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君の騎士 ~君を守るために~  作者: 無乃海
第一幕 名栄森学苑1年生編【4部 冬の巻 編】
134/199

115話 新年のご挨拶を

 前回で年末が終了し、今回から新年を迎えます。ですので今回は、新年の元旦の日のお話となっています。いつも通りの未香子視点です。

 新年明けまして、おめでとうございます。今年も、よろしくお願い致します。


…という挨拶を、朝から交わしておりまして。今日から、新しい年になりました。今日は、もう暫くすれば、親戚一同が集まって来られることでしょう。私も只今、その準備の真っ最中なのですわ。朝早くから起こされまして、親戚を出迎える為の準備を、させられておりますのよ。


勿論、お客様を迎える為の料理や部屋の用意は、うちのお手伝いさん達がやってくれますわ。では、私の準備とは何か…具体的に申しますと、それは盛装に着替えるというものですわ。盛装とは、この場合では新年ですから、着物を着ることになりますね。これが外国でしたら、お姫様が着るようなドレスなのでしょうが、生憎ここは日本ですからね。着物を着てご挨拶することと、九条家では決められておりますのよ。ふう~。着物は嫌いではありませんが、帯がきつくて苦しいのです…。


ああ…。早く終わってほしいです…。そして、夕月にご挨拶しに行きたいですわ。今日は、北城家でも着物を着ている筈ですし、夕月の晴れ姿を拝見したいですし、私のこの晴れ姿も、見てもらいたいのですわ。夕月に会えるのは…早くても、夕方になることでしょうね。もう、早くも憂鬱です…。


新年三が日ばかりは、兄も盛装着用されて着物姿ですのよ。兄はかなりのイケメンですから、着物姿も様になっておられます。外国人が着物を着たような姿なのですが、それでも黒髪の日本人よりも、ずっと似合っておられますわね。()()()()()()()()()()()()ならば、私も一目惚れしていたかもしれません。ですが、私の好みとは異なりますわ。お兄様に似たお人を、好きになる気が…致しませんもの。


どちらかと言えば、夕月のような男性が…などと、何を考えているのでしょうね、私は…。これでは、葉月も…()()()()()()()()()()()では、ないですか…。本当に私は…どうしてしまったのでしょうか…。自分の気持ちだというのに、よく分からないなんて…。


葉月が私を嫌っていない…と、知ってからは、今更ながら…幼馴染として仲良くなれると、舞い上がっているのかしらね…。男友達というものが、今までいなかったものですから、葉月とお友達になれると思って、嬉しくて…仕方がないのかもしれません。きっと…いえ、絶対にそうですわ。そうに決まってますわ!…私は以前から、幼馴染としても、葉月とお友達になりたかったのでしょう。漸く…気持ちの整理がつきましたようで、すっきり致しましたわ。


さて愈々、親戚の方々がお出でになりました。両親と兄と私が揃って、今はお出迎え中ですの。新年のご挨拶をして、ただ只管笑顔で、にこにこと対応しておりますのよ。私は人見知りが酷いこともあり、自分が話し掛けられない限りは、聞き流しておりますの。お兄様は社交がお得意のご様子でして、今も大人の方にも笑顔で話し掛けられていて、私の分も(にな)ってくださいますのよ。


本当は、私も自分で(こな)さなければいけないのに、今はまだ…お兄様に、甘えっぱなしですわね…。ごめんなさいね、お兄様。そして、ありがとうございます。


いつも、お兄様には感謝しておりましてよ。時々ウザくなるお兄様ですが、私のことを…大切に思ってくださっているのは、十分に理解しておりますわ。ですから、()()()()()()()()、お兄様に甘えさせてくださいませ…。






     ****************************






 …ふう~。親戚のご挨拶も、漸く無事に終了致しましたわ。たった今、お見送りも終わりまして。親戚の方々も帰宅され、今の時刻は…17時近くになりまして。親戚の方々は、比較的近辺に住まれておられ、お泊りされるお客様もなく、遠方から来られたお客様も、近くのホテルに宿泊されますので、夜までおられるお人は…滅多におられません。


 「さて。これから、北城家にご挨拶に伺うことにしようか…。未香も、一緒に行くだろう?」

 「はいっ!…わたくしも、御一緒させていただきますわっ!」


お兄様が、お隣の北城家にご挨拶に伺うと、声を掛けてくださったので、私は元気良くご返答しましたのよ。本当は、疲れておりましたけれども、夕月に会えるかと思いましたら、途端に元気が出て参りました。毎年新年の恒例とはいえ、お兄様と共に新年にお伺いするのは、緊張致しましてよ。


北城家も同様に今朝早くから、新年のご挨拶に出掛けられておりました。毎年元旦には、四条家のお祖母様のところに、ご挨拶に行かれている。そして、我が家での挨拶が終了する頃には、北城家も帰宅されているので、この機会を逃せば、暫くご挨拶も出来なくなってしまう。明日は、北城家のお父様の実家に、北城家一家が出払いますし、我が家も出掛けることになっており、今日中にご挨拶しなければ、新年早々3日間も、ご挨拶どころか…顔も見れないのであった。


