28話 演劇活動開始 ~脚本係の本気~
今回も、前半は未香子視点で、後半は2年外部生の部員(新キャラ)視点となります。前半は、未香子から見た、後半キャラの人物像となっています。
後半は、新キャラ女子の登場です。やっと正式登場となりました。
※現在、見直しの為、改稿しております。当初より少しだけ追加しております。
内容も分かりやすくなるように、心掛けました。
改めて、よろしくお願い致します。
あれからすぐ、本格的な練習が始まっている。今回の劇は、ド素人も裏方も部員全員が、挨拶がてら出演するという大規模なものである。
ド素人には、赤羽根部長自らがお手本となり、一からの演技指導をしている。
普段は裏方係の部員達には、養成所の見学で見て来たノウハウを使って、諒先輩が真剣な表情で、演技指導をしていた。
何だかんだ言っても、諒先輩も、部長と同じような素質を持っており、姉である部長から全面的に、認められているのだろう。
そして、中等部の演劇部で役柄を演じていた私達は、ベテラン組として扱われており、特別な演技指導は殆どされていない。そう、その筈なのでしたが…。
脚本係でもある塚谷先輩は、かなり拘りがあるようで、熱心にこういう人物だからこう演じて欲しいとか、ここはもっと感情的にとか、色々注文を付けてくる。
う~ん。確かに…、そう言われると、その方がしっくりくるのよね…。
塚谷先輩は、先輩部員達から『ツカちゃん』と呼ばれている。
見た目は、ボンヤリした大人しい感じの人であるけれど、赤羽根部長同様、台本の事になると、性格が変わってしまうような人であった。
将来は、父親と同じ脚本家を目指しているらしく、一切の妥協がないと言う点も、赤羽根部長とそっくり!正しく、ゴー・マイ・ウェイな人ですわ。
普段から、父親だけではなく他の人物の脚本も、目を通していたりしていて、視力がガクッと落ちたそうである。常に、実用的な感じの黒縁眼鏡を掛けていて、知的な感じはするわ。これが、お洒落な眼鏡だったら、眼鏡美人になりそうなのに…。
同じ女子として、非常に残念だと思うわ。
でも、舞台上では人物が映えない原因になってはいけないので、眼鏡自体が余りお薦め出来ないのよね。特に、演技する女子には不向きなのである。
今回は、部員全員が出場する為、ツカちゃん先輩も例外ではないし…。
演技の練習時に「眼鏡が邪魔よ。」と赤羽根部長に眼鏡を取られ、彼女の素顔にびっくり!何と眼鏡を取ったら、可愛い系だったのですね。
今すぐ眼鏡を辞めてもらって、コンタクトレンズをお勧めしたい。
可憐な可愛さがあって、モテモテになりそうな予感。
しかし、現在は眼鏡を取られてしまい、文字が良く見えないようで、目を更に細めている。流石に、自分で書いた台本なのだから、当然の如く覚えているのか、台本は全く見ていない様子である。
但し、周りの風景などが、よく見えないらしく、それでつい、目を細めて見てしまうようだった。とても可憐なのに、勿体無いわ…。
幾ら脇役といえど、これでは演技に支障が出てしまう。だから、部長からは、コンタクトレンズを新規で作った方がいい、と指摘されていた。
ツカちゃん先輩は、思いも寄らない指摘に、目を丸くしていたようだけれど。
赤羽根部長‼グットタイミングでのナイスアドバイス!ですわ。
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私は、自分の名前『塚谷 星』が、ずっと大嫌いでした。何故って、それは…、私が、あの両親の子供だから、…なんです。
実は、私の両親は、芸能関係者なんです。父は脚本家、母は舞台女優で、其れなりにある程度名の知れた人達なのです。
父は、脚本以外に小説も書いており、俳優歴が長ければ、彼の書いた脚本のドラマに一度は出演したことがある、とまで言われています。
母は、今は舞台を中心に活動している女優なんですが、以前はテレビドラマにも出演していた時期もあり、一度は目にしたことのある女優でもあります。
母はいつも脇役で、でも存在感のある、セリフも程々にある女優です。
よくテレビを見ていて、顔は知っているけど、名前までは知らない俳優さん、どなたにも1人ぐらいは、いますよね?母は、そういう人だと思います。
最近の母は、結婚してから成る可く、テレビ出演を控えていたそうなので、若年層の方々には、顔がよく知られていない、かもしれませんね。
まぁそのような訳で、両親どちらにとっても、世間的には二世扱いされる訳です。
お陰で、自分の名前どころか、自分自身までもが、全て嫌になってしまっていた時期がありました。自分の名前を知られたくなくて、学校以外では偽名を使うほどでも、あったんです。
実は、お嬢様学校(女学校)に通っていた時期もありました。
しかし、両親の事を知られると、何時も友達の態度がコロッと変わってしまうので、途中からは必死に隠していたのです。母は兎も角、父の名前を知らない人は、大勢いましたから。
それに、父の事よりも、母の事が知られた時の方が、疑いの目で見られたり、嫌みを言われたりしたのです。私の顔やスタイルをジロジロ見ては、「本当に親子?」って、聞いてくる人もいるんですよ。今思えば、本当に失礼ですよね!
