42話 男子の友情
前回のお話からの引き続きの内容となっています。今回も未香子視点です。
男子の日常風景?を書いてみました。最近、周りで甘党男子をよく見かけます。
反対に、コーヒー・紅茶のブラック派の女性も、見かけることが多くなりましたよね。
「お待たせしました。ごゆっくりどうぞ。」
萌々花さんが、私達が注文したメニューを、運んで来ては配膳してくれる。
彼女は、立ち去る時に一言話してから、にっこり微笑んで去って行った。
夕月だけは、その微笑みに対して、「ありがとう。」と言って、こちらも微笑み返していたけれど。
「うおっ!めっちゃ美味そう。」
「うえっ!めちゃくちゃ、甘そうな匂いが…」
「良かったね、晶麻。調子に乗って、あまり食べ過ぎるなよ。」
飛野君、木島君、田尾君の、男子3人の会話である。飛野君は、もうデザートに釘付けのようで、目がキラキラしている。どれだけ、甘いものが好きなのかしら…。
木島君は、私達全員が頼んだデザートの甘い匂いに、顔を思い切り顰めている。
甘いものが好きではない彼には、少々同情は致します…。田尾君は、飛野君を見て苦笑して、注意を促していた。まるで、兄と弟みたいね。
折角、可愛い女の子が微笑んでいったのに、ね。気にならないのかしら?
そう思ってから、ふと気が付く。木島君以外は、好きな相手がいるのでしたね。
そっと木島君を窺うと、彼は私達の後ろの方を、ジッと見つめていた。
何かあるのかと思い、振り返ってみたけれど、何も見当たらない。不思議に思いながら、再び前を向いた時には、彼は静かにコーヒーを飲んでいた。
見間違いだったのかな?そう思っていたのですが、ふと、横に座っている夕月の方を振り返ってみると、夕月は、木島君を観察するように、ジッと見ていた。
何?どうして?夕月が、木島君を見つめているの?
混乱した頭で不思議に思いながら、夕月をジ~と見つめていると、今度は私の方に顔を向けて、にっこり微笑んでくる。
「 ‼ 」
「美味しそうだね。早速、頂こうか?」
「…うん。」
物凄く意味ありげな笑顔に、私は一度凍り付いたけれど、夕月は敢えて何も言わないようである。う~む。…怪しい。
あの笑顔は、何か企んでいる時の笑顔だと思う。しかし、何を企んだのだろうか?
企んでいるからと言っても、何か行動する時もあれば、ただ傍観している時もあるのだし…。木島君に関することなのだろうか?
まあ、それらの事情は、一先ず置いといて。
飛野君は、洋菓子よりも和菓子の方が好きみたい。餡をたっぷり使った和菓子を、注文していた。とても幸せそうに、頬ばっている。
木島君は、お好みのアイスクリームがあって、良かったですわね。甘さを控えたクッキーとかなら、いつも食べていますもの。
田尾君のは、チーズケーキを頼んでいたわね。彼の感想では、酸味と甘みが丁度いい具合で、とても美味しいとのことでしたわ。今度来たら、食べてみようかな。
勿論、私の頼んだフルーツタルトも、物凄く美味しかったわ。
夕月が注文した抹茶ケーキも、一口貰ったのよ。うふっ。確かに甘みと渋みが丁度いい具合に調和されていて、超美味でした。
また、来たいなぁ。出来れば、夕月と2人っきりで。
「また来ようぜ!皆で。」
「晶麻…。お前、デザートが気に入ったからって、俺らを巻き込もうとしているだろ?」
「…晶麻、僕も、それには賛成出来兼ねるよ。1人で来たらいい。」
「え~。何だよ。友達だろ?付き合ってくれよ~。」
「「ヤダ‼」」
男子3人は、仕様もない事で揉めている。飛野君は、余程、この店のデザートを気に入ったのね。1人で来る勇気がないのか、木島君と田尾君を巻き込もうとして、2人に断られていた。そんな飛野君は、懲りずに今度は夕月の顔を仰ぎ見る。
あらっ!この顔、あざといぐらいに可愛いですわね。
飛野君を好きじゃなくても、こういう顔をされると、ころっと落ちそうである。
但し、私は、夕月以外には落ちませんわよ。
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「そんな顔をしても、私は未香子と来るから駄目だよ。もし、万が一でも、未香子がOKと言うなら、私は構わないのだけどね?」
「えっ!?私は、イ・ヤ!」
飛野君に縋るような顔を向けられても、夕月はきっぱり断っている。でも…、その条件に、何故、私が許したらいいなんて、含めるの?
お陰で、飛野君の視線が、私にまで飛んできたわ。イヤ!その顔で見ないで!
捨てられた子犬みたいな顔で直視されたら、流石に私も心が痛むわ!
