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遁走

「うわぁああああああああああ!?」

恥も外聞もなく、一目散に森を駆ける。

地面に積もった雪が、今はとても煩わしい。


「ファキィイイイ!待ってくれよぉお」


「いやだぁあ、置いていかないでくれぇ。死にたくないよぉ!!」


後ろからついてくるように走るシトとボーシェの声が鳴り響く。

なんでだ?どうしてこうなったんだ?

彼らを引き連れて逃げ惑うファキは、少し前のことを思い出していた。


「お前ら、今日は森で遊ぼうぜ」


ファキは遊ぶ約束をしていたシトとボーシェに合流すると開口一番そう切り出した。


「森ぃ?なんでそんなに遠出するんすか?」


「外も寒いですし、家の中で遊んだほうがよくないすか?」


二人はあまり乗り気ではないように受け答えをする。


「それがよ、出たらしいんだわ森に」


そんな二人に内緒ごとを告げるように声をひそめる。


「出た?出たって何が?」


「もしかしてあれ?見えたらダメなやつ?」


「ああ、なんでも森に採取に出掛けたやつが帰り道に見たらしいぜ。

黒い不吉な髪をした女の幽霊が恨めしそうにこっちを見ていたってやつ」


「うひょー、マジかよ!?」


この二人は大の怪談好きで、いつもこういう話を見聞きすると

自分で調べに行ってしまう。

もちろんこれまでのすべては空振りだし、今回も空振りに終わるだろうが

そんなことはファキには関係のない話である。


「というわけで今日は七不思議探検だ。行こうぜ」


「「おおぉおお」」


うまくいった。

怪談に花を咲かせる二人を見ながらファキはほくそ笑む。

氷の泉を渡って森までやってきた。

父の話では森に何か起こっているらしいが

何が起きてもファキには何とかする自信があった。

紋章の力があれば獣の一匹や二匹は怖くない。


「なあ?幽霊って森のどこらへんで出たって言ってたんだ?」


「もうちょっと奥の方って聞いたな」


「森の奥まではいかねえように気をつけねえとな。


「ま、何かあったらオレ様がなんとかしてやるからよ」


「いよっ、さすがファキ様」


「そこに痺れる憧れるぅうう!」


そんな下らないことを話しながら歩いていたせいか。

声につられて一匹の犬狼がやってきた。


「へん、軽い準備運動には持って来いだっての」


紋章を起動させて力を集める。

拳大の雪弾を作ると、歩いてきた犬狼に向けて撃った。


「よっしゃ!命中」


きゃんと鳴き声を上げて去っていく犬狼を見て溜飲を下げた。

この調子で、森の異変もオレ様が調べてやる。

そう内心で息巻いた時だった。


「なんかおかしくないっすか?」


「やたら鼻息が大きいような」


二人が首を傾げる原因はすぐに表れた。

さきほどやっつけた、犬狼が仲間を連れて戻ってくる。


「まずい、逃げるぞ」


一匹だけならなんとかなる。しかしそれが二匹、三匹、五匹となると

話は別だ。ファキ達は目の前の脅威に負けて逃げ始めた。


「「「うわぁああああああああああ!?」」」


こうして、3人は狩る側から狩られる側になって走り始める。

一秒でも早くここから逃げ去るために

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