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君の騎士 ~君を守るために~  作者: 無乃海
第二幕 名栄森学苑2年生編【波乱の幕開け】
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6話 高等部入学 ~礼奈~

 今回は少し時間を遡り、部活紹介の様子も含まれた内容となっています。


第三者視点ではなく、高等部に入学したばかりの礼奈視点となります。

 わたくしは今春に無事、高等部に進学致しましたわ。わたくしの成績ならば特に進学も問題がなく、また…新入生代表の挨拶するほどでは、ございませんが。去年の新入生代表の挨拶は、北城先輩がされたそうですし、わたくしもこの1年間は頑張ってみましたけれども、生憎そこまでの成果は出なくて…。これが、わたくしの実力の限界なのかもしれませんね。


去年の北城先輩のご挨拶を、是非とも拝見したいですわね…。退屈に感じる入学式でも、そう考えますと楽しそうですよね。


入学式が終了し、今から始業式が始まるということで、もしかしたら…と淡い期待を抱きながら、キョロキョロと見回しておりました。北城先輩のお姿を一目拝見したくて…。そうしておりますと何故か…光輝君と、バッチリ目が合ってしまいましたわ。


…これは、帰宅してから叱られるパターンですわね…。光輝君は…時々まるでわたくしの母親の如く、わたくしの礼儀作法がなってない…など、様々な駄目出しをされますのよ。…ふうう~。これは間違いなく、子供扱いされておられますよね…。多分今日も、堀園家の娘として礼儀について、叱られることでしょう。


仕方なく、北城先輩をお探しするのは…我慢致しますわ。わたくしは後ろや横を振り返るのは止め、堀園家のお嬢様らしく背筋を伸ばし前を向き。こうして 恙無つつがなく始業式も終了し、この日は特に何もないままに、1日目が終了したのです。


高等部での生活が始まりますと、早速新入生としての行事があり、わたくしも暫くは忙しくて、北城先輩ほか先輩達にはお会いするどころか、お見かけすることも出来ませんでしたわ。残念な限りです…。


入学式の当日のことはやはり思っていた通り、我が家に来られた光輝君にお説教されましたわ。入学式からお行儀が悪かった…とか、高校生になったのに落ち着きがなさすぎる…等々、色々と…でしたわ。…ふう~。光輝君のお説教は、長過ぎ…ですわ。もう少し、短くしてくださらないかしら?


このような事実を、正直に申し上げるつもりはございません。実際に言葉に致しますと、また…彼のお説教に繋がりますものね。わたくしも、光輝君の性格は、よ~く理解しておりますつもりですが。下手に刺激したくは、ありませんのよ。それに光輝君は、わたくしのためにとお説教をされるのですから、その点は理解しておりますわ。親同士が決めた婚約者とは言えども、わたくしのお相手が彼で、本当にラッキーでしたわ。


わたくしは堀園家の次女ですし、長男である弟もおりますので、堀園家は弟が継ぐ予定です。長女である姉は婚約者がおられますし、弟はまだ幼い年齢ですから、もう少し様子を見て婚約者を決めることになりますわ。わたくしも光輝君と正式に婚約致しましたのは、小学5年生でしたもの。光輝君は6年生でしたわね。


何れ正式にそうなるとは物心ついた頃より、両親から言われておりましたし、予想外でも何でもありませんが、寧ろ…嬉しく思ったぐらいでしたわ。光輝君もあの時は、照れ笑いをされておられて。…ふふふっ。懐かしい思い出ですわ…。


高等部は中等部とは何もかも、規模が違っておりました。外部生との親睦を深める目的で、男子が健康診断中の間は、女子は調理実習やクラス対抗試合もありましたわ。これが、結構楽しかったですのよ。外部生の方とも数人と、お話できましたのよ。高等部では、お友達が沢山出来そうで、今後が楽しみですわ。…ふふっ。


今週の午後の時間には2日間連続で、部活紹介がありますのよ。わたくしはもう入部先は決めておりますし、全く関係がないと思っておりましたのに、見たり聞いたりするだけでもワクワクして参ります。まだ決めていらっしゃらないお人ならば、何処に入部されようかと迷われそうですわね。


さて肝心の映像部の紹介は、1日目なのでしょうか?…それとも、2日目に参加されますのかしら?…光輝君ったら、教えてくださらないのですもの。


 「いつ遣るのかは知らない方が、楽しみだろ。いくらもう決めているからということでも、ア~ヤももう少し他にも目を遣った方が、いい。世界は限りなく、広いのだから。」


光輝君はそう仰いますけれども、わたくしの世界は狭くてもいいのでしてよ。それにわたくしは、まだもう少しこのままでいたくて。世界を知れば知る程に、わたくしはこのままではいられない、という気がしてくるのです。まだ…何も知らぬ子供で、いたい……。そう思うことは、間違っているのでしょうか…?






