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ふつう
おしゃべりのはずんでいる生徒たちとともに校門を出た澪は、目だけで夕真の姿を探した。
が、見る限り、どこにも姿がない。
「(あいつ、まさかマジであのまま帰ったのか)」
小さくため息をついて歩き出した。
すると。
「・・・!」
耳元で風を切る音がした。
考えるよりも先に体が動く。
背後から伸びてきた腕をつかみ、ねじ上げる。
「いてて!ギブ!ギブギブギブ!」
「…やっぱりお前か、夕真」
さっきよりも深いため息をついて振り返ると、ねじられた腕を痛そうに撫でている夕真がいた。
「お前な、手加減しろよ
なんで俺にまで本気出すかなあ」
「仕方ないだろ
急に襲われたら相手がだれなんて気にしてられるか」
「あ、わかんなかったんだ
さっすが俺」
最後の言葉は華麗にスルーして、澪は再び歩き出した。