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痛み
「う、あ………っ」
凄まじい痛みに夕真は顔を歪めた。
先ほどまで使っていた札は跡形もなく破れ、もはや闘うすべなどない。
次々と襲ってくる痛みに何度も意識が遠のくが、また新たな痛みで現実に引き戻される。
この妖はなかなか自分を殺そうとしない。
ただ少しずつ痛めつけていく。
楽しんでいるのだ。
たぶん自分はここで死ぬのだろう。
襲い来る痛みに霞む頭で夕真は遠い日の記憶を辿っていた。
あの人ならこんな妖、一発で祓うんだろうな。
今は亡き大切な人。
あの人なら。
「 」
声に出したはずの名前は空気と化した。
が、しかし。
「………!?」
夕真をいたぶっていた妖は、突然現れた影に瞠目した。
「き、貴様は………!」




