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元気に。
あれから、ラノミナとは上手く話せない。
…
僕はどうしたらいいのだろう。
ここ数日。僕はそんなことばかり考えていた。
◇◆
「あっ。ラノミナ」
ラノミナと目が合う。何か話そうと考えるが、話だす前に目を背けられてしまった。
「…ごめん」
ラノミナは目を伏せたまま、一言だけ発して、小走りに走って行ってしまった。
「はぁ~。元気だしてって。それぐらい言えよな~」
頭を掻きながらセノアーは自分の不器用さを責めたのだった。
「ねえっ!」
声の方を振り向くと眉間に皺を寄せたリィリス船長の姿があった。船長もラノミナのことが心配なのだろう。
「リィリス船長!!」
困り顔をしていたリィリス船長の顔が、にやっと笑った。
「さっきの見てたよっ。ねえっ。セノアー。私はラノミナを元気にしたいのっ。もちろん、協力してくれるよねっ。」
リィリス船長の急な表情の変化に戸惑いつつ、セノアーは「もちろん」と返事をしたのだった。
「じゃあ、またっ。13時にミュエネの部屋ねっ。」
リィリスは大きく手を振った。