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蒼真
意識が途絶えつつあった夕真は、小さな気配に顔をあげた。
自分を庇うように立っている青年。
どこか見覚えのある姿。
まさか。
「あに、き………?」
夕真の声に振り返る影。
「よく頑張ったね、夕真」
「あに、き!?なんで!?
っていうか死んだんじゃ………」
「うん、そうだ」
蒼真は再び妖を振り返った。
その目は冷たく暗い。
「あの妖、常闇にね」
「常闇………?」
耳に入った名前を口ずさんでみる。
どこか聞いたことのある名前。
それは。
「常闇、って大妖の常闇!?」
「そうだ。
あいつは天城家に伝わる刀を奪い、壊そうと企んでる」
「なんで?」
「あの刀さえ、天城家さえなければあいつはこの世界を闇に葬ることが出来る」
「!」
「でもそんなことはさせない。
夕真、お前が倒すんだ」
「そんな………無理だ!」
「無理じゃない。
この刀を使え。これしかあいつを倒す手だてはない」
そう言う蒼真が差し出したのは。




