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君の騎士 ~君を守るために~  作者: 無乃海
第一幕 名栄森学苑1年生編【2部 夏の巻 編】
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39話 被服部の思惑

 今回は、今迄とはちょっと違う形式のお話です。前半は、いつも通り『未香子』視点、後半は、第三者視点となっています。

後半は、被服部の話となりますが、新しいチョイ役キャラが登場します。

今後も、名前のみでも出番がある可能性があり、苗字のみ名付けました。

 とうとう、待ちに待った夏休みが、やって来ました。

と言っても、私の場合、ちょくちょく部活動で学苑に通うことには、なるけれど。

夏休み中に、幾つか映像作品を作ることになっている。3年生で外部受験する者以外は、部員全員の参加である。


裏方専門の部員は、頻繁に来なくていいと思うかもしれないけれど、裏方と言えど、お芝居の流れを覚えておく必要があったりする。

場面によっては、その場で何か準備したりする必要もあるからである。

案外、裏方のお仕事は、とても大変そうなのよ。上演時の舞台裏では、いつもドタバタ走り回っているぐらいですもの。


中等部での衣装は、どうしていたの?と、この頃はよく聞かれるようになった。

今までは、単に中学生の部活と言った感じなので、自分の私服を使用していたの。

大体は、制服で良かったし。私服を使用する場合は、基本的に自分の衣服を着用するのだけれど、偶に()()()()()()人物がいるのよね…。

そうなのよ。どこで買ったの、その服?みたいな人が…。


そういうセンスがないような人は、他の部員の衣装を借りていたわ。

だから、舞台上に出ない裏方の部員にも、私服を持参してもらっていたのよ。

センスがないとか以前にも、いつ、誰が、何が理由で、出場出来なくなるかもしれない。脇役なら、誰かが代理でお芝居しても、分からないし。


高等部も私服を使用しているのか、と言うと、そうではない。挨拶として全員で演技した時は、制服でおこなったけれど、その後は何と、素敵な衣装が、毎回のように用意されているのである。実は、部員も専門分野のメンバーが揃い出し、単に制服だけでの演技では、面白みがないという話になった。

その為に、役柄に合った本格的な衣装が、不可欠になったのである。


では、その本格的な衣装は、部費で購入したのかと、思うでしょうね?

幾ら何でも、大勢の部員の衣装を購入するのは、高額になるし、数回しか着ないのに無駄になってしまう。私服という手もあるけれど、実は色々と()()がある。


高等部から電車通学ということもあり、基本的に、お嘴より重いものを持ったことがないご子息・ご令嬢が、多いのである。(流石に、もう少しは持てますわよ。)

重い荷物は、例え自分の物でも、家のお手伝いさんとかが持ってくれる、という感覚なのである。中等部では皆、自分の家の使用人に、前日から運んでもらっていたみたいだったわ。私も同じく、夕月の分も一緒に。


その上、私達の衣服はブランド物が多い。誰もが知る有名ブランドもあれば、マニアックなメーカーもある。ちょっとしたブランドメーカー物なら、普段から愛用している生徒もい多い筈。学苑に持ち込むのなら、こちらの方だと思う。

でも、中には、()()()有名ブランドの衣服を、持ち込んだ部員もいるのよね。


高等部は外部生もいるので、以前に、有名ブランドの小物を持ち込んで、失くすという盗難騒ぎが起こった時、真っ先に外部生が疑われたようである。

当然、小物を失くした持ち主は、外部生を犯人として疑った挙句、結果的に内部生の仕業だと判明したそうで…。この持ち主が、自分以外の内部生を見下していて、特定の生徒には意地悪をしていたようだった。


いつも意地悪をされていた生徒は、小物を隠しただけの()()()()のつもりだったのに、失くした持ち主が、その場で犯人捜しをしてしまった為、騒ぎは思ったより大きくなったようだ。最終的には、無事、元の持ち主に返されたらしい。

その生徒達が、どうなったのかは知らない。ただ、高等部ではそれ以降、授業に必要ない物は、()()の持ち込み不可となっている。


部活に必要な衣類と言えど、同様である。ブランドの私服は、持ち込めない。

では、衣装は、どうするのだろうか?そう心配する声もあったし。

しかし、赤羽根部長は、()()手を打っていたのである。


高等部には、被服部が存在する。これが、結構()()()で、作りたいと思えば、どんな物でも作ってしまう。部長が入部する以前から、演劇部の衣装を手掛けていた。但し、着ぐるみ服の作製ですが。その頃の演劇部は、動物役とかもあったらしい。


今までは、実用的な衣装は頼んでいなかったので、部長が協力を求めると、当初は渋られたという。でも、中等部で人気だった私達が、入部すると聞いた途端、急に乗り気になったそうだ。衣装も役柄を説明してお願いすると、()()()で作らせてくれるならと、OKしてもらえたらしいの。うふふふっ。


それはもう、()()()()()衣装作製をしてくれている。

高等部に入ってからの制服以外の衣装は、全て被服部が作ったものである。

これが、私達の役柄にもろピッタリだけでなく、サイズもピタリなのだから、驚きである。サイズは測ってないのにね。




        ****************************




 被服部は、外部生が作った数少ない部活の1つである。故に、部員は外部生ばかりで構成されている。手芸部は元から存在していても、ぬいぐるみや可愛い小物作製が、主だった内容だった。初めて被服部を創った部長は、最初は手芸部に入部したものの、内部生と上手く馴染めなかった。


