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君の騎士 ~君を守るために~  作者: 無乃海
第一幕 名坂学苑1年生編【1部 春の巻 編】
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34話 一学期期末テスト

 テストに纏わるお話です。いつも通り、未香子視点となります。

前回のテスト後に、ケーちゃんに一緒に勉強しようと誘っていたので、今回は一緒に勉強するという内容です。

 1学期最後のテスト週間が始まる為、テスト前の1週間は、部活が休止となる。

今回は、ケーちゃん、せっちん、よっちゃんの3人も、私達と一緒にテスト勉強をすることになった。テスト勉強は、主に学苑の図書館で(おこな)うことにした。

今回は期末だから、教科が多くてテスト対策が大変である。


やはり、この中で1番問題があるのは、ケーちゃんのようであった。せっちんもよっちゃんも、成績は特に秀でている訳ではないけれど、2ケタ内の順位には保っているらしい。それに比べて、ケーちゃんは、赤点を取ることもある問題児。

初めは余裕のある夕月(ゆづ)が、1人で教えていましたけれど…。


 「うん?これは、勉強合宿でも必要かな?」

 「いやいや。駄目だよ、それは。スパルタ過ぎるから!()()()のケーちゃんには無理ですわ!」

 「「「えっ!?スパルタって、何?!」」」


夕月(ゆづ)は、稀にスパスタ式な方法で、勉強を教えることがあるのだ。これが発動するのは、基本、夕月(ゆづ)の分かりやすい説明でも理解できなかった時、のみである。

以前には、私の従姉弟(いとこ)が犠牲になっている。あの姉弟は、かなり出来が悪いので。姉の方が、私をよく見下した言葉を発するのもあり、夕月(ゆづ)でさえ、この従姉弟(いとこ)達のことを嫌悪している。


叔父夫婦から「名栄森(なさかもり)学苑に入学させたいから、2人に勉強を見てもらいたい。」と、頼まれて断れなかったことがあり…。余りに勉強できない上に、私への態度が悪かったものだから、結果的に夕月(ゆづ)が切れましたの。

そして、スパルタ方式で勉強を教えた結果、自分達から「名栄森学苑には入学したくない。」と言わしめることとなりましたわ。


まぁ、絶対に入学したところで、付いていけませんでしたわね。

それどころか、入学事態が無理だと思いますけれど。ホホホ。

あの従姉弟(いとこ)には、正直うんざりしておりましたから、偶には反省して頂けたらと思っていたのに。…相変わらずお馬鹿のようです。


スパルタ方式が、どのようなものなのか?では、その説明を、私が致しましょう。

まず、夕月(ゆづ)が作成したテスト問題を、只管解きます。次に、特定の数十ページを暗記するまで、兎に角只管ノートに書くのです。この黙々とした作業が、永遠に続きます。以上です。


但し、まず問題を解く作業を、1日中掛けて終了させる必要があります。出来なければ、寝落ちしても叩き起こされるのです。そして、次の日は、その次の作業を、同様に1日中行います。時々、()()()()()()()()()()()()()で、こちらの行動を否定されたりします。はっきり言って、相当怖いですよ。


ケーちゃん達3人の疑問が、重なった。私が、その事実(従姉弟のこと)とスパルタ内容を、詳しく教えて差し上げましたわ。話を聞き終わった3人の目が、あちらこちらに泳いでいるようで。相当、動揺していますわね。ケーちゃんは、完全に真っ青になっていて。胸中、お察しします…。


 「勉強合宿は、…怖過ぎだよ。みんなで分担すれば、何とか教えられるわ。」

 「そうだよね。私達もみんなで教えれば、何とかなるって。」

 「…うん。皆が教えてくれる方で、お願いします…。」


よっちゃんとせっちゃんの提案で、其れから毎日交代で、ケーちゃんに勉強を教えることにした。皆が得意科目を教えることで、テスト期間前には何とか間に合ったのだった。夕月(ゆづ)が教えても、分からない筈ですわ。

もう、小学部から遣り直した方が、簡単というレベルだったのだから。


その為、小学部からの勉強も、追加で教えることになってしまった。こういう場合は、夕月(ゆづ)が適任として面倒を買ってくれていた。

小学部から高等部まで、一気に教えるのは難しいけど、同じ条件の問題を、徐々にレベルアップさせて教えることで、短期間で済んで良かったわ。

因みに発案者は、夕月(ゆづ)なのだけれど。


 「これで、赤点取らずに済みそう。みんな、私の為にここまでしてくれて、本当にありがとう!私、本番も頑張るわ!」


うん。赤点は勿論取らないといいわね。何か目標が低すぎる気がするのは、私だけなのかしら?

