表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
君の騎士 ~君を守るために~  作者: 無乃海
第一幕 名坂学苑1年生編【1部 春の巻 編】
41/199

35話 新入部員の思惑 ~千明~

 前回初登場した新キャラ『千明』の自己紹介編です。前半・後半共に、千明視点となります。

初めての女装男子ですが、今後ともよろしくお願いします。

 俺の名前は、『門倉 千明』と書いて、『かどくら ちはる』と読む。この名前のお陰で、子供の頃からよく女の子に間違えられた。名前の読み方も、『ちあき』と間違われるのは、毎回のことである。別に自分の名前が嫌いという訳でもないが、こう毎回間違われると、ウンザリするんだけど。


両親は料理店を経営している。チェーン店ではなく、ただの小さな個人店だ。

街の食堂みたいな感じだと思ってもらうと、分かりやすいと思う。

俺には、年の離れた姉ばかりが3人もいて、俺は長男で末っ子だ。お陰で子供の頃から、姉のお古の服ばかり着させられていた。(これが、女子と間違われる大きな原因になった!)


両親は揃って店で働いている為、俺の面倒は姉達がほとんどしてくれていた。

今は上2人の姉は結婚していて、うち1人の姉は近くに住んでいて、忙しい親の店を手伝いに来ている。時々、旦那さんと子供達も手伝うに来るよ。


もう1人の姉は、直ぐには会えない距離に嫁いた為、年に数回は、子供を連れて帰省する。そして1番下の姉は、大学に入学した頃から独立して、今は家から出てアパート暮らしだ。近くに住んでいるので、必ずではないけど週末になると帰宅して、家事をしてくれたり、俺の勉強を見てくれたりする。


俺も偶に店の手伝いをしようとするけど、「まだ学生なんだから勉強しなさい」と追い出されるのだ。店のお手伝い、好きなんだけどな~。

俺は、お店の仕事好きだから、両親の店を継ごうかな~と、思ったこともある。

両親には、別に無理して継がなくていいって言われている。「後悔しないように勉強して、大学卒業してからでいい。よく考えてからにしなさい。」と。


幾ら自営業で、上手く経営していると言っても、俺の家は、そう裕福ではないと思っている。かと言って貧しいと言うわけでもないが。

本当は、この学苑に入るのも躊躇していた。腕試しに受けただけだったから。

折角受かったのに勿体ないと、両親だけでなく、姉達まで説得されたのだ。


三女の姉は、現在は短大生なので、今年卒業することになる。だから、この1年だけの辛抱と、父も母も笑っていた。うう、物凄く罪悪感がする…。

学苑に入学したら、頑張っていい成績を取ろうと思った。奨学制度は、途中からでも利用可能だと、聞いたからだ。しかし、いざ入学すると、学苑側から、「君は、半額の奨学金制度の対象になるよ。」と言われたので、両親の負担が少なくなったことに、正直ホッと一安心だったよ。


こういう環境で育った俺は、根っからの剽軽ひょうきんな性格であり、楽天家でもある。

あまり深く考えないたちだった。俺は、顔も中性的というか、女の子っぽいとかで、よく同級生の男子から揶揄われていた。俺は、全然気にしたことがないけどね。

姉のお古の服だって、姉達から「私達が着るより、よく似合っているよ。」と言われても、嬉しく思っていたぐらいなんだよね。


中学では、演劇部に女友達に誘われるまま入部した。女子部員の方が圧倒的に多いのに、何故か似合うと言う理由で、()()もさせられた。俺自信も、女装は、完全に()()()という理由でやっていた。どうせ、男子役は無理だったから。

160cmという背丈は、女子としてなら標準的な身長かもしれない。だけど、男子では低過ぎるんだよね。残念だけど、俺は()()()()()貧弱すぎる。


演劇部では、()()で丁度良かったんだよ。お陰で、女友達とも仲良く出来たしね。

本当は俺、その女友達が好きだったんだ。小学校から、よく同じクラスになって、友達と仲良くしていたけどさ。本当は、ずっと好きだったんだ。恋愛対象として。

多分、彼女は、俺のことは男友達ぐらいの認識だろうなあ。


実は、この高校を受験したのも、彼女が受験すると知ったからだったのだ。家族には、実力試しと嘘を付いてまで…。ゴメンね。父さん、母さん、姉さん達も…。

後で、学費の金額を知って慌てたよ。両親が通っていいと言ってくれなかったら、公立も受けていたと思う。公立に合格したら、そっちに行く予定だし。


勿論彼女も合格し、この学苑に通っている。同じ高校に通えているだけで嬉しい。部活は、一緒に入部しなかった。流石に、彼女が入部した部活は、男子が入部するには、敷居が高いと思う。…男子部員、居るのかな?

