24話 校外学習 その2
前回からの続きの内容となっています。
1年生の校外学習のお話ですので、学苑外の内容となります。長くなっていますので、分けています。次回まで続きます。
※現在、見直しの為、改稿しております。当初より少しだけ追加しております。
内容も分かりやすくなるように、心掛けました。改めて、よろしくお願い致します。
目的地にバスが到着し、クラスごとにバスから降りて並ぶ。午前中は、工場などの見学と体験学習がある。バスを降りると、お菓子の匂いが漂っている。
今は、この付近ではある程度有名な、お菓子製造工場の中を歩いている。
工場内はお菓子の製造中なので、何やら美味しい匂いがしてくるだけなのかと、ワクワクしていたら、中を歩いているうちに、今度は甘すぎる匂いがしてきて、更には、色々なお菓子が混ざったような匂いがしてきて、少し気分が悪くなってきた。
「うわ~、美味しそうな匂いがする。」
「ちょっとこれ、甘過ぎる匂いって、何か気持ち悪いね。」
「うわ~、お菓子の匂いのはずなのに、混ざると気持ち悪っ ‼ 」
気分が悪くなるのは、私だけなのかしら?そう思っていたら、他の生徒達も皆同じようである。うっ…。早く通り過ぎたい。
私がハンカチで口を押えていると、夕月が私の背中を摩ってくれる。
うっ、ホント優しいのだから…。(油断したら、思わず吐きそうに…。)
「未香子、吐きそう?外に出る?」
今現在、私が油断して、吐きそうな雰囲気になったから、心配してくれている。
私が、ここで肯定の返答でもすれば、担任に許可を取った後、即、外に連れ出してくれるつもりなのだろう。
「…大丈夫。今は、ちょっと…油断しただけだから…。」
「其れなら良いけど、少しでも我慢出来なくなったら、早めに言うんだよ?」
「うん…。まだ…我慢出来るわ。」
「あともう少しだと思うから、其れまでの辛抱だよ。」
夕月は、物凄く心配してくれているようだ。こういう時の夕月は、少々と言うか、かなりと言うか、本当に過保護気味なのである。
私、完全に子供扱いされているわね?
****************************
体験学習は、正直言ってとても楽しかった!手作りのお菓子作りとは違って、自分で作る必要がない。機械が色々作業してくれるから、滅多に失敗はしない。
しかし、機械の操作を間違ったり、手作業でする箇所で適切に作業しないと、失敗作も出来たりする。
でも今日は体験だから、危ない作業や難しい操作はない。簡単な軽作業をしたり、出来立ての温かいお菓子を味見させてもらえたり、皆楽しんでいる。
出来立ての温かいお菓子は、いつも食べているお菓子とは違って、ある意味とても美味しいものでしたわ。
昼食は、この工場から歩いて行ける程の、近くの公園で食べることになっている。
お昼はお弁当を持参しているので、特に購入する必要がなかった。
にも拘らず、生徒達は、お弁当の後で食べる用にと、お菓子を沢山買っていた。
私も試食をしてみて、気に入ったものや美味しかったもの、幾つか気に入ったお菓子があったので、少量の小袋タイプの物を、お土産用も含めて多めに買うことにした。偶には、お父様やお母様にも買っていこうかしら?
担任教師である本田先生から、「バスの中で食べるのは許可出来ないが、自宅に持ち帰る分は買っても良いぞ。」とお話があったものだから、大量に買い込んでいる生徒もいたわね。…そんなに買ってしまって、帰りはどうするのかしらね?
そう思っていたら、自宅に宅配するようで…。そんなに欲しかったのかしら…。
夕月も幾つか、私が購入していないお菓子を買っていた。
「ねえ、後で一緒に交換して食べましょう?」
「仕様がないなぁ。言うと思ったから、未香子が好きそうなものも、幾つか買ってあるよ。」
私のお菓子を見せながら聞いたら、夕月のことだから、そう言ってくれると思ったけれど、やっぱり夕月の口から聞くと嬉しい。夕月も、お菓子が入っているビニール袋を広げて、買ったお菓子を見せてくれる。
夕月の言う通り、私が迷っていたお菓子も、買ってくれている。迷っていた私に、気が付いてくれていたのね…。胸が熱くなって、泣きそうよ。
偶に夕月は私に餌付けするように、直接食べさせてくれる時があるの。
今日は外出しているのだから、しませんわよね?されたくない訳ではないのですが、こんな大衆の場でされた日には、私、恥ずか死にます…。
お弁当を食べようとして、班の皆で場所取りしていたら、E組の郁さん、萌々香さん、鳴美さん達の班が私達に近づいて来る。郁さんが離れた所から、手を振りながら、「北岡く~ん!」と呼び掛けてくる。
「北岡く~ん、北岡君の班に私達の班も混じっていい?」
「私は、別にいいよ。班の皆が良ければ。」
ということで、表立って反対する人はいなかったので、2つの班が固まって、一緒に食べることになった。ただ、夕月は珍しく、苦笑気味だったけれど。夕月は、郁さんが苦手なのかもしれないわね…。
どちらの班も、もうすっかり郁さんのペースである。私も、郁さんが相手だと、調子が狂うのですよね…。相変わらず、漫画やアニメの話か、もしくは恋愛小説の話になるのですもの…。
私も、恋愛小説好きなのだけれど、私の場合は、男女の普通の恋愛ものを好んで読んでいる。しかし、郁さんの場合は、男女に関わらずに、色々な恋愛物、つまり、男性同士や女性同士の恋愛物も好んでいる様子であり……。ムムムっ。
何で断言しないのかって?いや、だって。よく理解出来ないから、お話の内容が頭に入って来ないし、無意識に拒否してしまう。若しくは、スルーしてしまう。
私には無理!郁さんのことを、本当の意味で理解出来る日は、来るのかしら?
