23話 校外学習 その1
どうしても校外学習(遠足)の話を入れたくて、話しを作りました。
皆さんは、校外学習?それとも遠足?どちらだったのでしょうか?
※現在、見直しの為、改稿しております。当初より少しだけ追加しております。
内容も分かりやすくなるように、心掛けました。改めて、よろしくお願い致します。
今日は校外学習の日である。初テストが終わって直ぐの日程で、テストはまだ返却されていないし、順位なども出ていない。
教師陣も、校外学習の準備で何かと忙しいらしい。テスト結果は、校外学習が終わってからのお楽しみ?とのことだ。
先生!全然お楽しみじゃないからっ!全く待っていないからっ!
まぁ、そんな事は置いといて、今日は楽しい校外学習なの。クラス毎に行動するから、クラスの子であれば班は自由に作れる。よかったわ!
そういうことで、私は夕月と同じ班である。後は、ケーちゃんと勢木さんと吉乃ちゃんと同じ班になった。
勢木さんと吉乃ちゃんは、今まで同じクラスになったことがなく、顔もあまり知らなかったけれど、前々からケーちゃんと仲良しだったみたい。
それに2人は、高等部から映像部に入ったので、同じ部活になった。つまり私達の班は、全員が映像部の部員ですのよ。
まぁ、そういう経緯もあり、私達も仲良くなったのだけど、2人とも中等部から演劇部に入部したかったと、話してくれた。あの頃は、不純な動機で入部した子も多くて、部員が大勢いた。新入部員の募集は、私達が2年生になるまで打ち切っていたのよね。その頃に一部の者が退部したから、新1年生の入部募集のみ行った。
それでも、新1年生しか部員の募集出来ない程、部員が多過ぎて。
流石の赤羽根部長も、一度入部許可した子を退部させるには、余程の理由がなければ出来ないと、語っていたのよ。そう、あの頃は色々問題が遭って、羽柴生徒会長にも相談していたらしい。その羽柴会長が認められないと言われたそうで、生徒会が許可しないと、入部も退部も最終的には許可が下りないそうで。
そう言えば、夕月が物凄く怒ったことがあったのよね。
普段の夕月は、男子が、女子にヤンチャな事や意地悪をすると、怒る程度で、女子が、嫌みや意地の悪い態度を少しぐらい取っても、にっこり微笑んで諭しているのです。女子には、こちらの方が効き目があるようなのです。
でもあの時は、本気で怒っていたわよね?確かにあれは、女子達の態度が酷過ぎましたわ。冗談で済む問題では、既にありませんでしたのよ。
幾ら、夕月が気に入っているからと言って、1人の女子生徒に対して、大勢の女子がやっかみで。足を引っ掛けたり、水をぶっ掛けたりして、…虐めそのものでしたもの。夕月が切れるのも、無理もないのです…。
その後、余りに酷い事をしていた中心人物達は、生徒会からも許可を得られて、赤羽根部長が退部させたのですが…。中には、ただ単に逆らえない生徒達の方が多かったので、部員の人数的にはそう減っておりません。
赤羽根部長はこの事を教訓にして、高等部では色々と吟味してから、入部を許可しているようで。要するに、不純な動機では入部出来なくなったのですわ。
結局虐められていたあの子も、部活辞めたのだったわ。あれだけ虐められたら、嫌にもなるわよね。と言いたいところですが、実際は両親の仕事の都合で、海外に転校したのですわ。私も他人事ではないと思い、彼女とは学苑を去ってから、手紙の遣り取りをするほど、仲良くなったのです。
元々、虐めの中心人物達は、私を標的にしていたのだけれど、私は常に夕月と一緒にいるから、出来なかったみたい。夕月は女子だから、トイレも一緒、更衣室も一緒で…、キャッ!恥ずかしい…。(赤面)
つまり、夕月の見てる前では、躊躇していたのよね?嫌われたくなかったのでしょう。結果的には、この上なく嫌われたと思いますが…。
私が常にピッタリくっ付いていたから、夕月とあまり話が出来ないし、夕月は私を優先しようとするしと、かなりイライラモードだったと、あの後に知ったわ。
でもそれは、私の所為ではないでしょう?貴方の思い通りになると思って?
私でさえ、夕月が本気で嫌がるような事は、絶対にしないのよ。
幼馴染と言えど、何でも許される訳ではないもの。そこまで我が儘ではないわ。
私だって、そのぐらいの空気は読んでいるのよ。それに、幾ら夕月が優しくて女子の味方だと言っても、完璧な聖人君子ではないのよ?
