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第10話【沈黙の揺りかご】−沈黙の神の詩−


 お母さんの(うた)です。


 嘆き、とも(?)。



 さあ お行き 私の可愛い子供たち

 15年という沈黙の時を経て

 行きなさい 光のある所へと 私は何も望まない


 クリス クリス・マークスよ

 お前は かおりという少女に恋をしたのか

 馬鹿な子 外を見るからだ

 中だけを見ていれば よかったものを


 さあどうするクリス お前に辛抱が できるのか

 お前は まだ子供だ できるのか するのか どうなんだ

 ほら見てご覧 かおりが悲しそうな顔をしているよ

 どうやら顔は笑っているらしいが心の中はズタズタだ

 大好きな親友は大嫌いな友達へと変わってしまったようだね 一瞬のうちに

 どうする? クリス、お前はどうする? 飛び出すか?


 ……飛び出すんだな 愚かな子よ


 そして お前は罪1つ 罰3年

 なのに お前の顔は晴れ晴れと

 小憎らしい子だ クリス 我が子供


 性懲りも無く お前は今日も外を見る

 やめろと言うのに聞かない子だ

 ほら また かおりが困っている 迷っているよ どうするね

 やはり行くのだな お前は恐れを知らず

 知らないぞ どうなっても


 罪1つ 罰3年


 お前の仲間たちは皆 お前など置いて去ってゆく

 15になったと喜びながら

 なのに お前は出られない まだここで時を過ごすのだ


 かおりは大人になった

 お前も体は大人になった しかしまだ私の子供

 時だけが流れていく

 沈黙だけが お前の相手だ


 寂しいか だから言ったのに 知らないぞ、と


 かおりが泣いている 傷ついて泣いている

 お前は迷っている 飛び出そうか迷って歩みを止めている

 行くなクリス・マークス 行けば私は またお前に

 お仕置きを しなければならない


 行くな 行くな 行くなと 私は叫ぶ

 悔しいものだ ここは沈黙世界

 私の声など 届きはしない


 おかえりクリス さあ罰だ

 まだ子供のお前に残酷のむち


 罪1つ 罰3年


 お前を救うすべは無いのか

 無いのだ

 時を待つしか それが掟


 沈黙の掟


 クリスよ 例えお前が2つに分かれたとしても

 やがては返ってくる そして1つに

 その時お前は大人になるだろう

 私の元から離れるだろう


 さあ行きなさい 罰を乗り越えた2人なら

 現実という障壁も 恐らくは


 乗り越える事ができるだろう……




《END》



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