別に虐められたとか、嫌がらせされたとか、そういうことはなく、単に会話が成り立たなかった。正直、お嬢様達の会話について行けなかった。

作品も、兎に角可愛いものに拘る、お嬢様達の考えにも。彼女が作る作品を、結果的に認めてくれなかった。


彼女は成績がある程度優秀だったので、生徒会の生徒と仲良くなった時、こういう話を聞いたのだ。生徒会に申請して許可が出れば、新しい部活を創ることも可能だと。それは、外部生でも大丈夫なのだと。この話を聞いて早速、新しい部活申請をした。正当の理由があれば、大体は許可が下りるのだという。


実際に呆気ないぐらいに許可が下りた。部の名称は『被服部』で、主だった内容は、衣類に関する物を作ること。同じ部活を作る訳にも行かないし、部を創る理由も、其れなりの理由がいる。そうなると、全くない部活を創るしかない。

前々から何かの衣装は、作ってみたかったのだ。いい機会だと思った。


彼女は特にオタクでも、そういう服を着る趣味もなかった。作ってみたいとは思っていた、機会があれば。部を作る理由として、自分の為というより、誰かのための、色々な種類の服を作ってみたい、とした。

その中には、アニメなどの衣装、も入っている。つまり()()()()()()である。


すると、まだ創ったばかりの部活だというのに、コスプレに嵌っている子達が、入部して来たのだ。コスプレイヤの人達は、自分の好みのキャラの衣装を着る為に、自分で衣装を作るのだと言う。コスプレ衣装は、自分の着たい衣装は売っていない=作られていない事が多いらしい。


彼女はそのコスプレイヤ達を受け入れ、部員とした。

部員達と一緒に、コスプレ衣装だけでなく、色々な服飾に関する物なら何でも作ることにした。そして、ある時、演劇部から舞台衣装を頼まれたのである。

何と、それは()()()()だったのだ。


演劇部で、動物が主体の動物を擬人化した劇を披露するらしく、着ぐるみ風の服が作れないかと言う話であった。

彼女は面白いと思い、着ぐるみ服を作ることを承諾した。初めての試みで大変ではあったが、何とか演劇部の上演に間に合ったのだ。

上演は大成功で、部員達の着ぐるみ風の服装に、大爆笑となった。


その後、文化祭の時などに、他の部活からも衣装の依頼を受け、作ることもあった。彼女は3年生になり、部の存続を後輩に託し、部を作って良かったと満足して、卒業して行った。

その後も部員達が、手芸部とは()()を引いた形で、部を存続させて来た。


そして去年のある日、演劇部の部長になったばかりの赤羽根さんが、被服部を訪れた。「来年から映像部に変わるので、部員達の舞台衣装を作製してほしい。」というものであった。

しかし、普通の私服を作る気がない、被服部の部員達。最初は断ったのだが…。


 「来年には、中等部で有名な演劇部員達が、進学して来る予定なの。特に男装役の女子と相手役のヒロイン、彼女達のイメージを表現した衣装で、しっくりくるものが欲しいのよ。」


部員達の目が()()()と輝る。アニメオタクが多いこの部では、何かコスプレと()()()()()を嗅ぎ取ったらしい。

この時、同じくまだ部長になったばかりの『伊阪』さん、赤羽根さんから詳しく話を聞き始める。


赤羽根さんも被服部に頼る理由も含めて、演劇部の内情をザックリと説明する。

被服部には内部生部員が1人もいないので、中等部の演劇部の話は、当然全く知らなかった。皆話を聞いて、目を輝かせている。

「中等部には、そんなアニメキャラみたいな有名人が、いるんだ。」と。


来年になれば、自分達は彼女達に会えるのか?それなら、衣装作製も面白いのではないだろうか?毎年、年に一度くらいは、演劇部の特別な衣装は作製してきた。

最近は、舞台の飾り物関連だったりぐらいだけど。

(これは、面白くなりそう。来年から退屈しなさそうだわ。)そう心の中で()()()()した、伊阪部長であった。

 映像部の演劇部員達の舞台衣装に関するお話です。その為、舞台衣装に協力している部の存在から書くことにしました。

赤羽根部長が入学前からの話が入っており、誰視点でもない形式です。

本当は、手芸部が作製するつもりだったのですが、よく考えたら、お嬢様がキャラ衣装何て、興味ないだろうし、作製も出来ないだろうと。

そういう理由から、急遽予定外の部活作成となりました。



≪補足≫


 伊阪部長について


  テレビアニメも漫画も興味あり、有名に関わらず話題になれば、ある程度知っているが、アニメオタクではない。将来は、服飾関連の仕事に就きたいと思っている。出来れば、アニメや漫画のコスプレ衣装作りを本職にしたい。自分はコスプレしていないが、違う高校に通う友人(中学の同級生)がコスプレマニアである。その友人に頼まれてコスプレ衣装を作り出し、嵌ってしまった。


という人物像です。何れ、人物一覧を追加として出す予定でいますので、その時に設定として使用すると思います。


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