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宇宙の卵(ソラノタマゴ)  作者: しゃくとりむし
第3章 心を求めて [後編]~コリュ~
73/85

憧景

照明を消した部屋の中、静か呼吸をしながらラノミナは過去をなぞっていた。つい最近まで続いていた、沈鬱な灰色の日々。


ユニがあんな風になってしまってから、駄目になってしまっていた。落ち込んでいてはいけないことがわかっていても、感情がどうにもならなくなって、皆を傷つけた。


「でも、ゴフレードが変えてくれた」


振る舞い、動作、陰のある笑顔。全てに心が高鳴った。

苦しいようなこの想い。嫌じゃない。


もし、陰鬱で不気味なあの宇宙船を探索していなかったら、

ゴフレードを見つけることができなかったら。


私はここに、このようには居られなかった。



「…ありがとう」




ラノミナは感謝した。ゴフレードに、出会えた運命に。



幸せだった。確かな幸せだった。




もっと近づきたい。あの人に。



時折みせる影のある表情。もの想いにふけっている時の不安そうな顔。


そんな部分まで全部好き。

恋というものがあるのなら、こういう感情を言うのだろう。




「明日も会いに行こう…」











◆◆◆






眠れず電灯をつけて研究資料を確認する。



「こんなことより寝た方がいいよな」



セノアーはそう一人ごとを呟いた。



起きていれば想うのはラノミナの事ばかり。自分と同じ銀の髪。澄んだ瞳。強気な態度や言葉。みんな好きだった。



そのラノミナは最近この宇宙船に来たゴフレードに夢中だ。ゴフレードは悪い奴じゃない。自分が知らないことも知っていて、話も面白い上、態度も紳士的で、寧ろ完璧な人間だ。



自分より男として数段上だよな…。

そう思うと、心臓のまわりが麻痺したような感覚がしてきた。



「研究資料の確認1つしか終わってないじゃないか」



集中力がまるでない。手は完全に止まっていたようだ。やはり、さっさと寝るべきだ。



こうなることは予測できていた。

自分はラノミナの幸せだけ望んでいた。

ラノミナは幸せになった。



いいじゃないか。何が問題なんだ。




自分の気持ちはわかっていた。何が問題かもわかっていた。


でも、それを認めて言葉にするのが怖かった。


怖いから、わからないままにしておきたかった。















この物語は恋愛物語ではないのです。ちなみに私の恋愛経験は片思い1回だけです。その他には、好かれてご飯に誘われて、その後すぐに振られるという奇妙な体験をしたこともあったけど。

あ、読者にとってどうでもいい情報を書いてしまった。ごめんなさい!


あ、ちなみに、僕は変な人です。

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