    ****************************






 初日には、映像部の紹介はありませんでした。…ということは、2回目である今日は参加される…ということですね。映像部の部活紹介には、北城先輩もいらっしゃるのかしら?…とても楽しみですわ。


担任教師からいただいた、部活紹介が簡潔に書かれた用紙には、映像部は最終での参加のようですわ。光輝君が教えてくださらないのは、こういう理由もありますのかしら…。最終日のラストだと知れば、わたくしが落胆するとでも思われていたのかしらね。半分は当たりですけれども……。光輝君には、敵いませんわね…。


今日の部活紹介も、とても魅力的でしたわ。生徒会も…部活紹介として参加なさるとは、思いもしませんでしたわ…。そうは申されても生徒会は説明のみされ、人員募集ではございませんが。どうやら、高等部の生徒会は、中等部までの生徒会とは全く異なる仕組みのようでして、その説明を兼ねたご紹介でしたのよ。まるで、別の学校に入学した気分でしたわ。


先日にも、担任教師から委員会の簡単な説明がありましたが、今日の委員会のご説明では、仕組みが独特のものでしたわ。外部生の入学受け入れがあるかないかで、こうも違ってしまうものかしら…。


愈々、映像部の紹介となりますね。もう、ワクワク…ソワソワして、仲の良いお友達にも笑われてしまいましたわ。もし、また光輝君に見られておりましたら、お説教が待っておりますわね。それに……。「そんなに…北岡が好き?」と、光輝君が眉を下げて、ちょっぴり寂しそうにされるのは……。…ずるいですわ………。


映像部の紹介になった途端に、全て忘れてしまいましたが。だって…北城先輩がいらしたのですもの!…ああ、去年の学苑祭ぶりですわ…。映像部の代表として、他にも部長さんとシナリオ係さんがいらしたのですが、お2人とも全くわたくしが知らないお人でした。ですから当然お話を聞きながらも、わたくしの視線は…北城先輩の姿だけを映しておりまして。ボ~と見とれておりましたのよ。


北城先輩は当初は態と、学苑の女子の制服を着用されておられ、生早着替なまはやきがえを舞台上でされて、鬘も被り何時もの男装をされたのですわ。そして男子っぽく低くされた声で、勧誘というよりも…上演会のCMをされたのでして。…ほう~。相も変わらず、かっこいいお姿です…。わたくし達女子内部生は勿論のこと、外部生の女子生徒達の心も、鷲掴みにされた模様ですわね…。皆さま…お顔が赤いですもの。


制服下に予め男装蓉の服装をされていた北城先輩が、制服を脱ごうとされていた時には、心臓が…ドキリと致しましたわ。男子生徒などは目をギラつかせて、おられましたわよ…。女子の制服を着用された先輩は、女子生徒としても可愛らしいお顔をされておられますし、仕方がないですわ。先輩が男装された時には、勝手に期待されていた外部生の男子生徒達は、呆然とされておられて。何だか、久しぶりに拝見致しましたわ、この反応を。……ふふふふっ。


…ああ。やはりわたくしは、映像部に入部したいのです。北城先輩に癒されたいですし、未香子先輩との攻防も…案外と楽しんでおりますわ。未香子先輩はわたくしを目の敵にして、歯向かって来られますのよ。本当に正直なお人ですわね。わたくしは、ライバルとも思っておりませんのに…。わたくしも想いは、単に憧れから来るものなのですわ。未香子先輩の想いとは、全く違う種類のものなのでしてよ。


ですから、ライバルにはなりません。未香子先輩の反応が面白過ぎて、ついつい揶揄いたくなってしまいますのよ。ライバルと思ってくださるのも、嬉しくて張り合いたくなるのですわ。光輝君の巡ってのライバルは、今更…出来そうにないのですもの。未香子先輩には申し訳ないのですが、もう少しだけ…そういう気分を味わわせてくださいませ。


光輝君には正式な婚約者が存在するとして、光輝君に懸想けそうはされても、今までにライバルになる勇気のあるお人は、現れませんでしたわ。偶に勇気を出されるお人が現れても、わたくしが相手と知られますと、直ぐに諦められるのでしてよ…。光輝君もわたくしに気を遣われ、女子から告白されても直ぐに断ってしまわれるようですわ。別にそのようにまで…義理立てされることは、ございませんのに。わたくしがそうお伝えしましても、逆に…顔を顰められるのですが。


婚約を破棄されては困りますけれど、火遊び程度なら大丈夫ですのに。光輝君は本当に、真面目ですのよ。わたくしは逆にのめり込むようなタイプですし、今更本気で他の男性を追うようなマネは、致しませんわ。ですから男装の麗人に夢中になるのは、見逃していただきたいのです。今だけ……ですもの。わたくし達に、自由恋愛が許可されますのは……。


わたくしも、恋をしてみたいのです。光輝君とは幼馴染で好きですけれども、やはり恋とは…違いますのよ。一度でいいから、自らの意思で恋してみたくて。北城先輩には恋というより憧れですけれど、それで十分なのですわ。今は………

 未香子が感じているライバル関係も、礼奈は揶揄っているだけ…でした。彼女はただ単に、恋愛を体験したいだけで。この気持ちが、今後どうなって行くのかな?

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