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宇宙の卵(ソラノタマゴ)  作者: しゃくとりむし
第3章 心を求めて [前編]~ゴフレード~
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凍てつく体

ゆっくりと機械の体をカプセルの中に横たえる。人間のコールドスリープのために造られたこのカプセルは、自分には不要なのかも知れない。でも、そこに入りたかった。この期に及んで、なお、人でありたいと少しでも望みを残しているのだろうか。



ゆっくりと体が冷えてゆく。集積回路の伝導率が冷却によって向上し、頭脳だけが明晰になっていく。



聴覚も、触覚も、視覚も電源ごとオフにした。



…僕はどこから間違ってしまったんだろう。




ゴフレード。その名前を貰った時から?あの憎たらしい男を刺した時から?




思い返しても、はっきりとはわからなかった。




明確に言えるのは、人間に対しての失望。




失望が大きくなるにつれて、心が摩耗し、荒んでいった。



人間は神じゃない。不完全なのは当たり前だ。



しかし、何か素晴らしいものがあるんだと、昔の僕は期待していた。



胸に痛覚の刺激を感じた。ゴフレードは全ての感覚を電源ごと切った。



暗闇の中、重力さえ感じない。



もしも、あの男を助けていたら。もしも、自分が生まれていなかったら。



いろいろな”もしも”が、頭を廻る。無駄な事だとわかっていても。



今なら言える。シリコンの死なない肉体は、人間の心には重すぎる。だから、神のように死ななくても、ゴフレード「神の友人」ではいられない。ただ、心が朽ちて悪魔になるのみ。



あの憎たらしい男を皆で刺殺した時、それを皆で黙認した時。全員が悪魔に落ちたのかもしれない。僕は、そのことが耐え切れなかっただけ…ではなかろうか。あの時、だれも悪くはなかった。ただ全員が共犯者になっただけだ。誰にも咎は無い。



暗闇の世界で、ゴフレードは首を振った。



醜い言い訳だ…











責任は誰にあるか。時系列で関与した人の動き、思考をトレースすれば、責任の所在は明らかにできるだろう。機械の頭脳を持つ私には可能だ。




だが、幾ら考えても、途中で思考が途絶えてしまう。



一番悪いのは自分だ。



その考えが思考を遮る。




汚いケダモノを消しただけだ。




そう呟いて、ゴフレードは自分自身の電源回路を全て遮断した。




心は暗闇に包まれたまま、停止した。




















シーンごとにページを分けてしまってゴメンナサイ。

でも、書きやすいのです。。

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