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君の騎士 ~君を守るために~  作者: 無乃海
第一幕 名栄森学苑1年生編【3部 秋の巻 編】
116/199

番外 学苑祭の裏話

 学苑祭の裏話を書いた番外編です。


夕月&未香子は登場しているだけで、セリフは出て来ません。

前半・後半で誰視点かが異なります。

後半からの『夕月』は、仮名振りなしですが、全て『ゆづき』とお読みください。


今回は、他にも意外な裏話が、幾つか隠されていますよ。

 これは今年、名栄森学苑での学苑祭の裏話である。


僕は()()()()()と一緒に、名栄森学苑で開催されている学苑祭に、来賓として来ていた。但し、表立っての行動はしたくなかったので、サングラスや帽子でちょっとだけ変装をしている。僕にはこの顔以外に、特に気を付ける事項はないが、この学苑では()()()()()()()と顔がそっくりであり、異様に目立ってしまうのだ。

反対に、僕の隣に居る()()()()()は、ここの生徒達には、存在すらも知られていないだろう。しかし、彼には…目立つ髪の色と日本人離れした顔という、一目でハーフだと理解できる非常に目立った容姿をしており、彼も同様にサングラスと帽子で顔と髪を隠していた。2人で居ると余計に怪しく見えるのもあり、コソコソと隠れるよりも堂々としていた方が良いと、ある意味開き直っていた僕らである。


 「葉月(はづき)。ほら、あそこに…未香(みか)夕月(ゆづ)が居たよ?…ああ。そう言えば、学苑祭では2人共コスプレをしているんだったよねえ。未香は、コスプレをしていても十分に可愛いよね。夕月(ゆづ)は…ああゆうタイプが、お好みなのかな?」

 「…朔兄(さきにい)。いくら堂々とした方が良いと言っても、これ以上は目立たないでほしいよ。僕達は本来ならば、今日ここには来ないことに、なっているんだからね。…ふうん。夕月(ゆづ)だけでなく、未香子(みかこ)もコスプレをしているんだね?」


僕とは別の意味で目立つ朔兄は、あっという間に2人を見つけていたりと、相変わらずこういう事には、抜け目がないよな…。それにしても…う~ん。あれは、何かのキャラのコスプレをしているのだろうか?…僕も朔兄も、コスプレや何かのキャラには、詳しくはないし興味もないけれど。よく分かっていないのは、多分…コスプレしている2人も同様だろうな。


まあ、確かに…朔兄が言う通り、2人はとても似合っていたよね。髪の色とか服装には、理解出来ない部分もあるけれども、あれは…鬘なんだよね?…夕月(ゆづ)のコスプレに関しては、(ただ)の男装の類なような気もしないのだが…。僕には…同じに見えるんだよね。普段の完璧男装とかと、どう違っているのだろうか?


 「あっ…。未香が、こっちをジッと見ているようだ。…隠れよう。」

 「ええっ?…今更?…だからさあ、さっき隠れていれば良かったんだよ…。」


朔兄が未香子に見つかったと話すので、一応は隠れることにした。多分、未香子に見つかったということは、夕月(ゆづ)にはもう見つかっているよね…。…()()()()()()よね…。どちらにしても、全てが筒抜けなんだから…。


朔兄は先程から、何かブツブツ独り言を言っている。夕月(ゆづ)の好みが…と言っていたけど、あれは(ただ)のキャラのコスプレだからね。夕月(ゆづ)の好みのキャラとかじゃないからね。大体、夕月(ゆづ)の好みとは、かけ離れていると思うよ。あの服装もキャラの衣装だと思うし、好み以前の問題なんだよ。…ちょっと、朔兄!…ちゃんと聞いてる?


 「ああ、そうか!…夕月(ゆづ)のあの服装は、未香の好みなのか!…なるほど。そうなのか。それならば、ああゆう服装は…葉月に任せよう。今度、僕が揃えてあげるよ。いや~、楽しみだなあ。」

 「… っ!……。ちょ…ちょっと、朔兄!…僕の話、聞いてなかったでしょ!…あれは、(ただ)のキャラ衣装だって、さっきから言ってるでしょ!…夕月(ゆづ)の好みでも、()してや未香子の好みでも、ぜ・っ・た・い・ないからね!…僕にだけ、着せようとしないでよ。僕は決して、何があっても着ないからね!」






     ****************************






 高等部の学苑祭の招待状を受け取り、生まれて初めて学苑祭を見に来た人物がいる。それは、四条(しじょう)のお祖母(ばあ)様こと『四条 ゆきゑ』である。孫の夕月(ゆづき)が、コスプレで男装をすると本人から聞かされて、興味本位でやって来たのだ。実は、普段から夕月が男装をしているのは、それとなく知っている。実際に直接見たことがないのだが、自分のお屋敷で働いている者達に、そっと撮影させては写真で見たりしているのであった。


この四条のお祖母様だが、実は、()()()()()()()()でもある。頑固で厳し気な雰囲気を、常に纏っている人なのではあるのだが、本来の気質は其れとは真逆の、愉快でお茶目な可愛い人なのである。どちらかと言えば、夕月と似た性質であった。


自分の子供を厳しく育てたのも、四条の跡継ぎにする為ばかりではなく、他にもきちんとした理由があるのだ。孫に厳しくしているように見せているが、それは上辺だけである。双子に習い事を自ら教える際にも、厳しく仕込んではいたが、時々は2人に対してお茶目な部分を見せていたので、すっかり本性はバレている。

