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君の騎士 ~君を守るために~  作者: 無乃海
第一幕 名栄森学苑1年生編【4部 冬の巻 編】
127/199

110話 クリスマス会という名の女子会

 2学期の終業式の翌日のお話です。暫く続く予定です。

到頭、未香子が楽しみにしていた女子会ならぬクリスマス会当日です。

…しかし、自宅を出る前に、話が終わってしまいました。


暫く、未香子視点に戻りました。

 今日は生まれて初めて、女子友だけでのクリスマス会である。今までは真面に、女子友が出来なかった私は、もう朝から、ドキドキ、ワクワクしていた。

…いいえ。正確に言えば、前日からですわね。昨夜は、楽しみで眠れなかった…ということもなく、ぐっすり眠りましたわね。逆に、日中に緊張し過ぎていて、緊張が(ほぐ)れた途端に、眠くなるようですわ。私は以前から、嫌なことでも楽しいことでも、緊張し過ぎてしまうと、その緊張が()けた途端に、眠気が襲って来るのです。


お陰様で…何日も眠れないことは、滅多にありませんので、寝不足で倒れることだけは…ありませんわね。その代わりに緊張が解ければ、どこででも眠ってしまうのが、難点ではありますのよ。昔はそれで、お兄様にも夕月(ゆづ)にも、ご迷惑をお掛けしましたのよ…。そして、多分…葉月にも。()()()()()()()については、よく…思い出せないのですけれども。幼い時の恐ろしい記憶を消す為に、自分でも…知らぬ間に、フィルターを掛けてしまっているのでしょうね。


最近は、葉月のことを考える度に、何となく心が…と言いますか、胸の内が…と言いますか、モヤモヤしたような憂鬱な気分に…なるのですわ。箏音(ことね)さんの時も同じく、同様にモヤモヤした気分なのです。当初は、夕月(ゆづ)への恋のライバル的な想いからだと、思っていたのですが。どうも…それだけではないような、感じでして。

自分でも、上手く表現が出来なくて。一体、何なのでしょうか?…この気分は…。


…ああ、もう…辛気臭いですわよね…。これ以上…考えるのは、止めましょうか。()()()()()()()()は、考えるだけ…無駄ですもの。そう思いながら、頭の中を切り替えまして、外出の用意を致しましょう。皆さんも、それなりにお洒落はして来られるそうですから、今日は私も、お嬢様らしい服装で行くつもりでいる。

普段はなるべく、着用しないようなブランド物の洋服を着て、髪型もアップしてもらっている。勿論、若者らしいお洒落が得意な真姫さんに。


 「はい、未香子お嬢様。出来上がりましたよ。とてもお可愛らしいです。」

 「ありがとう、真姫さん。こういう凝った髪型は、三千さんでは無理ですもの。真姫さんが得意で良かったわ。…まあっ!今日の髪型は、いつもよりも随分凝っていますのね?」

 「…ふふっ。未香子お嬢様の、初めての女子会ですものね?…私も、気合が入り過ぎちゃったみたいですね。…実はこの髪型なんですが、こうゆう髪型を簡単に仕上げられるという、この道具を使ってみました。自分でも、簡単にセットが出来るという優れモノで、昨今の巷で、流行っているみたいなんですよ。」

 「…えっ?…このような棒みたいな細い物で?…まあ!?…そうなのね?…このような…棒のような物で…。不思議だったわ…。」


私みたいな不器用な人間でも、1人で出来るのかしら?…と、目を輝かせたのだけれども、「…多分、未香子お嬢様は…不器用過ぎて、無理ではないかと…。」と、真姫さんに(とど)めを刺されてしまったわ…。…ううっ。しくしく…。

真姫さんにまで、思いっきり不器用だと思われている、私。私の不器用さは、そこまで酷いのかしらね…。…はあ~。落ち込みましてよ……。


これでも色々と、分かっているつもりでは…ある。私が試しに自分でも…と、やる気になってしまえば、結果的には後で、三千さんや真姫さん及び名菜さんにも、手を煩わせて仕事を増やしてしまうかもしれない。私が()()()()()()()()()()()、こうして三千さん達も、私には…はっきりと言ってくれている、とは理解している。お話の中のお姫様みたいに、私に専属のお手伝いさんが、付いて訳ではないので。我が家の家柄も、日本中の家柄から比べたら、大したことのない程で、上層の中では底辺より上の位置にいる、その程度であろうか…。


お金持ちの中にも、世の中全体では、見えない順位が存在しているのです。名が知れていなくとも、お金持ちは案外と存在しておりますわ。我が家などは、まだまだなのですのよ。






     ****************************






 私の用意を終える頃、夕月(ゆづ)が迎えに来てくれた。それは良いのですが…。大きな問題が…。何と…夕月(ゆづ)は、完璧男装をして迎えに来たのです。あれだけ…私の前以外では、()()()()()()()()()()()男装でしたのに…。どうゆう心境の変化…なのでしょうか?…それに、私だけだと思っていましたから、ショックです……。


 「今日は、未香子をエスコートしようと思って。男装の方が喜んでくれるかと、思ったんだけどなあ。この姿は…お気に召さなかったかな?」

 「そんなことは、ないですわよ!…勿論、私の為に男装してくださったのは、嬉しいのです…。ただ…今日は、他の学苑の皆さんが…おられますもの…。」


そうなのです。勿論、私は嬉しいのですけれど、学苑の女子の皆さんにも、見られてしまいますもの…。萌々花さんと鳴美さんは、以前に見られてしまいましたけれど、それでも…あまり、見せないでほしいのですわ…。