それに、俺は映像部に入部してみたかったし。()()()()に興味を持ったんだよね。


それに、今はまだ、彼女に男として見てもらえなくてもいい、と思っている。

ただ今はまだ、一緒に居られるだけで満足しているのだから…。




        ****************************




 この前の公演で、()()()()だとバラしてから、数日経っている。あれから俺は、北岡さんとは、友達の1人として仲良くしている。ただ1人、北岡さんだけが、『ちはる』から下2文字取って『ハル』と呼ぶ。ちょっと風変わりの人である。

でも、北岡さんって、姿勢とか綺麗だし、どこかお嬢様みたいな雰囲気がある。


部活でもF組でも、俺は、男子は『千明(ちはる)』、女子は『千明君(ちはるくん)』と呼ばれている。

苗字で呼ばれるのは堅苦しくて、あまり好きじゃないんだよね。『門倉(かどくら)』って、何だかお堅そう、とか言われたこともあったし。()()()()()()じゃないよね?

だから、為るべく下の名前で、呼んでもらうようにしているのだ。


最初のうちは、俺と同じ理由で、北岡さんは男装しているのかと思っていたのに。他の部員から聞いた話では、全然違う理由みたいなんだ。

性格だって、俺と()()()()()かと思ったなあ。似ているようで、全く似ていないみたいだ。同類なんだと思っていたけど、何か違うんだよなあ。


俺は、楽しければ何でもいいところがあるし、どちらかというとあまり深く考えていない。北岡さんは、どちらかと言えば、逆なんだろうな。

あの人、一見何も考えてないみたいに見える。でも実は、よく考えてから行動するタイプだと思うよ。九条さんには、明らかに態度が違うしね。

男装の理由も、彼女に関係しているのかもしれないね。


兎に角、俺と違って、北岡さんは何考えているか、よく分からない人だなあ。

別に同類じゃなくても、まあそれなりに仲良くしてくれてるし、それでいいかな。

他の部員もよくしてくれるし。今までの公立と違って、女装する俺を馬鹿にする人は殆どいないし。天国みたいな快適さだ。


そうそう、俺、九条さんとも、一応は話しをしたりして、仲良くしているんだよ。

九条さんは、男子が嫌いとか苦手とからしいから、俺も拒絶されるかな、と思っていたんだけどさ。俺みたいな女装するタイプは、案外大丈夫みたいだな。

まあ、「ミカちゃん」呼びの愛称をつけた時は、ちょっと驚いていたけどね。


北岡さんに比べて、九条さんは顔にもすぐ出る人だから、物凄く分かりやすい人だと思うよ。九条さんは、北岡さんに対してよく我が儘言っているらしい。

でも皆、九条さんは北岡さんにとって特別だから、いいんだって。

よく分からないけど、これって()()という意味で、だよね?


でも、肝心の北岡さんが、九条さんのことは我が儘だと思ってない、みたいなんだよね。まあ、あの程度なら、逆に可愛いのかもね。

まあ、俺はこれからも、ヒロイン役を演じることになったんだよね。2人とは、友達としてそれなりに仲良く出来たらいいかなあ。


それで、肝心な俺が好きな()()()は、誰かって?…いや、誰でもいいじゃん。

…それに、まだ…、内緒なんだよね。

友達だったら、まだ一番近い位置に居られるからさ。もう暫くは、内緒だよ!

 強烈なキャラが、とうとう登場しました。表向きは、『夕月』の男性版でしょうか?女装男子の登場です。


新キャラは、名前もない女子の予定でした。しかし、女子が多過ぎるので、男子を増やそうと思い、女装男子が居てもいいかな、と思い至った次第です。

でも、これが結構お気に入りキャラなんです。序でに『郁』も部員にしちゃいました。

萌々香達の3人で誰を部員にするか、決め兼ねていたのですが、脚本係の後継者と考えたら、一番適しているのが郁かなあ、と思ったので。


さて、『千明』は誰かに恋しているようですが、誰でしょうね?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