折角だから、もう少し成績も上げたい、という希望を持ってほしいわ。




        ****************************




 「やったわぁ~!全教科、赤点取らずに済んだわ!1つも取らずに済んだなんて…。これも、みんなのお陰よね。ご協力に感謝です!」

 「良かったわね。成績も上がっているみたいね。皆で勉強した甲斐があったわね。」

 「ホントに!凄く成績上がっているんじゃない?良かったね。」

 「うん。ありがとう…。」


ケーちゃんはテスト結果の成績表を見て、感激したように大喜びしていた。

ケーちゃんの成績表を皆で覗き込み、よっちゃんとせっちんが、良かったねと応答する。夕月(ゆづ)も「そうだね。よく頑張ったね。偉い、偉い。」と褒め、ケーちゃんの頭を撫でている。皆に褒められ、ケーちゃんはウルウルと感涙している。


今回、ケーちゃんの順位は同じく3ケタでも、何とか真ん中ぐらいまで上がった模様で。ケーちゃんもよく頑張ったけれど、私達教える側も、よく頑張ったと今なら思うわ。(遠い目をして自己満足)


前回も、テスト順位トップ10までは公開されている。今回も公開され、前回と同じメンバーが入っていたわ。若干メンバーの順位が、変わったのだけれど。

夕月(ゆづ)は不動の1位で、2位は田尾(たお)君。ここまでは、中等部と同じ順位ね。

3位は萌々香(ももか)さん、奨学生というから伊達ではないわよね。


千明君が今回10位に入って、多少驚きましたわ。割と頭が良かったのね。

1番驚いたのは、(いく)さんですわ!何と、前回と同じく6位!私より上位でしてよ!

肝心の私の順位は、前回同様の9位でした。ケーちゃんに教えたのも、自分の復習になったようで。ふふふ、頑張りましたものね。


そうそう、郁さんと言えば、正式に我が部に入部していました。いつの間に…。

どうやら、赤羽根(あかばね)部長は、郁さんのマニアックなところに目を付けたようで、1年生の脚本係に抜擢された模様です。えっ?郁さんが脚本係って、…大丈夫なの?


ツカちゃん先輩の話では、素質はありそうなので、今からみっちり仕込むそうな。う~む、漫画やアニメの実写版の脚本とかは、嫌ですからね!

ツカちゃん先輩、くれぐれもよろしくお願いしますね。


前回の公演後、ヒロイン役だった男子『門倉 千明(かどくら ちはる)』君は、本人も希望もあり、あれから『千明(ちはる)君』と親し気に呼ばれている。もうすっかり、部員全員と仲良しなのである。明るく元気な子で、何でも楽しい事が大好きな楽天的なタイプみたい。

あの時は、夕月(ゆづ)()()()みたいだなと思ったけれど。千明君の事を知る度に、よく似ている程度から、まぁまぁ似ている程度に格下げになった。


明るくて何でも楽しむところは、よく似た部分だと思う。でも、千明君は、本当に何も考えてないところも多くて、そういう部分は全く異なると思う。

夕月(ゆづ)の場合は、何も考えてないどころか、全て考えている上での行動であり、ある意味凄い。どれも、()()()()()()()は、ないのだから…。


やっぱり、夕月(ゆづ)によく似ているのは、夕月(ゆづ)の弟である葉月あいつよね。真逆の性格っていう割には、よく似ていることが多いもの。

顔がそっくりなのは勿論だけれど、話し方とか言葉使いもそっくりで。違うとすれば、性別が違うことが理由の、背丈とか髪の長さとか体付きだとか。


…って、何考えているの、私?葉月(あいつ)の事なんて、この際、()()()()()()のに。

何で、思い出すのかなぁ。

私が夕月(ゆづ)と一緒に居ると、いつもいつも邪魔して来るし、毎回顔を合わせる度に、口喧嘩してるし。夕月(ゆづ)と違って、()()()()()の筈なのに。


何でこんな時に、思い出すのかな?あ~、もう。頭の中が混乱してきたから、もう忘れてしまいましょうっと…。


 ケーちゃんを教えていた夕月が、早速切れそうになりました。

未香子達の反対で難を逃れたケーちゃんですが、赤点も免れたようで。

未香子の従姉弟ですが、ハッキリ言って、ケーちゃんよりもずっとおバカです。

ケーちゃんは基礎が成っていなかっただけなので、しっかりそこから教えれば、十分この学苑の勉強に付いて行けます。

しかし、従姉弟はそれ以前の問題なので、勉強教えても無駄ですかね。


この従姉弟達のおバカさを、何れ、何かのお話に入れたいとは思っています。但し、従姉弟達の名前は一切出す気はありません。叔父夫妻も含め、名前は考えない予定なので。

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