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君の騎士 ~君を守るために~  作者: 無乃海
第一幕 名坂学苑1年生編【1部 春の巻 編】
22/199

19話 恋人繋ぎしませんか?

 今日のお話は、学苑のお話ではありません。学苑外でのお話となっております。

1話分では語れなかったので、分けました。

暫くこのお話が続きますが、よろしくお願いします。


※現在、見直しの為、改稿しております。当初より650文字程度を追加しております。内容も分かりやすくなるように、心掛けました。

 改めて、よろしくお願い致します。

 入学してから初めてのテストが、5月連休後に行われることになっている。

今回は主要科目だけなので、何とかなるでしょう。私は、苦手科目が少ない方ですからね。体育の実技は、超苦手だけれど、ペーパー試験の方は割と良い成績なの。


社会人の5月休暇は、10日も続くような長期休暇になることが多い、とよく聞きますが。休暇が長いので、家族旅行に行く人も多いらしいですわね。しかし、私達学生は大人とは違い、連休が途中で途切れ、また連休という具合ですものね。

大人のかたが羨ましい限りですわ。


小学生の頃ならば、学校を休んでも大丈夫かもしれないけれど、中学生・高校生になるに連れて、連休後のテストなどの勉強の為、学校を休む訳にはいかなくなる。

1日でも休めば、勉強が分からなくなってしまうこともある。長い連休中は、宿題も沢山出ることが多くて。学生にとって、夏休み・冬休みよりもキツイかも…。


 さて、4月の健康診断と球技大会も、無事終了しました。今は連休中の為、学苑も休暇中である。今年も連休中には、宿題が沢山出ており、その一部は課題もあったりする。

連休初日に、夕月(ゆづ)と一緒に丸1日掛けて、宿題をほぼ終わらせている。

2日目には、宿題の残りを制覇して課題に取り掛かった。


3日目には、その課題もまとめたりして仕上げている。その後は、ただ只管、テスト勉強を暗記するということではなく…。

暇を見つけては、夕月(ゆづ)と2人でお出掛けをした。私達が住む市外で、この地域では、1番大きな都市である街に。


街中をぶらぶら歩いては、時々ビルなどの建物の中に入り、衣類や靴や化粧品などのショップを覗いて見て回り、ウインドウショッピングしたり。

お洒落なお店での食事や、休憩する為に喫茶店に入って、美味しいケーキと紅茶でお茶したり。

可愛い小物屋さんで、アクセサリーや文具などの小物や筆記用具を買ったり。


今日も、夕月(ゆづ)と2人、これから我が家の車で、休憩がてらのお出掛けをするのである。車の運転は、真姫(まき)さんにお願いしているし。

今から行く処は、電車だと2時間以上は掛かる場所であり、マイカーの方が自由が利くのだ。送迎してもらった方が、融通も利くしね。


それに、学苑以外に行く場合は、色々とセキュリティ上の問題もある為、成るべく基本乗用車での移動を(おこな)っている。当然のことであるけれど、学苑が禁止しているのは、飽く迄通学上でのことだけですから。


 「未香子(みかこ)お嬢様、夕月(ゆづき)様がお見えになりましたよ。」


私の部屋の戸がノックされ、真姫さんが戸の外から話し掛けてくる。「今、行きます。」と返答して、鏡の中の自分を見て最終確認する。

うん、服装OK。髪型OK。バックの中身もOK。お金はこれで足りるかしら?

ええ、これで大丈夫。


バックを持って部屋を出てから、階段を下りて行く。玄関まで歩いて行くと、外出用の()()()()()をした夕月(ゆづ)が待ってくれていた。

うわぁ~。学苑での北岡君の時の男装も良いけれど。私は、今日の男装の方が、物凄くカッコイイ ‼ と思いますわ。でも、これは()()()()()()なのよ。

学苑や電車で見かける女子には、()()()()()()()()()なの。うふふふっ。


学苑での演技用男装と、外出用男装では、微妙にカッコよさが違うのですわ。

このような夕月の姿を、学苑の生徒達に見られたら、それこそ大変な騒ぎになってしまうでしょうね。それほど、今の夕月ゆづの男装は危険ですわね。


そのような妄想をしていると、私がうっとりするような満面の笑顔で、夕月ゆづが私の方に片手を差し出す。これは、夕月(ゆづ)の「エスコートするよ」の()()なのである。


 「では、出掛けようか?()()()()()?」




        ****************************




 今日は、両親が仕事上の付き合いで貰った遊園地のチケットで、隣の県にある遊園地に遊びに来ている。ココの遊園地に来たのは、久しぶりだわ。

真姫さんは、この近くに知り合いが住んでいるということで、私達が遊園地で遊んでいる間は、別行動をしてもらうことにした。


本当なら護衛が必要なのだけど、私の場合は、いつも夕月(ゆづ)が傍にいてくれるから、特に必要がない。夕月(ゆづ)は、一通り武術が出来るの。だから、下手な護衛だったら、夕月の足手纏いになってしまうのよね。