毎年お隣までは、兄と歩いて出掛けている。兄も着物姿にも拘らず、女性の私の方が歩きずらいので、兄は…私に歩幅を合わして、歩いてくれている。こういう()()()()()()()()が、お兄様も夕月も…お上手なのよね…。そして、最近…知ったばかりなのですが、葉月も…。ううっ…。私だけが、何も気配り出来ない…。さり気なくどころか、気配りすら…出来ておりません…。落ち込みますわ…。


 「そう言えば、今年は…あの従姉弟達は、来なかったね?…流石に、名栄森学苑の高等部の受験も受けた上に、2人揃って…2回目の不合格では、本人達も格好がつかなかった…のかもしれないね…。」

 「…そう言えば、そうでしたわね…。去年は、お姉様の方が来られなかった…ご様子で…。今年は、お2人共…来られなかったのですね…。何となく…静かだと思いましたわ。それよりも…あの従姉弟達は、高等部の受験も受けられましたの?…小学部を受験された時に、不合格でしたのに…。」

 「そうだよ。小学部の受験は、()()()()()()()()が身に付いていれば、大体合格出来る筈なんだけどね…。小学部の受験で大事なのは、名家の令息か令嬢かであって、他は…そんなに難しくないのに…。その小学部を不合格になるとは、ある意味凄いよ、あの従姉弟達は…。」


亀の歩みのようにゆっくり歩いておりまして、兄が退屈されたのかもしれません。ふと思い出されたかのように、叔父一家の子供である従姉弟達の話を、私に振って来られましたわ。私的には、あの従姉弟達のことなど、どうでも良いことでしたので、すっかり…存在を忘れておりましたわ。来ていないことですら、気付いておりませんでした…。道理で、静か過ぎると…思っておりましたわ。私が()()()()()()()()()のは、そういうことでしたのね…。


私は、あの従姉弟達が苦手で、お顔も見たくないぐらい…好きにはなれない人達でして。はっきり言ってしまえば、大嫌いなのです。人前では言えませんけれど…。私からは、あの従姉弟達には…近づかないようにしておりますのに、あの従姉弟達から近づいて来られて、私を貶したり嫌みを言ったりして、来られる訳でして…。それを毎年のようにされるものですから、いつも…お兄様を本気で、怒らせておられましたわね…。学習能力が、ないのかしら…。


叔父夫妻は、とても穏やかな優しい方達なのに、あの姉弟は…全く似ていません。不思議ですわ…。姉の方は、私より1歳年上でして、一昨年に名栄森学苑を受験して不合格になり、そして弟の方は、私より1歳年下なので、今年受験となる筈ですが…。あら?…弟さんの受験は…まだなのでは?


 「弟くんは、今年の2月に受験する筈だった。受験の申し込みをした時に、断られたそうだよ、名栄森学苑の理事長に。つまり、受験する前に、受験資格を失ったんだよ、弟くんは。」

 「…………。」


…何とっ!…弟くんは、受験の申し込み時点で、却下されたんですの?…遠縁の小父様、ある意味…ナイスでしたわ。あの従姉弟達が受験したとしましても、合格する確率の方が低いですね。それでも受験されるのは、九条家の見栄みたいなものでしょうね…。でも…遠縁の小父様、叔父一家から恨まれなければいいのですが…。叔父夫妻は、そのような人達ではないとは、思いますけれど。


 「心配は無用だよ。あの学苑の理事長は、表向きには不明とされている。父の弟と言えども、叔父夫妻も…この九条家の遠縁が理事長とは、思ってもみないだろうからね。でなければ、2回も受験させようと思わないよ。九条家の遠縁が経営していると知っていたら、寧ろ…1回も受験させなかった、と…思うよ。」

 「…そういうものなの?…九条家の遠縁だから、入学出来ると思うのでは?」

 「そうだね。叔父の子供である…あの従姉弟達ならば、そう思うだろうけどね。叔父夫妻は、そこまで抜けた人ではないよ。九条家の恥さらしになると、思う筈…だからね。」


…ああ、なるほど…。そういうことですのね…。九条家の遠縁が経営する学苑で。

然も、それなりに世間で評価を受けている、学苑でもあり。上の学部に進学するのも、合格するのも難しい…と言われている、それなりの評判もある。そのような学苑に、同じ血筋の九条家が受験するのは、当然のことであり、また合格するのが当たり前ではある。


しかし、本家と同じ血筋の子供達が…不合格では、これは九条家の恥となることだろう。叔父だけの問題では、なくなる。…というところでしょうか…。叔父様が、知らされていないとは。どうして…身内なのに、知らされていないの?


「九条家でも一部の人間しか、知らない事柄なんだ。」と、お兄様が説明してくださいます。私は…本家の人間だからこそ、知り得た情報なのですね…。私達兄妹が九条家本家の人間なんだと、改めて実感した…今日この頃でした。

少し早いですが、元旦の日のお話となります。

親戚の新年の挨拶は無しの予定でしたが、着物姿の4人を書きたくて、さらっと流し形で書いています。未香子が苦手な人物も、今回は登場はさせず、現状を朔斗が説明する形で流しました。


※『あの従姉弟達』のことは、『君の騎士』シリーズ、別話の『お正月特別編』をお読みくだされば、分かるかと思います。登場人物一覧にも、記載されています。

(未香子・朔斗のいとこですが、名前は…ありません。)

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