 「あのメンバーには、ほぼ全員に見られていると思う。この前の学苑祭でも、この男装姿は披露したからね。」

 「そう言えば、この前の学苑祭では、どうして…完璧男装をされたのですの?」

 「…ああ。あの時は、ジュースが零れてしまって、その衣装が着られなくなったからだけど。仕方がなかった…からかな?…いつもの男装では、あのキャラの代わりには、ならないと思ってね…。」

 「そのようなことは、ありませんわよ?…いつもの男装でも、夕月は十分にカッコイイですもの。」


…ああ。そう言えば、そうでした…。学苑祭で夕月(ゆづ)が対応した、お客さんとして来た中学生の女子が、夕月(ゆづ)のカッコ良さに緊張したのか、転びそうになってジュースを零してしまったのです。夕月(ゆづ)が、片膝を突いた状態で抱き留めたものの、コップの中身のジュースを、夕月(ゆづ)が頭から被ってしまいまして。それで、着替えに行ったのでしたよね…。


それでも、映像部で披露している男装で、十分でしたのに…。私はそう思っていたので、夕月(ゆづ)が完璧な男装姿で現れた時は、本当に想定外でしたわ。色々な意味で、アタフタしましたのよ。あの時の少年が、夕月(ゆづ)の男装だったと、学苑の女子生徒に知られてしまえば、夕月(ゆづ)を本気で狙う子が、もっと増えるかもしれませんのよ…。クラスメイトには、完全に…バレてしまいましたが…。


箏音さんとのことがあった所為で、そのことをすっかり忘れておりました、私…。クラスメイトの方々から、その後一切、夕月(ゆづ)の完璧男装姿のお話を、振られなかった為に、私も全く念頭にありませんでしたわね…。私の様子がおかしかったと、気付かれているのかもしれませんね…。


知らないのは…郁さんぐらいでしょう。ですが、その郁さんも、学苑祭で完璧男装の夕月(ゆづ)を見られたかもしれません。きっとまた…麻琴のキャラで、盛り上がりそうですわね。郁さんの本音は、どうなのでしょう。


複雑な心境である私に対し、夕月(ゆづ)はと言いますと、私の反応を見て、クスクス笑っていた。…もう。楽しいことが大好きな夕月(ゆづ)なので、きっと盛り上げようとされているのでしょうが、女子の方が恐ろしいのですよ!後悔しても知りませんからね!

完璧男装姿の夕月(ゆづ)の笑顔は、私の怒りも吸い取る程に、私は…弱いのです……。


 「未香子、褒めてくれてありがとう。今日は、男子生徒が誰もいない、クリスマス会だからね。いくら…車での送迎があるにしても、女子全員がお洒落して来るんだよ。女子ばかりしか居ないと、狙われることもあるからね。念のために、私は男装しようかと思ったんだ。特に未香子は、お嬢様と一目で分かるブランド衣装だしね。美人でお嬢様ならば、狙われる確率が倍に増えるよ。1人は、()()()()()()()良いんだよ。」


…相変わらず、私に過保護な態度の夕月(ゆづ)。もしかしたら、例のお店での夕月(ゆづ)が切れた時のことも、関係あったりして…?……私を狙ってもそうでなくとも、私が怖い思いをしても、過保護になるんだろうなあ…。ブランド物と言えば、そういう夕月(ゆづ)も、その衣装は…ブランド物ですね。以前に、その洋服を拝見した覚えが、しっかり…ありますもの。


普段はフワフワした私でも、そういう衣服や宝石の類の目利きは、それなりに持っておりますわ。普段から見慣れている所為もありますが、父方の祖母から…よくそういう目利きを、教えていただいたのですわ。今は、自然に身に付いてしまっていますの。男性の盛装は見分けにくいのですが、夕月(ゆづ)の男装用の盛装なら、普段から私も一緒に見繕っていまして、多少は知っているのです。


今日の衣装は、父方の祖父から頂いたと、以前見せてもらっていたものですもの。

その時の夕月(ゆづ)は、普段はブランド物を身に付けないと、「このブランドの男性用の盛装衣装を、いつ、着用しろって…言うんだろうね?」と、困った顔をされていましたわよね。…ふふふっ。今日は、それを着用したのですね…。ナイス、チョイスですわ。ですが、それは…2人だけならのお話でしてよ…。皆さんがおられる場所では、微妙なのですわ…。超かっこ良い…から見せびらかしたい、そして私以外の人間には、見せたくないというジレンマで…。


 「本当の理由は、この衣装で…未香子を、()()()()()()()()()()()なあ…と、思ったからでもあるんだけど。」

 「……っ!?………。 」


私は…その瞬間まで、うんうんと…悩んでいたのですが…。不覚にも…夕月(ゆづ)が落とした爆弾で、コロッと堕ちてしまいましたのよ…。…むむむっ。その素敵な男装姿で、そのセリフは…。狡いですわよ、夕月(ゆづ)…。片目を瞑って…ウインクされましても、騙されませんことよ!…でも…かっこ良過ぎて、つい…うっとりしています。

 今回は、女子会ならぬクリスマス会当日のお話part1になっています。


真姫さんが使用した『棒』とは、よく売っているアレです。複雑な髪型が、自分で作れるというもので、色んなタイプの物が売っています。髪が長い女性なら、1つぐらいは持っていそうですね。


迎えに来た夕月が、ある意味また暴走しています。未香子のことが、心配で仕方がないようで…。女子会で男子がいたら、意味不明ですよね…。女子しかいない中に1人だけ男子が居たら、別の意味で…問題になりそう。しかし、中身は間違いなく女子なので、許されていることを理解していて、やってるっぽい夕月…。

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