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恐怖
「う………っ」
夕真は暗闇の中、目を覚ました。
辺りを見渡すが、何も見えない。
いや、正確には夕真には視えてない。
夕真の周りには取り囲むように数多の妖が群がり、嬉々として夕真を見つめている。
許可が出たならば夕真に一斉に飛びかかるだろう。
そのとき、闇が大きく揺れた。
闇より深い影が夕真に一歩、また一歩と近づく。
だが、妖視のない夕真にそんなことが分かるわけもなく。
せわしなく辺りを見渡している。
「目を覚ましたか、陰陽師」
地を這うような低い声が轟く。
まだ夕真は気づかない。
「………致し方ない。
この俺が直々に教えてやろう」
そう呟くが早いか、影が空を舞った。
ふわり。
そして。
「!?」
夕真は突然全身を走った痛みに固まった。
何も見えない。
だが、ここには何かがいる。
自分以外の何かが。
「………誰だ?
どこにいる?」
「そんなこと知る必要はないだろう。
貴様はすぐに俺の餌となるのだから」
影は小さく笑った。




