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家出少年  作者: 名倉透弥
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最終話

 〜最終話〜


 そして翌日……本当に夕紀は俺の所に来てくれた。

「透弥さん、朝だよ……起きなよぉ〜」

「夕紀……? あぁ、もう少し寝かせてくれ……」

「ふぅん……夕紀とデートしたくないんだ?」

「はぁ?」

「恋人と恋人が一緒に出かけたらデートなんだよぉ〜あれ、これって誰に聞いたんだっけ?」

 これは俺が夕紀に初デートって言った時に教えた事だ。夕紀の記憶が序所にだが戻っている。

「夕紀……一緒に行こう……」

「な、何で抱きつくかなぁ……? 透弥さんって甘えんぼさんだねぇ〜ほら、車椅子も借りて来たから屋上に行こうよ。きっと風がピューって吹いて気持ち良いよぉ〜」

「悪いな……俺の事を知らないのに急に抱きついたりして……」

「良いよ……透弥さんの事はまだ判らないけど……その、嫌じゃ……無かったから……今、抱きつかれて……もっと透弥さんの事を思い出したくなったよ」

「そっか……急ぐ事は無いさ。まだまだ時間はあるんだから……高校生くらいまでに戻ってくれたら良いかなぁ?」

「ダメだよ……そんな時間かけたら透弥さんを他の女の子に取られちゃう……もしそんな事になったら記憶取り戻す意味がなくなっちゃうよ……」

「安心しろ……俺は昔も今もお前だけだ……」

 俺がそう言うと、夕紀はポロポロと泣き出してしまった。俺は何も傷つけるような事は言って無いと思うのだが……

「どうして……どうして記憶を無くしちゃったのに……記憶を無くしちゃった子なんて放っておけば良いのに……他の女の子なんていっぱいいるのに……どうして夕紀をそんなに待っててくれるの?」

「お前、俺が他の女の子と付き合って欲しい訳?」

「違う……そんなの死ぬ程嫌だ……透弥さんと他の女の子が付き合うなんて……その女の子絶対に許さない……」

「じゃあさ……俺が待つって言ってるんだからそれで良いじゃん?」

「その理由が聞きたいの……夕紀なんて何も良い所が無いのに……」

「お前はやっぱり夕紀だな……記憶をなくす前もそんな事を言ってたな……ったく、記憶無くしても無くさなくても余計な事を考えやがって……何も良い所が無い? 確かに何も良い所は無いかも知れないな……でも、俺はそんなお前が好きになったんだから仕方が無いだろぅ?」

「優しすぎるよ……そんなんじゃ絶対に損するよ?」

「お前の為に損をするならば全然問題無しだ……この傷もお前をかばってついた物だからな……名誉の負傷って奴だ」

「この傷が……夕紀の所為?」

「お前の所為とは言ってない。夕紀を守ってついたんだ。俺は全然気にしない」

「バカだよ……普通はこんな怪我させられたら嫌いになっちゃうよ……その人の事を恨むよ……」

「俺がバカって事くらいは自覚している……それでも好きでいたんだから仕方無いじゃないか……」

「本当にバカだね……」

「バカはお互い様だ……」

「そっかな?」

「そうだ……」

「でも、透弥さんって罪深い男だよ……」

「どうしてだ?」

「そんなに優しくするから……記憶の無い夕紀でも透弥さんの事が……好き」

「そっか、記憶戻ったらもっと好きになるかな」

「これ以上好きになったら大変だよ?」

「じゃあ記憶戻すのやめる? 俺としてはお前が俺の事を認識してくれて、ちゃんと好きって気持ちがあれば良いんだが……思い出なんて物は何度でも作りなおせるしな」

「嫌だよ……ちゃんと過去は清算しなきゃ……」

「そう言うと思った……」

「意地悪……」

「記憶失う前の夕紀にもそう言われたよ。さて、早く屋上に行くか……」

「そうだね」

 俺は夕紀に車椅子を押されて屋上まで行った。さすがに車椅子では法定速度に引っかかる事は無かった。

「うわぁ〜風が気持ち良いねぇ〜」

「そうだなぁ……最近外には出なかったからなぁ……」

「夕紀は看護士さんに褒められたよぉ〜どうして急に外に出る気になったんだって」

「そうか……俺も暗くてふさぎこんでる最初の夕紀よりは今の夕紀の方が断然好きだな……」

「本当に好き?」

 ヤバイ……何か相当量のスイッチが入った様だ……夕紀は顔を真っ赤にしてこちらを見つめてくる。

「あぁ……本当に好きだぞ?」

「じゃあ……キスして」

 俺は一度夕紀の顔を眺めてから一度だけため息をついた。

「ダメだ……今のお前とは出来ない。お前は夕紀だけど、記憶を失ってる夕紀だから……そんなお前にはしちゃダメな気がするんだ」

「よく判んない……」

「そうだ……夕紀、少し昔話をしても良いかな……」

「うん」

 俺が少しは記憶に関わればと思っていたのだが……夕紀が頭を抱えて苦しみはじめた。

「頭……痛い」

 このまま続けたら記憶が戻ると思った俺は、さらに話を続けた。話を最後まで続けると、夕紀は眠っていた。

「寝ちゃったのかよ……」

 俺はその日は夕紀を病室に届けるだけにして寝る事にした。夕紀が寝ちゃったら何もする事無いしねぇ〜


 そして翌日……やっぱり夕紀は俺を起こしに来てくれる。

「透弥さん、起きなよぉ〜」

「あぁ……朝か……」

「うわぁ〜すごい血だねぇ〜やっぱりあれだけ車に飛ばされちゃったら血が出るのかなぁ?」

「そうだな……あれだけ……ってお前……記憶が戻ったのか?」

「記憶? ヤダなぁ〜記憶喪失になったみたいじゃん。あ、でも何で入院してたのかなぁ……」

「記憶喪失の時の記憶が無いのか……」

「何か言った?」

「いや……なんでも無い……ただ嬉しいだけだ」

 俺は夕紀を抱きしめて『おめでとう』と言ってから夕紀に口付けをした。夕紀も抵抗する事無く受け入れてくれた……

 夕紀は『エヘヘ』と微笑んでから自分の病室に帰って行った。病室を出る時に『甘えんぼ』って言ってから出て行った。

「あの野郎……あ、野郎じゃ無いか……女の子だもんな……ま、記憶が戻ったなら良しとするか……あとは俺の治療だけだな」

 夕紀の記憶も治って、俺の傷も完治して退院するのもそう時間はかからなかった。今から勉強して夕紀と同じ高校に行ける様に頑張らなきゃな……

「そんなに夕紀と同じ高校に行きたい?」

「まぁな……少しでもお前と一緒にいたいし……」

「意地悪だけど優しい透弥さん……」

「ん、何だ?」

「大好きっ!」

 夕紀が俺に飛びついて来た。人がいっぱいいるのに恥ずかしい限りだが、ま、それも良いんじゃ無いだろうか……


〜THE END〜

 はてさて、これは結構良い感じに完結したのでは無いでしょうか……こうやって作品が完結するのは初心者とは言えども小説家としては嬉しい限りですな。

 まだまだ次回作もあるので書き続けようと思います。

 この夕紀と透弥の高校入学したらの約束を第二部として性的で書くのもアリかなと思ったりもしながらここで一時バイバイさせて頂きます。

 見て頂いた方は本当に感謝しております。ありがとうございます。m(_ _)m

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