黒い蟲
闇。暗闇。
その中で静かにゴフレードは息をした。融け込むように、消えるように。明るさは優しいようで自分の心を責め立てる。苦しみが滲み出して融けていく感じがした。
自分の壊した壁をなぜか触りたくなった。ざらざらとした破壊の跡をなぞる。その感触を確かめるように手を伸ばした。
…ん。
伸ばした手は異物感を感じた。思わず手を引っ込める。
何かが動いている気がする。ゴフレードは壁の崩れた部分にもう一度手を伸ばした。
…
「わっ!! 」
目の前が真っ赤に光った。そこには無数の赤い点が少しづつ動きながら密集していた。赤い光に照らされて、昆虫のような胴体がよく見えた。壁の傷に群がるその姿は、人間との隔たりを感じさせる嫌悪感を呼び起こすものだった。
「修復装置?だろうな」
そうゴフレードは呟くと、床を這っていたその一匹を掴みあげた。赤い目を明滅させながら長い何本もある足をぎしぎしと鳴らした。
異様なデザインだった。正常な人間ならこのような気味の悪いデザインにはしないだろう。こいつを作った奴は、どんな人間だろう。そんなことを考えた。思えば、この宇宙船自体、特異な形をしている。ゴフレードは強く手を握り、握った物を握りつぶした。握りつぶした後も、手の中で動いていた。
ゴフレードは足もとを見た。それほど時間が経っていないのに、不気味な機械で蔽いつくされている。足に触れている一匹は、センサーらしき突起を振動させ、何かを探っているようだった。
「一旦離れよう」
ゴフレードはそう思った。蠢く機械の群れを避けようと、ゴフレードは通路の出口に向かって歩き始めた。
しかし、その歩みは数歩で止まった。
目の前には、一つの影が立っていた。
業務改善を必死になって行って、仕事を2倍効率化しました。1.5人の人員も、3人になりました。でも、仕事の量は4倍になりました。増えた人員の教育も必要です。ちなみに、増えた一人は派遣さん(残業無し)で、もう一人は自分程残業してくれません。⇒さて、僕の仕事は改善前より増えたでしょうか、減ったでしょうか?
⇒ ガ━━Σ(゜Д゜|||)━━ン!!
泣きたい時も時にはあるけれど、怒りが。湧いてくる。