凄惨
ゴフレードが笑う、その不気味な顔を恐怖の目が見つめた。
「ど、どうしちゃったの? ゴフレード?」
ラノミナが問いかけたが、ゴフレードは笑うだけだった。
ゲンは拳に力を入れて、静かに身構えた。
「ああ、その反応が正しいよ。 ゲン」
「なにをするつもりなんや? ちょっと怖いわ~」
ゲンは努めて笑い、おかしくなってしまった空気に抵抗した。
「ふっ。 すぐにわかるさっ!!」
ゲンは衣服の下に隠していたナイフを取り出し、勢いよく横に振りぬいた。
ナイフの刃の煌めきが、鋭く目を刺した。
声が出なかった。あまりに突然の出来事でどう対処すべきかわからなかったのだ。
「そないな危ないもんだして…。今なら、まだ戻れる。なあ、冗談やて言うてや」
「もう戻れない。冗談かどうか、お前の身で確かめろ!」
ゴフレードは驚くべきスピードでゲンとの間合いを詰めた。
「くっ」
ゲンは椅子を盾にして、ナイフを防いだ。
「どこまで持つかな?」
ゴフレードはニヤリと笑った。そして、ナイフで再び切りつけた。
ゲンは防ぎきれずに、後ろに飛び退って、間合いを取った。
「ゴフレードっ! もうやめてっ」
リィリスが叫ぶ。目には涙が溜まっていた。
「お前から殺ってやろうか」
「ひっ!」
「ふふっ。ははは。所詮、人間などこんなものだ。こんなものなんだ。高尚な言葉遊びや神聖なおままごとをどんなに積み重ねても、人間は怯えて小さい、臭い生き物だ」
「何が言いたいの? あなたも人間でしょう?」
ミュエネはしっかりとした言葉でゴフレードに問いかけた。
「いや。似て非なる者だ。…似ていることすら認めたくないね。違うんだ。違う者なんだ。さあ、馬鹿げたおしゃべりは終わりだ。僕はお前たちが嫌いだ。だから死ね」
ゴフレードは、ふとラノミナの方を見た。
ラノミナはあまりの事に、震えて座りこんでいた。
「お前にしよう」
ナイフの切っ先はラノミナに向かって、振り下ろされた。
「ラノミナ!!」
セノアーはラノミナを助けるために頭からナイフの先に向かって飛び込んだ。
「うっ。」
「みんな死ぬのに。馬鹿だなぁ」
セノアーに刺さったナイフを足で蹴飛ばして引き抜くと、それをセノアーに突き立てた。
「おい!!その辺にしとけやっ!!」
ゲンは叫んだ。
「お前も死にたいようだな」
「死にたくはありまへん。でも、ゴフレードも殺したくないのとちゃいまっか?」
「はっ? 何を言っている?」
「殺すなら何も言わずの刺せばええやん。ナイフを使うなら、なぜ振りぬいたんや? 真っ直ぐさせば確実に殺せるやろ? セノアーはなぜ死んでおらん?」
「そ、それは」
ゴフレードは言葉に詰まった。ゲンは頷いた。
「殺したくはないんや。殺したくない心があるんや」
「そんなわけないだろっ! 前に居た宇宙船では全員僕が殺したんだ! ゲン。 お前から殺してやる。」
「ええよ。殺す意思の無い奴に、負けはせん」
ゴフレードは、セノアーから再び引き抜いたナイフを手にゲンとの距離を詰め、
ゲンは椅子を手にし、身構えたまま後ろに少しづつ後ずさった。
一人で3人分の仕事を黙々と、でも必死でこなす僕。
援軍を上司に頼むも増員は無し。
このままじゃ、僕は…
そんな日常に転機がやってくる。
本社からの超偉い人の査察。
その中で、部署全体の業務プロセスが非能率的だと問題になる。
痛烈な業務の改善指示。机を叩く叱責の音が会議室の外まで聞こえた。
僕も例外じゃなかった。
数人でやるべき仕事を、副担当者も無しで、1人でやっていたことが問題になったのだ。
僕はその場で、泣きそうになりながら、日頃考えていた”最高の”業務プロセスをぶちまけた。
反応は思わぬものだった。
提案した業務プロセスが採用され、プロセス変更のため無理難題が乱れ飛ぶ。
狼狽、怒号の中、僕には明日が見えた。
職場のそれぞれの人が、生き残りを賭けてそれぞれの思惑で動く。
表面上協力を約束をしながら敵対する者。隠された技能を発揮しようとする者。愚痴を言いながらも協力してくれる者。
僕は頭を下げ、おべっかを使い、怒りを噛み殺して…
それでも、あと少しというところで、非協力的な先輩により業務改善案は実現不可能になる。
何もかもが失敗だらけの駄目な僕は、苦しくなる程考え抜いた。
全てを失っても自分の価値は消えはしない。自分の価値は自分が決めるのだから。
そう思ったら、胸のつかえが無くなった。
決意を決めた僕は、元凄腕プログラマーの派遣社員の協力を得て、乾坤一擲の秘策を実行しようとするのだった。
というわけで、
今週も僕の日常はとっても平和です。。平和です。
っていうか夜中に小説書いてていいのだろうか。
やばい。