19 弁当攻防戦
朝の件は、すぐに学校中に広まった。
無能会長に謝罪した副会長と、その副会長を騙そうとした書記。
三橋は、朝の件の後、すぐに早退したらしい。そのため、三橋の在籍するクラスでは話が盛り上がったそうな。
どういう話になったのかは、天は聞かなかった。聞いても楽しくないだろう。
それに、
「どうぞ、食べてください、星野さん」
「ああっ、くそっ、そんなの持ってくるなんて卑怯だぞ!」
「卑怯なことはありません。お弁当を用意するくらい、当然でしょう」
「くあーっ! なんで今日に限ってアタシはパン食なんだよ!」
目の前で繰り広げられる戦いを見ていては、他クラス話など聞いていられない。
天のスマホに、お昼ご飯を一緒に食べましょう、という意味の通知が二件同時に届いた。それと同じくして、二人は天のクラスに乗り込んできた。
ちなみに、天は母お手製の弁当を持ってきている。二段重ねの弁当箱は、天の腹を満たすには充分な量が入っている。
しかし、海智留は構わなかった。作って来たという三段重ねの弁当を惜しみなく広げ、どれがいいかと天に聞いてくる。
対して真波はコンビニで買ったパンが今日の昼食らしい。海智留の弁当を見ては、奇声を上げて悶えていた。
「浜田さんは、料理できるんですか?」
「そ、そりゃ、アタシだって、米を炊くくらいは……」
「そうですか。電子レンジを使える私の方が、まだマシですね」
「って、これレンチンかよ!」
ものが冷凍食品かはどうかはともかく。
天は、弁当を素早く腹に納めて、いつものように図書室に行くつもりだった。読みたい本があるわけでもないが、あそこは落ち着く。
少なくとも、今の賑やかな状況よりは。
「ってことは、アタシも気にしなくていいってことだな。センパイ、どうっすか、このパン、おススメなんですけど」
「菓子パンでは栄養に問題があります」
「レンチンが言うな!」
「栄養配分は考えました。袋の裏を見て」
ははは、と笑いながら持参の弁当を食べる。食べ慣れた味が、少し心を落ち着けてくれる。
二人は、今朝の件で目立ったというのに気にしていないようだ。手近にあった椅子と机をくっつけて、熱い昼食バトルを展開している。
「とりあえず、二人共食べないと昼休み終わるよ?」
二人が落ち着くまでに、昼休みの半分が過ぎてしまった。
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