょ?とっても、素敵でしょ?」

 「なんで、萌々(もも)ちゃんが威張ってるのよ。その態度、まるで萌々ちゃんのお店みたいだよ。親戚とかのお店なら、兎も角さぁ。」

 「いいじゃない!だって、私のお気に入りのお店なんだよ。友達にぐらい、自慢したいんだよ。」


私は、ここぞとばかりに、このお店のことをプッシュする。そんな私を見て、ナルちゃんが呆れたような表情で、私に()()()()してきた。でも、2人が気に入った様子なのが嬉しくて、今の私は、テンションが相当上がっているようであった。

だって、友達を連れて来たのは、生まれて初めてなのだから、テンションも上がるのは、当然だよね?前々から、仲の良い友達に紹介したかったんだ!


私がバイトしている親戚のお店は、今の流行(はや)りのデザートとか扱っていて、更にオリジナル性を含んだ新しいものをと、流行を追った喫茶店なのよね。

それに比べてここのお店は、どちらかと言うと、外観からも流行遅れの時代錯誤した建物であり、店内も一見して古臭い感じを思わせている。


ところが、よくよく観察すれば、それらが全て(わざ)と創られたもの、なのだと分かるだろう。確かに建築物としては、歴史も古いようではあるのだが、ちゃんと改装しているようだった。所謂、リフォームというものなのよ。

リフォームする時に、敢えて流行には乗らずに、古めかしい雰囲気を活かすように創った、アンティーク様式なんだよね~。


見る人が見れば分かるという感じで、お店としては、特にアンティーク様式だと宣伝すらしていないのだ。非常に勿体ないわよね。でも、広告などの宣伝をしていれば、親戚のお店みたいに混雑し過ぎて、ゆっくりとお茶をすることも出来ないのだろうな。それはそれで、嫌かもしれないね。


また、店内の至る所に、アンティーク家具やら、アンティーク工芸品やら、アンティーク美術品などが、色々と置かれたり飾られている。アンティーク家具は飾りという訳ではなくて、実際に客が座ったりして、利用出来るようになっている。

逆に、小物も飾りも、アンティーク家具以外の今風の物は、一切置かれていない。


うわ~、アンティーク家具に座って壊したり傷つけたりしたら、どうしよう。

改装後に初めて来店した時から、いつもそう思っていたんだよね。

だから、後日、()()を知って、本当に仰天したんだよ。実はこれ、アンティーク家具も小物も飾りも、全部レプリカなんだって。もう、本心からホッとしたよ…。

よかったあ~。本物じゃなくて。


何を隠そう、私は、この店を以前から知っていた。実は、私、こういう古臭いような、時代遅れのような、そういうお店が大好きなんだよね。

改装前は、確かにそういう古風なだけのお店だったよ。しかし、今は、見違えるほど古風に見せただけの新品ばかりで、綺麗でお洒落な軽食店になっている。


見かけはアンティーク様式だから、その事実を知らない人達は、まず入店しないかもしれないね。少しでも興味がある人達が入店しているみたいだけど、それでもアンティーク家具が本物と思っている人も多いようで、レプリカとは全く気が付かない人も多いらしい。レプリカって聞くと、すぐ偽物と思う人がいるけど、()()()()()()、レプリカは、そもそも偽物とは違う扱いだからね。


それより…。…店長さん、これって()()なんですか?

誰にも気が付かれなくても、何か意味があるのですか?