夕月!私的には、十分聖人に入ると思っていますからね。
私を虐めたくとも出来ないからと、嫌みを言う程度に止めておいて、夕月があの子に声を掛けたりする度に、彼女への嫌がらせをエスカレートしていった、と。
人は其れを、弱いもの虐めと言うのよ。
私やあの子が、夕月と近い距離に居るということは、夕月自身がそれを認めてるからなのよ。誰もが受け入れられる訳ではないのよ。
夕月は常に他人を観察していて、邪な心を持つ人には自分から近寄らない。
相手から近づいても、上手く話を逸らして避けている。
虐めっ子達が、夕月とあまり話せなかったのは、そういう事である。
そのことに気が付かず、私やあの子を標的にした邪心達は、夕月に本格的に嫌われて、重く見た学苑側から転校を勧められた、という話であった。
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校外学習は、親の世代以前では『遠足』と呼ばれていたそうで。
『遠足』では、お菓子を持って行けるなんて、まるで日帰り旅行みたいだなぁ、という感想を持ったわ。対して、『校外学習』は勉強の一貫を兼ねていて、お菓子は持参出来ない。代わりに、ノートなどの勉強用具を持参する。
と言っても、校外学習はそう堅苦しいものではない。特に我が学苑は、ね。
お菓子は持参出来ないけれど、お金は持って行けるのだから。
ジュースも買えるし、お菓子を買ってもその場で食べればOKなの。
つまり、バスに持ち込まなければいいんですの。うふふ。
この話を聞いた萌々花さんも郁さんも、物凄く驚いていたわ。郁さんは、私学の女子中に通学していたけれど、お金は持って行けなかったそうよ。
反対に、お菓子持参は許可されていたのですって。
あれから、ほぼ毎日のように、郁さんが萌々花さんと、後もう一人、同じクラスの『深水 鳴美』さんを連れて、我がA組に遊びに来る。
主に、例の漫画の話をしてくるのよね。お陰様でかなり詳しくなったわ。
肝心の夕月は、読書中で聞いていないし、話にも殆ど加わらない。
漫画の主人公みたいと言われても、正直困惑する。その上、漫画の人物のセリフとか行動求められても、持て余してしまう。
夕月は、自分からしたいと思えば、そういう行動とかする人だけど、他者から「やって!」と言われると、強制されたと感じるようで、嫌みたいなの。
バスはクラス毎に分かれて乗車するから、今はE組とも別行動中。でも、お弁当の時間には突撃して来るような気がする。…うん、多分。
嫌ではないのだけれど、郁さんのペースばかりだと疲れるのよね…。
バスの席も自由に選べる。私の隣は勿論夕月が座り、後ろの席にケーちゃん達が座っている。私はバスに酔いやすいから、担任教師の席後ろという前方の席だ。
夕月は全く酔わないけど、私に付き合ってくれている。ケーちゃん達も同じく。皆、ありがとう!
「未香子、気分悪くない?」
「うん、大丈夫。一応、家を出る前に、酔い止め薬を飲みましたわ。」
私が少しでもぼんやりしたり、お話をしなかったりすると、こうやって気を使ってくれるの。それでなくとも、よく気が付くタイプですのに。
本当に、夕月は優しい!だぁ~い好き!
今日の校外学習の行き先は、バスで1時間半ほどの距離の近場である。先日遊びに行った遊園地より近い。休憩を挟みながら行くので、実際には40分程度の距離しかない。ある程度のお金持ちの令息・令嬢であるので、車での移動には当然慣れている。電車も通学で最近慣れてきたけど、バスにはあまり慣れていない。
学苑のバスで通学しているのに?そう思うでしょうが、あれはね、学苑仕様の特別なバスなのですわ。背凭れやシートなどは、高級仕様となっていますの。
まるで社長待遇のようですわね、おほほほ。
今日のバスは、一般人も乗るようなバスだと思う。もしかしたら、令息・令嬢が通う学校専用になっていて、一般的なバスよりも快適なのかもしれない。
何と無く、通学で使う電車の座席より、マシのような気が…。
バスに乗っている間も話をしたりするけれど、夕月はそれ程お喋りではないので、2人でいても何も話さないことも、結構あったりする。
普通は、会話がないと苦痛だったりするだろうけれど、不思議と夕月といると、何も話さなくても、苦痛だと思ったことがない。とても居心地の良い感じ。
夕月が話をする時は、難しい話が多く、例えば法律云々とかだったりするけれど、私が理解出来ないと分かれば、より分かりやすく説明してくれたりする。
逆に、私が話している時は、時々相槌を打ちながら、黙々と話の最後まで聞いてくれる。話し上手で聞き上手でもある。
何と言うか、私にとっては、阿吽の呼吸のようで、夕月がそういう人なのだと、勝手に思っている。考えたくない事なのだけれど、夕月にとっての阿吽の呼吸なる人は、多分、葉月なのだろう…。
この校外学習のお話、暫く続きそうです。
ちょい脇役キャラだった『ケーちゃん』含め3人は、無事に主人公達の友人になりました。これからちょいちょい出番があると思います。
流石に、彼女達の視点はない予定です。