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君の騎士 ~君を守るために~  作者: 無乃海
第一幕 名坂学苑1年生編【1部 春の巻 編】
25/199

22話 入学後の初テスト

 22話のタイトル通りのお話です。学生さんは、もうテスト終わって、結果出てますか?

そろそろ三者懇談の時期ですかね?ある意味、テストより嫌かもしれませんね。

何がって、親に怒られるとか、先生に日頃の態度をチクられるとか…。

優秀だから、そんなことなかったって?羨ましい限りです。


 遊園地からの帰り道、真姫(まき)さんの運転で帰る道中、彼女にもお土産を渡した。「私にもですか?」と少し驚いていたけど、喜んでくれた。

家に帰ったら、皆にもお土産を渡そうと思っていたのに、どうやら今日の疲れが出たらしく、車の中ですっかり眠ってしまったようで…。


自宅に戻った時に、一度目を覚ましたのだけど、寝ぼけていたみたい。三千(みち)さんに勧められるまま、ベットに入って朝までぐっすりだったようだ。

結局渡せたのは、次の朝になってから。でも、両親も三千さん達皆も、喜んでくれてよかったわ。


5月の連休もあっという間に終わり、入学してから初めてのテストが、昨日に引き続き今日と2日間行われた。

テストは…、うん。まあ、あのぐらいなものでしょう。


夕月(ゆづ)は小学部からずっと、学年首席をキープし続けている程の、所謂(いわゆる)秀才タイプだと思う。不得意科目が特にないって、超羨ましい。

それに比べて、私は不得意科目も多いので、時々夕月(ゆづ)に勉強を見てもらっている。

夕月(ゆづ)は、とても分かりやすく教えてくれるからね。私が此処まで成績が保てているのも、|のお陰ですわね。


 「未香子(みかこ)、テストどうだった?」

 「う~ん。いつも通りだと思うけれど…。自信はないですわね。」

 「それ位ならいいじゃん!私なんか、()()()とかもしたのに、全滅かも。」


同じA組のケーちゃんが、話し掛けてきた。ケーちゃんは、中等部でも部活が一緒だったし、高等部でも映像部に入部したので、また一緒である。

同じクラスになったことがなかったから、あまりテストの話をしたことがなかったけれど、どうやら成績はよくないようなのよ。


 「私、テスト勉強はいつも夕月(ゆづ)としているのですが、今度からケーちゃんも一緒に、勉強しますか?」

 「えっ!?いいの?私、多分かなり足引っ張ると思うけど、それでもいいの?」

 「いいよ。私の場合はテスト対策というより、復習だからね。未香子がいいのなら、私はOKだよ。」


余りにもケーちゃんが落ち込んでいたから、一緒にテスト勉強しようかと、誘ってみたのです。ケーちゃんは、物凄く驚いていたみたい。

何故か、すぐ傍に居た夕月(ゆづ)が返答している。確かに教えるのは夕月(ゆづ)の方で、私ではないのだけど…。あっ、私、勝手に誘ったんだった…。


因みに、今日も夕月(ゆづ)は制服を着用していない。パンツルックスタイルだけど、一応女子姿の私服である。故に、一人称も『僕』ではなく、『私』である。

夕月(ゆづ)も、ケーちゃんには以前から、気を許している雰囲気がある。だから、OKしたんだと思う。


 「勿論、私もOKですわよ。大丈夫。夕月(ゆづ)は、教え方が凄く上手だから。」

 「そうかも知れないけど。私ね、この学校に居られるのが、不思議なくらいテスト悪いからね!」

 「ふっ。そういう事を、自分で言うんだね。ふふふっ。」


夕月が笑壺(えつぼ)に入ったようで、クスクス笑い出す。うん。主張するようなことじゃないですよね。でも本人は、「本当なのに~。」とか言ってる。

何故、()()()なのだろうか?


