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君の騎士 ~君を守るために~  作者: 無乃海
第一幕 名坂学苑1年生編【1部 春の巻 編】
32/199

26話 テスト結果

※クリスマス特別編、並びに、お正月特別編(前後編)、にお付き合い頂き、大変ありがとうございました。本編が今と逆の季節なので、この時期らしいお話が書きたくて、書き切ったことに、ホッとしています。本編は、春から夏になる頃です。再び、また暖かい季節に戻るかと思うと、ちょっぴり辛いです。


今回のお話は、テストに関する短編のお話を、幾つか繋ぎ載せています。いつもよりも、少し短めです。前半、中盤、後半で、誰目線かも内容も異なります。

中盤は、意外な人のお話です。


※現在、見直しの為、改稿しております。当初より少しだけ追加しております。

 内容も分かりやすくなるように、心掛けました。

 改めて、よろしくお願い致します。

 校外学習は、何事もなく無事に終了した。とうとう、教師陣が言うところの『お楽しみ』である、テスト返しが始まっている。嫌ですわ…。

生徒の立場から言えば、ちっとも、お楽しみではないのですよ!


名栄森なさかもり学苑では、学年毎に、1位~10位までの成績順位が、職員室側の廊下の壁に、ズラッと張り出されるのである。これは、中等部からの恒例行事のようなものである。


流石に、小学部では、張り出しはなかったのですが。代わりにクラス順位が、担任教師によって、1位~3位ぐらいまで口頭で発表されていましたが。

中には1位だけ、1位と2位だけしか発表しない教師も、いたようですわね。


高等部では中等部同様に、1位~10位が張り出されることになっている。

夕月は、多分、首席だと思いますわ。いえ、間違いなくそうですわ!

ええ、そうに違いありません。夕月より上位を取れる人など、そうはおりませんものね。後は、外部生がどのくらい上位に入ってくるかが、心配なのですが。

問題は、私の方ですわね。


私は、中等部でも上位にはいた方なのですが…、流石に10位までには入っていなかったわね。高等部は、もっと無理なのではないでしょうか?

1年生の全生徒の中で、どのくらいの順位になるのかが、とても心配なのです…。せめて、どんなに成績が悪くとも、…50位以内には入りたいと、テストが終了した今は、願うことしか出来ないのですもの…。




        ****************************




 私は、1年A組の担任教師である。名を、『本田 愛彦(ほんだ よしひこ)』という。

此処、名栄森学苑の卒業生でもあり、私の年齢は30になったばかりだ。

まだ、結婚こそしてはいないのだが、今年中に結婚式を挙げる予定である。


私の婚約者もまた、この名栄森学苑の卒業生であり、私の後輩でもあるのだ。

但し、私とは少し年が離れており、私がこの学苑の教師の実習生として来た時に、生徒であったのが彼女だった。


つまり、私が21歳、彼女が16歳で高1の時に、初めて知り合ったのだ。

その時は、お互いにあまり気にしていなかったのだが…。

彼女も真面目で、勉強一筋という感じの学生であったし、私も実習生として、生徒達にチヤホヤされても、本音では恋などする余裕が、全くなかったからだ。


だから、私も彼女も再会してすぐは、気が付かなかったぐらいである。

お互いに、記憶にすら残していない相手だった。

私が正式に教師になって、彼女が大学生になってから、卒業生との合コンが行われた時に偶々参加して、そこで再会してから意気投合し、今に至る。


まあ、私の事情は、このぐらいでいいだろう。問題は、今現在のことである。

そう、今年は、私の生徒の中に、うちの親戚の子供がいるのだ。しかも、自分のクラスの生徒になったのだ。お互いに苗字が違うから、()()()全く気が付かれていないだろうけどな。コイツと親戚だと知られたら最後、生徒達からどういう目で見られるか考えるだけで、ある意味怖いな…。逆に、他の先生方からは、同情の目を向けられそうで、其れは其れで…嫌だと思う。


学苑側にも特に知らせていないから、理事長と学苑長ぐらいしか知らないだろう。

まさかコイツのクラス担任になるとは思わなかったから、一応は、互いに()()()()()()をしている。

別に、バレたら本当に困る訳でもないのだが、今更という感じで、やはりコイツと比べられそうで、嫌だいう一言に尽きる。


私学の学校では、親戚や親子が教師と生徒という話は、よくあることなのだが。

やはり他の生徒に、示しがつかない事態も起こり得る、と思う。教師達は兎も角、他の生徒達が知らない方がいい場合もある、ということだ。


 「まさか…、お前のクラス担任になるとは、思わなかったよ。」

 「そうだね。ヨシ(にい)が、()()とはね。何か、調子狂うよ。」

 「嘘つけ!お前…、堂々としていただろうが。」

 「ヨシ兄は、挙動不審な行動があったよね?」


学苑長から、クラス発表の話があった時から、分かってはいたのだが。(コイツには、理事長も知らせていない筈である。それをすると、情報漏洩になるだろう。)

やはりコイツと目が合った時に、動揺してしまった様だ。折角、色々と誤魔化したつもりだったのにな。


 「くくっ。あれぐらいなら大丈夫。相手が私だから、バレただけだよ。」


コイツ、本当にいい性格してやがる。弟は真面目なヤツなのに、コイツは言葉遊びが好きで、よく人に振って相手を翻弄する。本当に、人をよく見ていると思う。

以前、趣味は人間観察とか、フザケタことをいっていた時期もあったな。

まあ、コイツにとっては真面目な()()なのだろうが、観察される方は堪ったもんじゃねえよ!