         *************************




 「ええ~!これって、アンティーク家具じゃないのぉ~?」

 「ホントに?どう見たって、高そうな昔の家具っぽいけど…。」

 「うん。本当だよ。店長さんが言ってたんだから。家具とか小物とか飾りとか、全部レプリカなんだって。」

 

郁ちゃんもナルちゃんも、物凄い驚きようである。そりゃあまぁ、逆に全部レプリカだって聞いたって、ビックリするよね。私も当初は、かなり驚いたんだもん。

レプリカと聞いても、信じらえないぐらいの出来栄えなのだ。私も、店長さん本人から聞いていなければ、信じらなかったよ。


 「でも、レプリカなら、例えば、壊れても大丈夫なんだよねぇ?」

 「そうかな?レプリカでも高そうな気がするんだけど?」

 「…実はね、レプリカでも特注品らしくて…。私達未成年だけじゃ、弁償出来ないぐらいには、高価だって聞いてる…。」

 「「ぎゃあ~!」」


レプリカと聞いて、郁ちゃんはホッとしたのか、ドスンと勢いよく座り、ナルちゃんは恐る恐る座っていた。そう、椅子もテーブルもアンティーク家具なのだ。

一応はレプリカなのだけど…。でも、レプリカでも特注で頼んだものだから、値段が簡単にはつけられないみたいなんだよね。そういう意味の私の返答を聞いた途端に、2人は大きな叫び声を上げて、飛び上がるようにして立ち上がった。

弁償不可と聞いて、相当驚いたみたいね…。


すると、直ぐ傍からクスクス笑う声がして。私は慌てて振り返り、声の主に目を遣った。笑っていたのは、この店の店長さんの奥さんだった。お盆を片手に持って、反対の手を口に当てて笑っている。どうやら、注文を取りに来ていたようで…。お盆には、3人分のコップと、お水が入ったピッチャーが乗っている。


2人も、笑い声で気が付いたようで、顔の向きをギギギと音がしそうなぐらい、ぎこちなくゆっくりと動かして。店長の奥さんを見た途端に、2人の顔は青くなる。壊したりしたとかでもなく、()()()()()()()というのに…。2人を見ていた私も、何だか可笑しくなってきたよ。笑ってはいけないと思う程、笑いたくなる。


店長の奥さん(私は、『おかみさん』と呼んでいるんだよ)は、私達が振り返って目が合うと、笑うのを止めてにっこり微笑んだ。そして私達のいるテーブルに近づいて、お盆の上のコップを私達の前に置き、水を注いでくれた。

郁ちゃんとナルちゃんの2人は、まだ立ったままの状態で、ボー然とその様子を見つめている。う~ん、まだ固まっているよ、2人共…。


 「大丈夫よ、そんなに気にしなくても。確かに特注品だから、レプリカと言えど安くはないけど、売る商品ではないのよ。お客様が傷つけたり、壊したりしても、それが態とでもなければ、弁償なんて要求しませんよ。それにね、お店で使用する家具なんだから、傷つくことは()()()()だと思っているわ。だから、他のお店と同じように、そこまで気にしなくていいのよ。」


おかみさんにそう言われれば、郁ちゃんもナルちゃんも、やっと落ち着いてきたようで、恐る恐るという感じで椅子に座る。それまで私は、笑うのを我慢していた。

そうだよ、我慢していたんだよ、笑うのを…。でももう、私は我慢の限界がきたらしく、そこで思いっきり噴き出してしまっていた。もう、ダメだ~!


 「ぷっ、あはははっ!可笑し過ぎる!あははっ…。」

 「ちょおっ‼萌々ちゃん!何で笑うのぉ~?!」

 「 ‼ 萌々ちゃん!知ってたでしょう?早く言ってよ、もう狡いよ!」

 「ごめん、…ごめんね。そんなに驚くと思わなくて…。ぷぷっ!」


郁ちゃんとナルちゃんから、「「笑わないでよ。もう‼」」と抗議されても、一度笑い出すと中々止まらない。そんなに驚くとは思わなかったんだよ、ホントに。

飛び上がり方がさまになっていて、何だかお芝居しているみたいだったよ。

そう話したら流石に、2人共、怒っちゃうかな?…内緒にしておこうっと。

 久しぶりの萌々香視点でのお話は、今回で終了になりませんでした。次回も続きます。1回で終わる筈が2回に…、と思っていたらまた続きになりました。こんなに長くなるとは…。


お話の内容がほとんど進まず、お店の説明の話になってしまいました。

萌々花には、頑張ってもらわねばならないのですが…、次回に持越しですね。

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