 「自分でも、よく高等部に上がれたなあ~、と思ってるんだからね。」


…まだ言ってる。それ、()()()()()()()からね。夕月(ゆづ)は…まだ笑ってるし。

まぁケーちゃんは、悪い子ではないのよね。演劇部では、いつも脇役と裏方係。

それでも、どんな時も楽しそうに演じたり、走り回ったりいる。


私が毎回のようにヒロインの役ばかりだと、他の子達は文句言ったりしても。

ケーちゃんが、何か文句を言うことは全くなかった。

演技は特に上手な訳ではないけど、本当に楽しそうに演じるから、周りの雰囲気も明るくなるし、お芝居も活きてくる。


高等部からは、映像部に変わってしまったので、セリフ等のやり直しは何回でも出来る。でも、演技自体は誤魔化せない。映像として残ってしまうから…。

その点も踏んで、中等部で演劇部だった元部員も、高等部では入部しない者、若しくは入部出来なかった者も、ある程度居るようだ。


演技が下手でも、裏方や脇役候補として。しかし、主役級以外をやる気がない者は、要らないと言って。赤羽根部長が大分篩い落としたようだ。

赤羽根部長!そのうち逆恨みされて、何か事件とかに巻き込まれないだろうか、と非常に心配なのですが。大丈夫ですか?




        ****************************




 テスト期間が終了したので、夕月(ゆづ)と一緒に部室へ向かう。ケーちゃんは、他の部員と先に行っている。実は、高等部から入部した内部生も、若干だけど居る。

中等部でも演劇部はかなり人気があり、赤羽根部長が苦い経験をしたのを教訓に、その後に部長になった者が、毎年のように篩い落としていた。


人気の理由は、勿論『北岡君』()()()である。演劇が好きで入部したいのではなく、北岡君と仲良くなりたい、相手役をしたい、という入部希望者が多かった。

その為、途中入部は取らないようにし、新年度も最低限の募集人数に限定した。

但し、部長が認めた者は例外で、スカウトして入部させることもあるのだけどね。


高等部への進学で、新入生を対象に入部制限が設けられ、やる気がない人、脇役や裏方が嫌な人、自分の役割に文句ばかり言う人などは、元部員でも入部出来ない。

高等部で入部した先輩方や、同期の部員達は、皆自分の役割に誇りを持つような人達ばかりだ。良い感じに纏まったと思う。


部室に入ると、1年生はほぼ集まっていた。上級生は、まだ数人しか来ていないようだ。赤羽根部長も、まだ部室に来ていなかった。

連休中に行った遊園地で、買ったお土産のお菓子を用意していると、男子達が我先にと手を出す。うちの部員って、男子もお菓子をよく食べるのよね。


 「これ、誰かのお土産?」

 「はい、私よ。連休中に、夕月(ゆづ)と遊園地に行きましたの。」


質問したのは、小学部からの内部生、田尾 光輝(たお こうき)君で、1年C組の生徒である。

運動は苦手らしく、球技大会では何に出場していたのかは、知らないけど。

性格は穏やかで、控えめなイケメンといった感じ。勉強時など、時々眼鏡を掛けている。中等部では、私の相手役の1人であった。


彼は相手役よりも脇役が多く、裏方も率先してやってくれている()()()である。

彼には幼馴染の婚約者がいるのだけど、その彼女が()()()()()と、()夕月(ゆづ)にくっ付いて来るのだ!しかも彼女、私と()()()ヒロイン役なのである。むぅぅっ!

只、私達より一つ年下の学年だから、来年の進学予定だけど…。


 「えっ、マジ?」


私達の話しに食いつくように聞いてきたのは、飛野(ひの)君である。飛野君は、夕月(ゆづ)に気があるらしいの。本人は隠しているつもりのようだけど、皆にバレバレだからね。

彼も小学部からの内部生で、1年B組の生徒である。小柄な割に跳躍力は物凄く、運動神経抜群系で、特にバスケやバレーが得意のようだ。


彼も、私の相手役の1人である。相手役の友達役という脇役も演じていて、うちの部の実力派の役者でもある。

顔もワンコっぽい可愛い感じなのだけど、性格も明るいので、女子だけでなく男子にも人気がある。嫌みが全くない、爽やか系なのである。


 「ええ。夕月(ゆづ)が!物凄くカッコ良かったの!」


私がそう答えていると、「何、何?」と、皆が興味深々で聞いてくる。

私は、如何(いか)夕月(ゆづ)がカッコ良かったかを、興奮気味で話し出す。傍らで、夕月(ゆづ)は苦笑いしてるけれどね。女子達は皆「いいなぁ~。私も見たかった。」と言っているし、男子は面白がっているようだった。