 「多分、ヨシ兄が担任になったのは、()()じゃないよ。」

 「はぁっ!マジか‼もしかして、四条のばあさんの()()とかか?」


何だと!?やはりコイツのクラス担任になったのは、陰謀なんじゃねえのか?!

四条のばあさん、あんた、俺に孫の監視をさせる気だな?!

コイツはふっと笑って、その後は黙り込み、肝心な話はしない。当たらずとも遠からず、と言ったところか。何にせよ、厄介である。


兎に角、親戚だとは、色々な意味で知られたくない…。コイツ()の問題に巻き込まれるのは、…なるべく勘弁してもらいたい。

まあ、弟が一緒に入学して来ないだけでも、マシなのかもしれない。

弟は真面目と言っても、コイツ等は2人になった途端、色んな意味でたちが悪くなるからな。1人でも居ない方が、マシである。


しかし、相変わらず頭がいい。うちの家系は、どちらかと言うと、頭脳派の家系だと思うが、コイツ等は特に飛び抜けていると思う。

今回の試験、他の教師にも聞かされたのだが、全教科ほぼ満点だった。これで、高等部でも首席で間違いないだろう。


あ~あ。俺は結局、貧乏くじを引かされたんだろうな。間違いなく、コイツのいざという時の()()()()()()()なんだろう…。




        ****************************




 一方、E組の教室では、こんな会話が躱されていた。


郁   「ねぇねぇ、萌々ちゃん、ナルちゃん、テスト順位どうだったぁ?」

萌々花 「私はね、思ったより良かったよ。学年順位が5位だったから、自分でもビックリしているんだよ。」


鳴美  「えっ!5位?じゃあ、廊下に張り出されるね、おめでとう!私はね、15位だったんだよね。」


萌々花 「ナルちゃん、惜しい!あと、もうちょっとだったね。」

郁   「そうなんだぁ?2人とも凄いね。あっ、私はね、6位なんだぁ~。」

萌々花、鳴美 「「えっ‼……。」」


郁って、漫画とか小説とかアニメの話ばかりだけど、物凄く頭いいんだね。

軽いショックを受けている、萌々花と鳴美なのである。



さて、もう一方のA組の教室では、こんな会話が躱されていた。


ケーちゃん 「ガ~ン。悪夢だぁ。」


そう言って、机に突っ伏すケーちゃん。その横から、ケーちゃんの成績表を覗き込む、勢木と吉乃。その順位を見て、2人共目を丸くする。


勢木    「おお、これはまた…。」

吉乃    「う~ん。外部生が入った分、順位が下がったんだね。」

ケーちゃん 「今迄も、赤点ギリ助かっていたぐらいなのに~。」


今にも泣きそうな顔になるケーちゃん。残りの2人は、顔を見合わせて


勢木、吉乃 「「よしよし。」」


2人で宥める様に、ケーちゃんの頭や背中を撫でている。

そして、その傍らで、こちらの2人は、こんな会話を交わしていた。


未香子 「初めてですわ‼このような順位は…。いつもよりも学年順位が上がっていますもの!9位ですって!…嬉しい!」

夕月  「うん、よく頑張ったね。」

未香子 「これも、夕月が、試験勉強に付き合ってくれたからですわっ!」

夕月  「そう?いつもより、厳しく教えた甲斐があったよ。」


未香子は、瞳を輝かせて、飛び上がらんばかりの喜びようである。お嬢様だから、ピョンピョン跳ねたりしないようですね。夕月も、そんな楽しそうな彼女を見て、目を細めて笑顔を向けていた。そんな2人の姿は、まるで、1枚の絵になりそうなほど、微笑ましいものであった。


ただ……。…夕月は、結構()()()()のようである。次回のテスト勉強に誘われたケーちゃんは、果たして耐えられるのだろうか?

 26話タイトル通りの内容です。未香子視点は前半だけで、中盤は何と、A組担任教師視点となります。

実は、あの人と親戚関係なんですよね。意外な設定です、自分でも。

公立だと有り得ない事実なので、面白いかなと思って、こういう設定にしました。

詳しくは登場人物設定に、記載されていますから、ここで隠してもバレバレですね。


後半は、第三者視点となっています。登場人物の誰の視点でもありません。どちらかと言えば、筆者視点ですかね。

セリフ中心にしてみました。また気が向けば、こういう形式の第三者視点にするかもしれません。


※『四条のばあさん』は、本編後半の方で、登場予定のキャラです。まだ、登場人物一覧にも載せていません。

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