15 ちょっと待って
天君はスマホを使いこなせていません。
家に帰ると、早速とばかりにスマホが鳴った。
相手は海智留。
『無事に帰れましたか?』
問題ないよ、と返事をしようとしたところで、またスマホが震えた。
今度は真波だ。
『センパイ、お疲れ様でした!』
何にお疲れかは分からないが、確かに疲れた。そちらにも返信しようとしたところ、
『返事がありませんね……。もしかして、また誰かを助けてはいないでしょうか?』
そんなに毎日人助けなどできるはずもない。違うよ、と返信しようとすると、
『あれっ、ちゃんと届いてますか?』
と真波。
『既読は付いてますね。となると、まさか連絡できない状況に!?』
海智留。
『見てはくれてるみたいですけど……。何かありました?』
真波。
『今すぐお家に伺います。そのまま待機していてください』
どこにだろう。
『まさか、アイツがセンパイに何かしてるんじゃ!』
Lineで勘違いされている。
『今、タクシーに乗りました。もしまだ連絡できる状態でしたら、私に愛の言葉をお願いします』
待って。
『センパイんち、確か学校から歩いてすぐでしたよね! 今から行きます!』
だから、待って。
怒涛の通知ラッシュに、天は、できる限り素早く、端的に、返信を打ちまくった。
誤解が解けるまで、人生で一番真剣に、長く、スマホと向き合った。
結局、
『浜田さんに監禁されているのかと思いました』
『アイツに捕まっているのかと思いましたよー』
という文字を引き出すまでに、何時間かかっただろう。
目と指を限界まで酷使した天は、食事も風呂もそこそこに、ベッドに倒れ込んだ。
そして眠りにつくまでの数分で。
『おやすみなさい……』
とだけ打って、スマホの電源を落とした。
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