だから今日も堂々と、学苑祭に足を運ぶことにしたのである。


コスプレ男装した夕月に給仕をしてもらい、ゆきゑは大満足である。顔は厳めしいままなので、他の給仕担当の生徒やお客達は、関わらないようにしていた。

「あのお祖母ちゃん、ふざけ過ぎだとか、怒らないかな?」という風に、今にも怒り出すんじゃないかと、周りからは敬遠されていたのだが。本人は、そういう風に見られるのには慣れていた。というか、本人は自らそう思われるように、仕向けていた面もある。四条家の主となった以上、そういう威厳も必要だったのだろう。


四条の祖母の本心では、「孫の勇姿を見ながら、孫が入れてくれたお茶を飲んで、楽しいわねえ。」であった。外見は、厳めしい仏頂面で、内心ではにこにこ笑顔であったのだ。そのことに気が付いているのは、孫の夕月だけである。祖母が孫を見つめると、孫の目に…()()()()()()()が含まれているのを、ゆきゑは見抜いていたのだ。誰にでも優しく穏やかな顔で、冷静に接待している孫なのだが、今の自分を見る目には、少しでもツボに入れば、大爆笑しそうだというのが丸分かりである。


ゆきゑは気が付かない振りをして、さり気なく目を逸らし、同じく自分も笑いそうになるのを耐えていた。自分も孫に釣られて、爆笑しそうになるのを我慢する。

実は、ゆきゑは笑い上戸でもあり、よく笑いが止まらなくなるのである。


その後は、一緒に来ていた北城家(きたしろけ)主人と合流し、学苑祭を見て回った。北城家主人とは娘夫婦の夫のことではなく、その夫の父親『北城 惣元(きたしろ そうげん)』のことである。

要するに、夕月達の父方の祖父のことである。惣元とゆきゑとは、彼女の娘が北城家の息子と結婚する前からの、元々の知り合いであった。こうして時々行き来しては、色々と孫の情報を交換しているのだ。惣元も、孫の夕月が普段から男装しているのを、よく知っている。この祖父も孫達の態度には、完全に面白がっている節があったりする。


 「よお。来てやったぞ。お前のクラス、面白いことをしているんだそうだな?」

 「…大叔父(おおおじ)さん。何しに来たんですか…?…もしかして、冷やかしにでもいらしたのですか?…然も…四条のお祖母様も、ご一緒なんですね…。」

 「お前に会いに来たんじゃないぞ。勿論、孫の活躍を見に来たんだ。ゆきゑお嬢様が行きたいと仰られるから、お連れしたんだよ。」

 「…そうですか。それならば、私に声を掛けたりせずに、学苑祭を楽しんで行ってくださいよ…。」

 「いや、丁度お前を見かけたから、声を掛けたんだよ。」

 「………。⦅だから、見掛けただけで、声を掛けないでくれ!⦆」


…という一幕もあったりしたそうな…。勿論、会話しているのは、惣元と本田先生こと愛彦(よしひこ)の2人である。その話を傍で聞いていたゆきゑは、愛彦が去って行くと、惣元に不満そうな口振りで話し掛けた。


 「惣元さん、わたくしはもう、お嬢様という年ではありませんよ。」

 「何を言われるのです?…貴方は、私にとっては一生涯、お嬢様なのですよ。」

 「そうかも知れませんが…。もう、あなたのお家は、()うの昔に四条家の使用人ではないのですよ。もう、既にそれなりのお家柄にも、おなりでしょうに。」

 「それもこれも皆、随分と四条家の皆さま、特にお嬢様が、私達一族に良くしてくださったから、今の私達があるのです。」


そう言っては、惣元は四条家を持ち上げるので、ゆきゑはそおっと溜息を吐いた。

確かに、北城家のバックアップをしたかもしれないが、ここまで北城家が多方面で活躍しているのは、自分達の力であるだろうに。ゆきゑはそう考えているのだ。

切っ掛けは、四条家が作ったものかもしれない。しかし、その後は彼らの実力なのである。四条家のただの執事とかで終わらせず、良かったのだと思っている。


そして、愛彦は、北城家の人間であるゆえ、ゆきゑのことは、なるべく敬遠したいお婆さん、と言ったところであろう。ゆきゑ自身も、彼が惣元から見ても又甥(またおい)の立場なので、「わたくしには、あまり関係のない人ですわね。」と思っている。

敢えて本人に伝えるならば、「このわたくしの孫の担任に選ばれるとは、本にご愁傷様でしたわね。」と言って、労ってあげることぐらいであろうか…。


実は、愛彦が夕月のクラス担任になった理由は、ゆきゑが手を回したのではなく、惣元が言った一言が原因であったのだ。「高等部には、ワシの又甥が教師として働いているのだから、()()()()()()()()()()()()彼奴(あやつ)に任せればいいだろう。」と言って…。ついつい、理事長に話してしまったのが、事の始まりである。本当に、惣元お祖父ちゃんは…余計なことを言っていますよね?


巻き込まれた一教師である本田先生は、災難としか言えないことだろう。

ゆきゑはそのことを知っており、「惣元さんも()()()()ですこと……。」とそっと1人呟いていたのは、孫でさえ知らない事情であった。

 学苑祭の裏話でもある番外編でして、前半・後半共に、学苑祭2日目のお話となります。98話の裏話となります。


前半が、葉月視点で、後半が、誰視点でもない第三者視点となっています。


葉月は兎も角、朔兄こと朔斗が…。態とふざけて惚けているのか、将又、本気で言っている天然ボケなのか、イマイチ分からないキャラですが。腹黒いタイプとは言っていますが、さてどうなんでしょうね?


今回、夕月達の祖父母が、名前入りで初登場しました。意外とお茶目なお2人なんですよね。四条家も北城家も、それぞれ旦那さんと奥さんが亡くなっているので、今回一緒に登場させました。ある意味、仲の良いお2人ですが、この2人がカップルになることはありません。(念のため。)

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