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君の騎士 ~君を守るために~  作者: 無乃海
第一幕 名栄森学苑1年生編【4部 冬の巻 編】
128/199

111話 魅惑する少年

 前回の引き続き、クリスマス会当日となります。今回、他の女子と合流します。


いつも通り、未香子視点です。副タイトルは、誰のことでしょう?

 今日は生まれて初めて、女子友だけでのクリスマス会である。イケメン少年に変身した夕月(ゆづ)が迎えに来てくれて、私はときめく。先程から、夕月(ゆづ)がかっこいいセリフを言ってくれたものですから、私は今にも倒れそうなぐらいに、クラクラしておりましたわ…。滅多に見られないウインクも、この姿でされましたならば…。

そうも…なりますわ。


夕月(ゆづ)は、男性が何かのイベント的なパーティに出席するような、ブランド物の紺のジャケットと、淡い水色のパンツを着こなしていた。柄の入ったエンジ色のネクタイも、しっかりと結んでいる。…はああ~。もう似合い過ぎていて、私は…眼福なのですわぁ。どこからどう見ても、()()()()()()()()()()()少年ですもの!


対して私は、清楚な雰囲気の白と薄いクリーム色の、ツートーンカラーのワンピースを着用している。可憐な可愛さを演出したら、こうなりましたの。別に、夕月(ゆづ)が男装して迎えに来るとは、思っていた訳ではなく。いつものようにパンツルックだろうなあ…ぐらいには、思っておりましたけれども。そういう理由で、童顔の夕月(ゆづ)に似合う服装を、どうしても着たかったのですわ。結果的には、それが功を期したようでして。これでしたら、イケメン少年になられた夕月(ゆづ)と並びましても、それほどは見劣りしませんわよね…。


 「未香子も…そのワンピース姿が、よく似合っているよね?…やっぱり、僕が完璧に男装して、正解だったみたいだね。いつもの洋服では多分、釣り合いが取れていなかっただろうなあ…。エスコートも、不格好だったかもしれない。」

 「そ、そのようなことは…ありませんわ。夕月(ゆづ)は、いつも素敵ですもの!…ただ今日は…そ…その、い…いつもより何倍も、す…素敵ですわ…。まるで…王子様みたいですもの……。」

 「ふふっ。褒めてくれてありがとう。今日の未香子は、何時(いつ)にも増して…とても愛らしいね。まるで、この世に舞い降りた…花の妖精みたいだよ。」

 「……は、花の妖精?!……あ…りがとうございます…。」


お花の妖精なんて例えられて、私は舞い上がってしまいました。それに……。

今の私の姿でしたら、きっとお似合いのカップルにも、見えるのではないでしょうか?……うふ。ふふふふっ。にやにや笑いが…止まりませんわ。嬉し過ぎて…。


 「さて、そろそろ出かけようか?…僕のお姫様。」


そうお道化たように言っては、夕月(ゆづ)は私に手を差し伸べてくる。男装した時はいつも、エスコートしてくださるのですが、今日のエスコートは、理想の王子様が迎えに来てくれたような、雰囲気ですわね…。夕月(ゆづ)は全ての所作が綺麗だから、こういう仕草もとても、(さま)になっておられますわね…。セリフも一々、王子様が仰るような赤面するセリフを、ポンポンと吐いてくださいますし…。これが他の男性でしたならば、歯の浮くようなセリフだと、逆に白けてしまったでしょうね…。これは…夕月(ゆづ)だからこそ、こういう歯の浮くセリフも、似合うのですわね。…ふふふふっ。


今日は、真姫さんの手が離せないそうでして、幹人さんが送迎してくれることに。幹人さんは私達の姿が見えた途端、車のドアをスッと開けて待っていてくれる。

夕月(ゆづ)のエスコートで後部座席に乗り込み、私の後から夕月(ゆづ)も乗り込む。幹人さんは、それを確認してからドアを閉め、運転席に乗り込んで車は走り出した。


 「今日の夕月(ゆづき)お嬢様は、男性にしか見えませんよね?…夕月お嬢様が…女性だと知っている私でも、今日は別人だと勘違いしそうでしたよ…。」

 「そう?…ありがとう、幹人お兄さん。()()()()()()()()()かな。今のは、僕にとっての最高の誉め言葉だよ。」

 「…しかし、そういう姿をされていると、葉月坊ちゃんと瓜二つですね?最近、葉月坊ちゃんにお会いしていなかったら、本当に夕月お嬢様だとは、気が付きませんでした。…危なかったです。」

 「…ふふっ。最近は、葉月とそっくりだと言われることが、少ないんだよ。」


車が走り出して暫くしてから、幹人さんが夕月(ゆづ)の男装について、話しを振って来られました。幹人さんは、私のことは勿論お嬢様と呼んでいるけれど、夕月(ゆづ)のこともお嬢様と呼び、葉月のことは坊ちゃんと呼ぶ。2人が四条家とは関係ないと話しても、幹人さんは呼び方を変えなかった。自分にとっては、そういう存在だと断言して。それに対し、夕月(ゆづ)と葉月は、幹人お兄さんと気軽に呼んでいて。…う~ん。


幹人さんが言うように、私から見ても、今日の夕月(ゆづ)は…葉月そっくりなのですわ。背丈や体つきは…そっくりとは言えなくとも、その他は見た目だけならそっくりなのですよ。夕月(ゆづ)の男装時の時に話す、低めの声も良く似ていますのよ。葉月の存在をあまり知らない人でしたなら、十分に誤魔化せそうなぐらいには。それでも…。最近、葉月と話せるようになり、色々と()()()()()()()、気が付いてしまった所為なのか、遠目では騙されても、近場では…2人を間違えることは、ないでしょう。


そう考えている間に、幹人さんが運転する車が停車した。今日の会場となるお店に着いたようね。さあ、クリスマスという名の女子会会場に、乗り込みましょうか?