でもあの頃は、かなりのダメージを受けていたんです…。
現在の父は、舞台専属の脚本家として活躍しており、両親の舞台の仕事での関係で、転勤が増えました。その頃からは、地元の公立学校を転々としました。
転校は辛いけど、両親の素性がバレる方がもっと辛かったので…。
私的にバレると1番辛い事は、母は美人さんなのに、私が平凡顔である上に、スタイルもぽっちゃり系でと、全く似ていない事実についてでしょうか。
今までの転校先では、昼間は2人とも仕事で留守が多かったですね。夜遅くに帰宅しては、翌日は午後から出勤みたいな感じ、でしたね。
私は1人っ子なので、兄弟はおりません。また、すぐ転校するからと特に仲良しの友達は作らず、いつも1人でいました。その方が、…気が楽だったのです。
どうせ仲良くなったとしても、母の事を知られれば、母との違いを比べられてしまうのです。私は、顔もスタイルも、父似なんですから…。(父も、ぽっちゃりしています。)母に似ていないのは、仕方がないことなんですよ。
でも、このままでは、私の為にも良くないと思ったようで、両親は転勤のような生活は、きっぱり辞めたんです。父は再び、テレビドラマの脚本を引き受け、少しずつ増やしていくようです。
母は相変わらず、舞台の方が忙しいらしく、家を空けることも多いですが、代わりに父が、毎日のように家に居てくれるようになりました。
名栄森学苑に入学した切っ掛けは、去年の学校見学時に、当時の演劇部が、脚本係を募集していると、知ったことからでした。
あんなにも、自分の名前を嫌っていたにも関わらず、演劇への熱意は全く消えませんでした。それどころか、益々大きくなっていったのです。
学苑に無事入学出来て、演劇部に入部しようと思ったまでは良かったのですが…。堂々と脚本が書けると思う一方で、またあの両親の子供だと、知られたらどうなるのかと思うと、とても怖かったのです。
でも、当時の副部長だった赤羽根先輩は、私の両親の事を知っていたにも関わらず、私を違う意味で大歓迎して下さったのです。
試しに書いて来た、短めの寸劇の脚本を読んで下さると、父が脚本家だとか関係なく、「(父親の)側でずっと見ていた成果が、きちんと出ているわね。」と。
私自信を見て、評価して下さったのです。
そして、「あなたになら、脚本を任せられるわ。」と、満面の笑顔で言われた時、涙が零れそうでした。やっと、自分だけを見てくれる人が、現れたのだと。
本当に嬉しくて、嬉しくて。自分の名前が、嫌いではなくなった瞬間でした。
そして、以前はもっとぽっちゃりでしたが、色々と言われたりして、人付き合いに気疲れしていたようでして、ぽっちゃりのままでした。なのに、部活に入ってからは、何だか痩せたかもしれません。今は、ややぽっちゃりぐらいかな、と思っています。結構、ストレス溜まっていたんですね。ストレスって、怖い…。
それでも母には、似ても似つかぬ訳ですが…。
もし、先輩が今後監督になる、と決められたのなら、私も先輩の脚本家として、付いて行ってもいいでしょうか?
新キャラ女子、『ツカちゃん』こと『星』も眼鏡を掛けてます。名前が出て来る部員の眼鏡率が多くなってきたので、『星』に関しては、舞台時など時々コンタクト着用がある、と設定を変更しました。
『星』は脚本係なので、舞台には出ることは滅多にありません。
しかし、舞台の最初と終わりには挨拶に出る、という方針を部長がしているので、舞台時は必ずコンタクト使用します。以下の補足にも、似たような事を記載しています。
補足事項…ツカちゃんについて
本や台本ばかり読んだり書いたりしてきたので、目が悪いようです。
ド近眼までいきませんが、眼鏡が普段から必要です。この公演の為に、コンタクトを作りました。
今後は、徐々にコンタクトを使用することになるのでしょう。
本人がややぽっちゃりと言ってますが、母がスタイル良すぎるだけです。その母を基準に考えている為、本人が思うほど太っていません。
幼い時から、母と比べる心無い人達(友達含む)のせいで、自分が可愛くない上に太っていると、思い込む原因になりました。
前半の未香子視点の方が正しい、という認識で、お願いします。
以上です。本文のどこかで、こちらも話の中に入れたいとは、思っています。機会があればですが。




