明滅
一方、ラノミナ達は茫然と暗い部屋の中で立ち尽くしていた。
ゴフレードが部屋で大暴れしたことだけではない。急に部屋の明かりが消えたのだ。このようなことは完璧に管理されたこの宇宙船の中では珍しいことだった。灯りが完全に消えると視覚は完全に奪われた。
「コリュっ!」
リィリスは思わずコリュにしがみついた。なんといっても本能的な恐怖を感じるのだ。それは全員が同じだった。
ゲンが口を開く。
「まずいわ。もうアカンかもしれへんな」
コリュはその呟きに答えた。
「危ない。この場所を離れよう」
「なんでっ。無暗に動くと危ないよっ。復旧を待とうよっ」
コリュの服を掴むリィリスの手にギュっと力が籠る。ミュエネやナタークも同意見のようで、その意見に賛同の意を示した。
「みんなの気持ちはわかるが時間が無いんや。…せやな。百聞は一見にしかずっちゅうしな」
足もとの何かを拾い、ゲンはゴフレードとの攻防で壊れた壁に向かってそれを投げた。
「なっ! これは一体!」
思わず感嘆の声が上がった。無数の赤い光が一斉に明滅した。それは非人間的な超越した美しさを放っていた。
「せやな。これはこの宇宙船の修復装置と言えばええんかな。壊れたところを直す。でも、単に直すんやない。ほら、ラノミナのところをみてみ。」
ゲンの言葉で、皆ラノミナの方に視線を向けた。薄暗い赤い光に照らされたラノミナの周囲には、不気味な蟲のような形の機械が集まっていた。ラノミナは傷を庇いながら、思わず立ち上がる。
「わかるか。この宇宙船の在り方が。…まあ、今はそれどころやないな。ここをとりあえず離れましょか」
ゲンは不安の気持ちを払うためににっこりと笑った。これから起こることはわかっている。だが、対処はできるのか。
☆★☆
ゲン達は壁を伝いながらゆっくりと進んだ。暗い通路が長く続いている。非常用の食糧もライトもある植物性食糧生産ユニットを目指すことにした。…長い通路はいつまでも続くように感じた。幸い、リィリスが船内の地図を完全に覚えていたため、道に迷うことはなかったが。
「暗いな。いつになったら戻るんだ」
「文句を言わないっ、ナタークっ」
ゲンは気づいていた。後ろから静かに近づいてくる影があることを。立ち止まり呟いた。
「みんな、悪いが先に行ってくれないか」
「えっ、どうして」
「行こう」
コリュは皆の困惑を押し切るように短くそう言った。
「何か隠してる?」
「…」
ミュエネの問いかけにも彼女は答えなかった。無視したまま、ゲンを置いて暗い道を進み始めた。
「ありがとな。コリュ」
ゲンは静かに目を閉じた。これから先は…無いかもしれない。
文章が稚拙だ。シナリオもひどいかも。次回書く時は、冒険譚みたいなのを掻きたい。。それとも技量がついて書きあげることができる日を待つべきか。