私1人で行動する際は、真姫さんか幹人(みきと)さんが護衛をしてくれる。この兄妹は、護衛も兼ねていて、護身術などの武術を身に着けている。


真姫さんは、私用の別行動に恐縮していた。私は、ただ車で持ってもらう方が悪いからと、時間潰しをして欲しいと、こちらからお願いをした。

結婚した友人がこの近くに住んでいる、と真姫さんに前々から聞いていた。

会うのを勧めたところ、その友人と会えることになった、と。真姫さんも嬉しそうにしてくれたし。只の時間潰しにならなくてよかったわ。


今、私は夕月(ゆづ)と、ジェットコースター系の乗り物の列に並んでいる。

連休中なので、かなりの混雑ぶりである。某有名テーマパークとは違い、優先チケットなどが存在しないので、只管ひたすら列に並ぶしかないのよね。


私はどちらかというと、絶叫系アトラクションよりも、メリーゴーラウンドやティーカップとか観覧車など、幼い子供でも利用できる乗り物の方が好き。

友達は皆、子供っぽいって言うのよ…。いいのですわ。別に…。

何とでも言って頂戴!(開き直った)


しかも、最近の絶叫系アトラクションは、宙返りは当たり前で、高いところから思いっきり落ちるのとか、グルグル回転するのとか、振り子のように右に左に大きく揺れるのとか…。ううっ…。怖すぎる…。


他にも、映像とリンクしていて、本当に体験している錯覚をさせるのとか、恐怖の館みたいなのとか…。大人でも、十分怖いと思うけど…。

何で、こんなに怖いのが多いの?もっとのんびり景色見ながらで、いいじゃない?

本当に怖すぎて、夢にまで出て来そうよ…。


今更悩んでも仕方のない事を、グルグルと頭の中で考えていた、私の心の声が聞こえたみたいに、夕月(ゆづ)がクスッと笑って、私の顔を覗いてくる。


 「未香子は、相変わらず絶叫系が苦手だね。これは宙返りはしないから、そんなに怖くないよ。」

 「でもこれって、確か長さがあるって有名なヤツでしょう?」

 「うん、まあね。長い方ではあるけど、日本一とかではないから。」

 「でも、通常よりも長いってことだよね?その分、怖さが増すわ~。」


思わず、「はあぁ~。」と溜息が零れる。それを見て、夕月(ゆづ)がくすくす笑う。夕月(ゆづ)は絶叫系平気だから、いいでしょうけれど!

笑う夕月(ゆづ)を睨み付けていると、「大丈夫だよ。」と無責任な言葉を返してくる。もう!何が、大丈夫何でしょうか?!


 「大丈夫。今日は、手をしっかり握っていてあげるから。」


そう言って私の手を取ると、自分の指を絡めて()()()()にしたのだ。

キャー、恋人繋ぎ~!憧れの恋人繋ぎですわ!夕月がしてくれるなんてっ!

私の顔は今、思いっきり真っ赤になっているだろう。声には出していないけれど、心の中で思いっきり叫んでいますもの!


その時、後ろから「ケッ ‼ 見せつけやがって。」という、呟きのような小さな声が聞こえてきた。列に並んでいるので、多分すぐ後ろの人だと思う。

今日は、夕月(ゆづ)が完璧な男装をしているので、完全に()()()()()()()だと思ったのだろうな。(なん)だか嬉しい。そう思われるのって。


私は、聞こえないフリして、流石に後ろを振り向くことはしなかった。チラッと、横に立っている夕月(ゆづ)の顔を見上げる。夕月(ゆづ)もバッチリ聞こえたようで、苦笑いしながら、その目が「後ろを見るな。」と言っているようだった。

絶対に見ないわ。睨まれたり絡まれたりしたら、嫌だもの…。

私も、目でそう答えたつもりで。…通じたかしら?


30分ぐらい並んで、やっと自分達の番になった。30分だったら早いって?

そうかも知れないけれど、30分も絶叫系を待つのは、十分長いのです…。

ギャー。然も、りにって最前列とは!私達の前に、誰も座って居ないなんて!怖さが増すのよ!夕月(ゆづ)ったら、ワクワクしたりしないで~。


ジェットコースターが動き出してからの、記憶がない……。どうやら、記憶が飛んだようですわ。余りの怖さに…。

だから、ジェットコースターが終了したのにも、全く気が付かず、ボーとしていたみたいである。夕月(ゆづ)が肩を揺すってくれるまで……。


 「未香子!もう着いたよ。終わったから、降りよう?」

 「えっ!あ、うん…。」

 「大丈夫?ごめんね。先頭で怖かったよね?少し休もうか?」

 「うん…。夕月(ゆづ)が悪いわけじゃないよ。私がツイてないだけ…。」

 「う~ん?何か重症だね、コレは。先に、癒し系の所に行こう!」


夕月(ゆづ)がまた()()()()をしてくれて、まだ呆然とする私を先導して歩く。私達が歩く前方に、私達と同じくらいの男子が4・5人固まって、立っているのが見えた。どうやら、次に行くアトラクションの相談をしているようだ。

