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水音
「くそ………っ
どこにいるんだよ、夕真!」
一方、澪と妖達は夕真を探し続けていた。
が、心当たりのある場所をいくら探しても影さえ見当たらない。
「このままじゃ、夕真が………!」
そう呟き、唇を噛み締めた。
そのとき。
「………?」
小さな水音に澪は顔をあげた。
辺りを見渡すが、どこにも水辺などない。
それどころか水溜まりさえもない。
なのに聞こえた水音。
これは………?
「ん?どうしたの、澪」
「今、水音しなかったか?」
「え?本当?
僕は何にも聞こえなかったけど。
あ、夜狩は?」
「私も特には………」
「そっか………」
気のせいか。
そう思った矢先。
「っ、うわ!?」
土と草に覆われていたはずの地面が大きく歪んだ。
まるで、波のように。
「!これか………!」
澪の低いうめきが聞こえたかのように再び地面が歪み、影が這いずり始めた。
「………!」
その影と目が合い、思わず息を飲んだ瞬間。
一瞬にして澪の姿が地面に消えた。
「っ、澪っ!」
再び元の地面に戻り始めた水面に二匹の妖は躊躇なく飛び込んだ。




