進取果敢
私は2人に頼んで表生徒会の方々に連絡をとって貰いました。私は勿論光貴に一通のメールを送ります。
『一週間後に会議室。放課後に来て下さい。』
ええ、怒っていますとも。確かに孝介や太郎君と知り合えたのは喜ばしい事です。たまたま裏会長になったからこそでしょう。とんでもないおっちょこちょいで行き場をなくした私に聖クラウディアという場所を用意していた事も感謝しています。しかし巻き込むやり口に無性に腹が立つのです。
「なんで会議室?ここでいいじゃん?」
「広い方がいいと思って。昨日の会議が終わった後校長に話したら、ある条件と引き換えに貸すって仰ったので承諾してきたの。」
「は?条件?」
「一週間以内に東雲さんか、東雲さんの裏を捜して来いって。確か内部特待Aだと聞いたので、2人のクラスメイトなんじゃないかな?と。」
「はぁぁ?あんの狸め吹っかけてきたな!」
「……遊、裏生徒会には結構権限が有ってだな、空いている部屋は自由に使えるんだ。だから許可なんて要らないんだよ。」
「えええ!でも、約束してきちゃったし…どうしよう。」
まさか校長に騙されたとは。「空井君よく来たね、ちょうど今お茶を飲もうとしていたんだよ」と人の良さそうな笑顔で仰るからすっかり信用してしまいました。お茶は正直言って少し苦かったですが。
「そうだな。言ってしまったら仕方ない。孝介、東雲と連絡つくか?」
「つくわけねぇだろ。あいつ中等部…いや初等部の時から、何で出席日数足りてんのか不思議なレベルでいねーもん。つーか入学式ん時もいなかったよな?」
「ああ。あんだけ目立つ奴が居たら遊も気づく筈だ。」
「どんな方なんですか?」
「良くも悪くも表らしいよなー。ちょっと俺苦手。」
不安です。これから衣装やパレードカーのデザインをしなくてはいけないので、出来れば表の方々はユニークな個性を持っていない方がいいのですが…どうやら皆さん癖がありそうです。孝介の苦手な人間が私に合うとは思えません。
「理解を遥かに超える新人類だな。何語を話しているやらさっぱり分からん。」
「でも周りが霞んで見えなくなる位に美形だぜー?」
「ふむふむ、要は栄養の振り分けが顔に集まっている方なんだね。」
「遊ちゃん厳しい!でも正解!」
「ふん、顔以外良いところがまるで無い。鷹峯様の方が全てにおいて遥かに優っているだろう?遊。」
「お前の相方と遊ちゃん会った事ないだろが!」
「ハイ、鷹峯様スバラシイトオモウヨ!」
我ながら完璧な受け答えでした。咄嗟の機転で、鷹峯君LOVEらしい太郎君を下手に刺激しては危ないと考えたのです。ほら、太郎君が笑顔になりました。
「分かれば良い。」
「遊ちゃんが完全にテンパってるじゃんよ。」
「まあ、遊。頑張って捜せ。多分生きてると思うから。できる事なら裏を連れて帰って来い。」
「太郎やっぱり貴様外道だな!でもね遊ちゃん、東雲連れてくるとこの世が荒れちゃうから、出来れば見つけたら速攻で裏を任命させてくれると俺も嬉しいんだけど…多分東雲は捕まらないから校長に断って来た方がいいかもよ?」
「うーん、頑張って捜してみる。見つからなかったら断ってくるね…。」
「ああ、それが良いだろう。俺らも協力する。」
2人に挨拶をして、小部屋を出てから考えました。
東雲さんは確か夜華という名前。多分女性ではないでしょうか。とてもキラキラした個性的なお名前です。こんな特徴ある女性ならば、私の友人の情報網を使って捜索出来るのではないでしょうか!聖クラウディアにはいませんが、恐るべき友人の一人、真美ちゃんはかなりのレベルです。標的にされたが最後、体の毛の一筋まで調べ上げられます。私に地位が有ったら即座に彼女を秘書にするでしょう。その前に国に引き抜かれそうですが。
家に戻り電話を手にとった、次の瞬間携帯が鳴りだし、驚きながら出るとなんと真美ちゃんでした。怖いほどのタイミングです。もう既に監視対象なのでしょうか。
『もしもし遊?元気?』
『ああ真美ちゃん!うん元気元気。ちょうど今かけようとしてたから驚いたよ。』
『やだー相思相愛って奴ね!そんで本題入るけど、遊のメルアド知りたいって男が来たのよ。あたしも遊に悪い虫つけたくないし教えなかったんだけど、遊も絶対僕のメルアド知りたい筈だって言うのー!気持ち悪いストーカー野郎だと思わない?でも女に困りそうな容姿じゃないし、本人がメルアド置いてったから遊に伝えとこうと思って。』
『うん、分かった。誰?』
『興味薄っす!まーいいわメルアド送っとく。確か吉田さんとか名乗ってたかな?知り合い?何か道教えた仲とか言ってたけど。』
『あ、ああ!あの人か!うん了解。迷子になってた時に道教えて貰ったの。お礼のメール送らなきゃ。』
『ふーん。良かった変態じゃなくて…お礼請求してくるとか別の意味でどうかと思うけど、遊に任せるよ。』
『ありがとね!あ、あと私も聞きたい事あるんだけど。』
『うん?何?』
『東雲夜華さんって知ってる?』
『そうだね、確か聖クラウディアの生徒会役員じゃん?』
『うん!そう!その人ってどこに居るかな?』
『んー、メルアド教えてあげたいんだけど…相手の承諾はある?』
『ううん。連絡が取れなくてもいいんだけど、どこによくいるか分かるかな?』
『それならファンクラブの子が知ってたと思うから、今聞いてみるわ。一旦切って折り返し電話するねー!』
ガチャ
東雲さんは女性なのにやっぱりファンクラブが絡んでくるのですね。何だか気が重いです。
進取果敢
意 味:自ら進んで物事に取り組み、決断力に優れていること。
本当に進取果敢か?そんな事はまあ…いいんです。主人公は地道に頑張っています。スキルは高いのに残念な子です。