私達が横を通り過ぎる時、「あっ、さっきの列の前で、いちゃついた奴らだ。」と、話す声が聞こえる。


そうか、この男子達が後ろにいたのか。絡まれるかもと少し緊張した。でも、何も言って来なかったので、ホッとする。よかった…。

夕月(ゆづ)は気にせず、ドンドン歩いていく。どこに行くのかな?さっき、癒し系とか何かとか、言っていたような。


 「着いたよ。ちょっと、テンション上がる物を、買おうか?」

 「へっ??テンション上がる物?」


夕月(ゆづ)が、私を連れて来た所は、お土産とか売っているショップだった。

まだ来たばかりなのに、もうお土産買うのかしら?

疑問に思って夕月(ゆづ)を見つめていると、何か探すように見て回り、目的の物を見つけたようで、()()を手に取ってそのままレジに向かう。


私は訳も分からず、そのまま手を引かれて、一緒にレジに連れられて行く。

夕月(ゆづ)がレジで会計を済ませる時に、私は、()()()()を見つめる。夕月(ゆづ)が何を買ったのかが、()()を見てやっと分かったわ。()()()()()と言われているアクセサリーで、それと同類のペア・アクセサリーだったのだ。


ある日、この遊園地に男女数人で来ていた、その内の1人の女性が、偶々そのアクセサリーを気に入って買った、という。

そして、一緒に遊んだ内の1人の男子も、同じアクセサリーを買ったことを後日知り、そこから意気投合。その後、付き合うことになった。


再びデートで遊びに来た時に、そのアクセサリーの柄違いをペアで購入。そして今度は、結婚することになったらしい。

その2人の恋愛話が友人達に伝わり、誰かが同じように幸運を求めた事から、一気に幸せのアクセサリーとして有名になった、と聞いたことがある。


遊園地側がそのことを知って、元は別々で売っていたものを、ペア・アクセとして売るようになったそうである。カップルとかには、特に大人気らしい。

因みにそのアクセサリーは、幸福のアクセ、友情のアクセ、癒しのアクセ、幸運のアクセなど多種あり、男女限らず同性同士、つまり友人同士にも人気がある。

また、家族で買いたくなるペア・アクセもあるそうな。


夕月(ゆづ)が買ってくれたのは、癒しのアクセだった。しかも、夕月(ゆづ)とペアなのよ!確実に、テンションが上がったわ!超う・れ・し・い!


 「これで、癒しになるかな?」

 「うん、うん!もの凄く嬉しい ‼ テンション、上がりましたわ!」

 「そう。それは良かった。」


もう、私が飛び上がらんばかりに、満遍の笑顔で元気に答える。すると、夕月は、目を細めてフッと笑って、私の頭を撫でてくる。うわ~。その笑顔、癒されるぅ。

何時いつもの夕月ゆづより、男装した夕月ゆづの方が数倍イイ~ ‼ (うっとり)


この後は、私が好きなアトラクションに行って、いっぱい癒しを貰いました。

怖い思いした甲斐が、ありましたのよ~。ルンルン!楽しいですわ~。

 今回から、暫く5月連休中のお話で、続きのお話となります。主人公達のプライベートな話の内容となっております。

恋人通しのような関係を意識して、書いています。この寒くなった季節に、暖かい時期の内容は、結構キツイものですね。


前々から、自分でも気づいていたことなのですが、後書きとかで書こう書こうと思って、忘れていたことがあります。

誰かの目線で書く時に、その人物に合うよう、少しずつセリフを変えています。


『未香子』のセリフが、統一性がないとか、お嬢様の言葉じゃないとか、実は思っていたという方もいるかもしれませんが、あれはわざとなんです。

最近のお嬢様は、特別な上流階級のお嬢様なら兎も角、案外庶民と変わらない言葉使いだと知ったことから、その事実を採用しました。

まあ、未香子ぐらいのお金持ちなら、割と沢山いるという事で。


他の人物も同じ理由で、庶民的だと思えば一般的な男女の言葉で、性格的な物も含めて上級階級の人物に近づくほど、丁寧な言葉使いになるよう、心掛けました。

(一番お上品な言葉使いは、意外な人物なんですね。)

ただ、男子の場合は例外として、大体性格的なもので決めました。大人の男性ではない、という理由で語り口調だけ丁寧にした人物もいますが。


未香子もお嬢様教育を受けているので、お嬢様言葉は喋れますが、一番目線の多い語り手ですから、いつもその口調では堅苦しい、という理由で不採用にしています。

ですから、時々気分でお嬢様言葉になる、という設定です。後、お嬢様言葉ばかりでは襤褸が出ますからね。分かって頂けたでしょうか?

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