38 やるだけやろう
「なるほど、生徒会のお仕事ですか」
「うん。だから、しばらく、放課後は仕事してると思う」
「そうですか」
昼食を突きながら、天と海智留は昨日の会議について話していた。
真波は、今日は別の友人と食べるらしい。なので、今は二人きりだ。
「天さんが自分で決めたことなら、私は何も言うことがありません。頑張ってください」
「ありがとう、海智留さん」
今年一年の議事録をまとめるのは、真波一人では荷が重い。そう説明した。
「私もお手伝いを、と言いたいところですが、部外者が関わるわけにはいきませんね。応援だけさせてください」
そう言うと、海智留は天の弁当箱に、エビフライを乗せてくれた。
それをありがたくいただきつつ、天は言葉をこぼす。
「仕事をしよう、何て思ったのは、海智留さんのおかげだから。充分応援してもらってるよ」
「私の、ですか?」
「うん。ほら、この前、本を届けた時さ、海智留さんが俺に色々言ってくれたでしょ? だから」
そうですか、と海智留は返してくる。
「まあ、俺がどこまで役に立つか分からないけどね。やるだけ、やってみるよ」
苦笑しながら、ハムカツをかじる。この言葉をどう捉えたか、海智留は顔を明るくした。
「いいと思います」
「うん」
言葉は短くとも、天には充分な答えだった。
天は帰宅部。放課後の時間は余っている。議事録のまとめ、とはいっても量が多いだけで作業としては難しくない。
「ただ、浜田さんと二人きりというのが、ちょっと気になります」
「え?」
「テスト明けに、また映画を観に行く約束、忘れないでくださいね」
「それはもちろん」
念を押されるが、天は約束を忘れていない。テスト明けとなると、再来週くらいだろう。
映画の公開期限には余裕で間に合う。海智留は、楽しみにしているようだ。
もっとも、目的は映画だけではなさそうだが。それを天も嬉しいと思う。
「今度は、どこを見て回ろうか」
「服など、見てみますか?」
「いいけど、俺、センスないよ?」
「大丈夫です。私が選びますから」
「そう? じゃあ、お願いしようかな」
昼休みの残り時間は、どこを巡るかという他愛ない会話で過ぎていった。