しかし、皆は苦笑いは浮かべていても、其れなりに相槌を打っている。ある程度は、郁さんの話に付いて行けているようである。
夕月は会話には加わらず、郁さんの話を聞くと言うより、聞き流しているみたい。アニメとか漫画は、私よりも見ないタイプだもの。正直、分からないというより、理解不可能という感じでしょうね。
夕月は、それでも一言も文句を言わずに、無理矢理に話を逸らしたりはしない。本当にできた人である。私なんて、先程から話が全く耳に入って来ないの。
夕月は興味なくても、話に付いて行けなくても、ちゃんと話の内容は、耳に入れているのよ。会話に入らないだけで。決して、無視はしないの。
お弁当を食べ終わった頃に、飛野君と木島君と田尾君の3人が、近寄って来る。
この3人は、今年別々のクラスになったのに。相変わらず仲がいいなぁ。
私は、男子全般が苦手なのだけれど、この3人は別。何かと、演劇部で相手役をすることもあって、何とか冗談も言えるぐらいに、話せるようになっている。
お芝居の中では、体に触れることもあるけれど、現実の世界では、触れられるのはまだ駄目なの。それを知っている彼らは、いつも夕月が隣に居る時だけ、話し掛けて来て。私が1人の時には、余程の事がない限り、話し掛けて来ないわ。
「北岡達は、何の菓子を買ったんだ?」
「俺達は一通り、3人で分担して買ったんだぜ。」
「俺は、甘い菓子は苦手なのに、晶麻が甘い物好きだからね。仕方なく。」
因みに田尾君、飛野君、木島君の順で話し掛けて来た。この場に居る女子の視線が、一斉に3人の方に向く。周りにいる女子も、此方に注目している様だった。
この3人は現在、私達班の皆と同じ映像部部員ではあるけれど。運動部や他の部活に所属していても、ちっともおかしくないぐらいで。
3人とも、イケメンに入る部類でもあるし…。
飛野君は、美形というより可愛い系であっても、3人一緒でも違和感ないぐらいには、顔は整っている。しかも、運動神経も抜群である。気さくで明るい性格でもあり男女共に人気があるし。彼は、運動部に何故入部しなかったのか、疑問である。
木島君は、この中でも1番の美形で、1年生の中でも、いや、全学年でも多分1・2を争うほどのイケメン、だと思うのよね。飛野君程ではなくても、運動神経もいい方であるし。彼も、運動部に入部していても、おかしくない。
田尾君は、勉強ができる系のイケメンである。実際、学年順位は必ず上位に入っていて、トップ3以内である。視力が良くないのか、勉強時などに眼鏡を掛けていることも。但し、彼だけは、運動神経の方は、あまり良くないみたい。
こんなイケメン3人が、何故に中等部から演劇部にいたのか、疑問に思うところですわ…。まぁ、3人とも、赤羽根部長が勧誘されたみたいだから。
あの部長は、私達の時の勧誘も、ヤバイ手を使って勧誘して来たのよね。ですから、まぁ、そういうことなのでしょうね。
前回からの続きのお話になります。3人組の男子が絡んでいますね。『未香子』による人物の補足説明付きです。
一応、未香子のイケメン基準は標準ですので、ご安心下さい。
男子の人気がないように見えますが、生徒皆が『北岡』人気にあやかって騒いでいるだけで、本当に付き合いたいのはこの男子3人が人気です。
しかし、『北岡』が尋常でないカッコイイ要素と、女子の気持ちが分かり過ぎる要素とで、恋人になれない事に陶酔しているような状況です。
女心は複雑ですからね。駄目だと思うと燃え上がるというか、「私って悲運」状態の自分に溺れているというか、そういう事(人)もありますよね。
筆者は、この男子3人の中では、『晶麻』がお気に入りです。明るくお茶目な人が、男女問わず好きなので。
反対に『柊弥』より『光輝』の方が苦手かも。頭の良い人は尊敬しますが、恋人とか夫婦だと馬鹿にされそうな気がして…。
(※自分の意見と、この設定した人物像とは違います。『光輝』は人を見下すタイプではありません。)