勢いよく即答しては、首が取れそうなぐらいブンブン振ったのだった。
飛野君は更に落ち込んでしまい、捨てられた子犬から、やさぐれた子犬みたいになって、「…いいんだ。1人で来るし…。」とか、ブツクサ独り言を言っている。
仕方ないという表情で、田尾君が降参したように、「分かった、分かった。時々だったら、付き合って遣ってもいい。」と、苦笑しながら話すと…。
「時々って、3日に1度ぐらい?」と、飛野君は嬉しそうに訊いてくる。
「いや、最低でも1週間に1度ぐらいにしてくれ。」と、田尾君が首を振って。
それに対し、飛野君は不満そうな声を上げて、田尾君も「3日に1度は、時々の範囲じゃないだろ?」と、呆れているようだった。確かに、頻繁過ぎますよ。
それまで黙って2人の話し合いを見ていた木島君が、「…仕方ない。俺も付き合って遣るから、1週間に1度程度で妥協しろ。」と、田尾君を援護射撃する。
田尾君は笑いながら、「いいのか?」と一応訊いてはいるが、心の底から悪いなあとは、思ってなさそうね。木島君は溜息を吐きながら、「仕方ないだろ?どうせ、俺も人数に入れてるんだろ?」と、諦めたように話して。バレバレの様子である。
飛野君だけは、「やった!」と大喜びしている。木島君も田尾君も、何だかんだと言いながらも、飛野君には甘いのよね。あの子犬顔は、同性にも効くのかしらね?
何でこんなに性格がバラバラの3人が、一緒に行動しているのかと、いつも不思議に思っていたけれど、案外いいトリオだと思いますわ。
お店を出る時に、会計をしてくれたのも、萌々香さんだった。
「ぜひ、また来てね。」と、私達に言ってはくれたのですが…。
目線は完全に、夕月だけに向けていたわね?これって、夕月に対しての恋心とかでは、ないのでしょうか?夕月も、満更でもない様子でしたし…。
夕月の目付きが、物凄く優しい感じだったのは、…嫌な予感しかしません。
男子達は揉めていたので、夕月の態度に、全く気が付かなかったようでしたが。
しかし、彼女のように、ここまでイケメン男子3人を全く意識しないのは、本当に珍しい。学苑の大勢の女子達でさえ、夕月にきゃあきゃあ言いながらも、この男子3人にも顔を赤く染めている訳で。イケメン3人は、男女問わず誰にでも、人当たりが良いので。男子どころか女子の悪口を、絶対言わないものね。
萌々花さんは、先程も驚いたという感じぐらいで、顔は特に赤くなっていなかったもの。あの3人に対して、興味がないとか、好きなタイプではないとか、そういう女子生徒も、若干居るには居るけれど。でも、萌々香さんの場合は、そういう女子とは明らかに違うタイプだと思う。言葉では、これ以上上手く説明出来ないわね。
茶店を出た後は、5人で街中をあちこち見て回った。見掛けは男女の仲良し組で、時々、グループ交際みたいにも見られることもある。
まあ、今日は、夕月は女子の姿ですからね。飛野君と一緒にいると、カップルにも見えるようで。そして私も、木島君とカップルだと思われている。
では、田尾君はというと、飛野君に対して忠告ばかりしているものだから、飛野君のお兄さんだと思われている。私達の保護者として、付き添っていると。
おかしいでしょう?普通、カップルばかりの中に、お兄さんが保護者って。
もっと年齢が上なら、分かるけれど。思い込みって、凄いですね。
田尾君は、面倒見が良過ぎるので、飛野君の兄的な位置にいるのは、間違いないでしょうね。そう言えば、彼の婚約者の礼奈にも、妹のように世話を焼いていた。
でも、実際には、彼には姉しかいないので、長男であり末っ子でもある。
何だかんだと言っていても、田尾君の場合は、正式な婚約者がいるのだし、本人も納得した婚約なのだから、他の女子と仲良くする必要がない。
木島君は完全フリーであるから、誰と仲良くしても問題はない。ただ、お家の人が許可してくれるかどうかは、分からない。木島君も、其れなりの家柄の筈だし。
ここで1番問題になるのは、飛野君だと思う。彼には、家同士で決められた婚約者候補が何人かいるのだから。
飽く迄も婚約者候補で、まだ決定している訳ではない。しかし、どの婚約者候補も、自分が正式な婚約者だと思っていると、聞いたことがある。それなのに、公の場所でこのようにカップルだと思われるには、非常に不味い。
バレれば、難癖を付けられたり、嫌みを言われたり、しないとは言い切れない。
夕月の家は、表向きはただの会社員の家柄である。しかし、本当は四条家の直系の血筋で、もしかしたら夕月が跡を継ぐかもしれないと、言われているほどである。
四条家はある程度の家柄で、夕月に正式な婚約者はいないものの、あのお祖母様が簡単に許す訳がない。見た目は庶民なので、飛野君の婚約者候補が、馬鹿にしてくる可能性もある。そうなれば、あのお祖母様が黙っている筈がないので、大事になるだろう。将来の四条家跡継ぎに、何かしたなんてことになれば、大問題である。
夕月としては、飛野君の事は、何とも思ってない様子なので、簡単に考えているだろう。しかし、夕月が、勝手に敵視されるかもしれない。彼の婚約者候補達に、まだ会ったことがないので、取り越し苦労だといいのですが…。
前回からの続きで、萌々花がバイトしているお店でのお話です。
未香子から見た、男子達の日常の様子は、こんな感じです。
光輝の婚約者は、何れ正式に登場する予定ですが、晶麻の婚約者候補達が登場するかは、まだ決めかねています。晶麻とのやり取りだけにするか、夕月達に絡むまでにするか、という感じで。
そして、柊弥は、まず相手を探さないと…。