     ****************************






 私達がお店の中に入れば、店員も近くに居たお客達も、振り帰る。此方を見た人達は、店員もお客も女性の方が多い為、イケメン少年状態の夕月(ゆづ)が入って来たことに、騒めき出した。中には、ボ~となられて見つめて来られる、若い女性もおられまして。肝心の夕月(ゆづ)は、全く気にする素振りもなく、私を手を取り…エスコートしたまま、近くに居た女性店員に近付き、話し掛ける。


 「今日のクリスマス会の予約をされた菅さんは、此方に来られていますか?」

 「……! …は…はい!…『菅 萌々花』様ですね?…ご、ご案内致します!」


若い女性の店員さんは、イケメン少年に話し掛けられ、顔を赤く染めながら、慌てふためいて返答されまして…。…ふう~。先程までの私と、同じ反応ですわね…。夕月(ゆづ)が…かっこ良過ぎて、バイトの店員さんも…噛み噛みでしたわね…。


店員さんが案内してくれた先の個室には、もう既に私達以外の皆が集まっておられました。ドアを開けて中に入った途端、中に居た全員が此方を振り向き。此方を見た途端に、目を見開き…固まってしまいましたわね。皆さん、私をエスコートしている隣の少年に、目が釘付けになっております…。これが世に聞く、目が点になった…という状態なのでしょうか…。誰1人一言も発せず、口をポカンと開けられて固まりましたわね。もしかして、この少年の正体…分かっておられませんの?


気になって隣の人物を見上げれば、満面の笑顔を見せて、皆さんを魅了しておられて…。…うっ。これは……。態と…魅惑されてます?…それとも、単に面白がっておられるだけ?…どちらにしましても、楽しんでおられますのよね……。こういうところは、姿()()()()()()()()()()()夕月(ゆづ)らしい…のですのよ。


イケメン少年を見つめておられた面々の視線が、そのまま流れるように、隣で立っております私の方に移動して。私の様子を見てから、ハッとされたような表情に変わられ、その後は再び…隣の人物に視線が移って。そうして漸く、この場の全員が何かに気付いたように、期待された顔をされ…。


 「……もしかして……き・た・お・か・君?!」

 「うん、当たり。…そんなに僕の顔、違って見えたのかなあ?」


萌々花さんが代表するように、名前を確認するかのように、イケメン少年の正体を確認するように、恐る恐る訊ねて来る。満面の笑顔を更に微笑ませながら、応える夕月(ゆづ)…。実に…楽しそうなお顔で。


 「「「ひゃあっ!男装レベルじゃない!」」」

 「「「ぎゃあっ!カッコいい!」」」


…と唯々(ただただ)…驚いておられる派と、唯々…見とれておられる派の、真っ二つに…分かれましたけれども。


 「今日は、女子だけでお祝いするクリスマス会なのに、何で()()()()()()()()()男装なの?…どう見ても、イケメン男子が1人混じっているようにしか、見えないじゃない…。これで…女子だけって言っても、おかしくない?」

 「…う~ん。そうは言うけど、本当に女子だけだと、何か遭った場合に対処出来ないよね?…1人ぐらいは、男子が居た方がいいでしょ?…かと言って、本当に男子を呼ぶのは、違うとは思ってね。…じゃあ僕が、完璧に男装すればいいかな…と思ってね?…可愛い女子ばかりなんだから、何か遭ってからでは、遅いよ?」

 「………。」


鳴美さんが真っ先に我に返り、夕月(ゆづ)にズバリと苦言をされまして。私にも説明していた内容を、このメンバーにも説明されたのですが…。当然ですが、こういう気障なセリフに慣れていない皆さんは、真っ赤になって。いつもは冷静な鳴美さんさえも、口を金魚のようにパクパクされましたわ。返す言葉が…ない模様です…。


萌々花さんは「や~ん。」と両手を頬に当てて、身体をクネクネさせられ…。

よっちゃんやせっちんは、腰が抜けたようにしゃがみ込まれ、ボ~とされてます。ケイちゃんは「おおっ!」と盛り上がられ、郁さんは「ひえ~!」と大袈裟に驚かれながらも、お顔付きから察するに…テンションマックス、ですわね…。………。十人十色と言うお言葉通り、様々ですわね…。各々のご対応が…違いましてよ…。


……夕月(ゆづ)。女子会メンバーの彼女達まで、魅了されて…どうされるのでしてよ?!それでなくとも、萌々花さん・礼奈・箏音さんにと、ライバルが多めですのに…。これ以上…私の(ライバル)を、()()()()()()くださいませ!……むう~~!(※拗ねてしまい、口を尖らせている状態で。)

 クリスマス会当日 part2です。

夕月の男装が半端ない仕上がりとなっていて…。


前半は、迎えに来た夕月と未香子からの遣り取り、後半は、会場に着いて…という内容ですね。メンバーと合流する前も後も、若い女性達を手玉に取って行く夕月。さてさて、彼女の真意は…何処にあるのでしょう?

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