 「北岡って、敵に回すと怖いタイプなんだよなあ。」

 「そのようだね。今日、初めて会ったんだけど。姉から聞いていたから、何となく分かっていたけどなあ。」


木島 柊弥(きじま しゅうや)君が放った言葉に、2年生の『赤羽根 諒(あかばね りょう)』先輩が反応した。先輩とは、入部してから今日初めて会ったのよね。

木島君も、小学部からの内部生で、1年D組の生徒である。彼が、私の相手役として最も多く、脇役の方が少ないと言ってもいいぐらい。彼が脇役を演じるのは、夕月(ゆづ)が北岡役を演じる時、ぐらいなものである。北岡が、ヒロインの相手役になるからだ。


彼は部員で一番背が高く、中々のイケメンなのだけど、見た目が冷たい感じがする為なのか、夕月(ゆづ)や飛野君の次くらいで、モテる程度かも。

普段の彼は、性格は悪くはないけど、人の嫌がるような事も揶揄うことがあるので、特別仲良くならないと、本心が分かりにくいタイプみたい。本人もぶっちゃけた本心を見せないので、夕月(ゆづ)とはある意味似ているのかなぁ?


赤羽根 諒先輩(以降は諒先輩と呼ぼうかな)は、3年の赤羽根部長の年子の弟である。去年、学苑に転入入学した外部生である。

中学までは、他の私学小中学校に通っていたそうで、姉の策略で高校より編入手続きされた、と聞いた。部長‼実の弟にも容赦なしですね!


勿論この部室に居るのは、映像部に半強制的に入部させられ、助監督(現場監督)係を押し付けられたからなんだとか。…う~む。お気の毒に…。

でも全然、そんな話を聞かなければ分からないぐらい、明るくて調子の良い人、もしくは軽い人だと思う。前向きとも言う。


他にも、2年生の外部生が数人居るけど、まだ真面に会っていないのよね。

今日からやっと本格的に部活が始まるので、もう直ぐ会うことになるだろう。

そういえば、高等部に進学してから、赤羽根部長にもまだ碌に会っていない。入部の時は、って?入部届け提出したら、既に()()()()にされていましたけど…。


部長‼私達の分、()()()出しましたね!因みに私以外は無論、夕月(ゆづ)に、飛野君、木島君、田尾君でしたよ。逃がす気が、()()ないですよね?

ケーちゃんの分も出されていたそうな。ケーちゃんは凄く嬉しそうだったけど、逃げられないってこと、分かってる?はあぁ~。(ため息が…)


 今回はテストのお話でした。嫌いな物じゃなかった、って?まあ、でも、嫌いとか苦手とかいう人が、圧倒的に多いと思うのですが…。


では、気分を変えて、今回の話の補足です。以前『晶麻』が語っていた2年生の外部生部員の1人です。

まあ、登場人物一覧に載っているので、やっと登場したかと思われているかも。

前から名前が出て来る部長、まだセリフどころか登場すらしていませんね。先に弟がセリフ言うとは。筆者でさえ、見当違いであったよ。


『ケーちゃん』は完全なちょい役の脇役キャラですが、少しおバカで愛されるキャラをイメージしています。

今までは部活が同じでも、クラスが別だったので、特別仲良しではなかった、という設定です。

まあ、中等部では演劇部の部員がマンモス級だったのと、『夕月』狙いが多過ぎて、あまり他の部員と話せなかったというのが、理由です。

特別視なんかすると、女子の嫉妬は恐ろしいので。仲良くしたくても出来なかった、というのが3人(夕月、未香子、ケーちゃん)の本音ですかね。

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