闇を進む船長の冒険 2
暗くて狭い通気管の中を這って進む。時折遭遇する通気口からペンライトを使って外を見る。休むひまは無い。事態は一刻を争うのだ。手遅れになる前に、なんとかコリュとゲンを説得しなければいけない。
リィリスは通気口を覗き込んだ。ペンライトを使って辺りを探る。居住空間か、機械室か、、特徴的な実験室とかなら、場所がはっきりわかるのだが。
「この方向でいいはずっ。」
そう呟いて、頷いて先を急いだ。さっき見た部屋はまだ居住スペースだった。ゲンが普段居る場所は、居住スペースから離れているので、まだまだ先だろう。正直なところ、正確な自分の位置を把握できていない。このまま、道に迷って、ゲンに会えない可能性も考えると不安に負けそうになる。
通路は思った以上に入り組んでいた。
「また、二手にわかれているっ。。」
通気管の中を這っているから宇宙船が広く感じるのだろうか。かなり進んだ気もするが、目的とする場所にはたどり着けない。でも進むしか無いのだ。
◆◇
― その頃、ミュエネとセノアーは…
「ミュエネ。僕もこの通気口に入るよ。このまま手をこまねいていることなんてできない。」
手をそわそわと動かしながらセノアーが言う。
「焦らないで。ラノミナとナタークには、コリュやゲンみたいな特別な技能は無いから。ユニを守るといっても何もできないと思う。おそらく、私達のようにどこかに閉じ込められているかもしれない。リィリス船長を待とう。」
「わかってる。落ち着かないんだ。何もできないなんて。」
セノアーは焦点の合っていない目を左右に動かした。
「セノアー。悪いけど、あなたは通気口に入れる体の大きさじゃ無いでしょ。何もできないの。」
そう言われてセノアーは下を向いた。
「…。」
「お腹空かない? 食べ物を食べれば気分が落ち着くよ。私が何か作ってあげる。」
ミュエネは優しい笑顔で微笑んだ。
◆◇
その頃、リィリスは変なものを見つけていた。
「何あれ、気持ち悪い。」
通気管の先は小部屋に繋がっていた。その小部屋に無数の黒い機械が赤い光を発して蠢いていたのだ。
赤い光の中で浮かびあがるあの機械。コリュが見せてくれた映像にあった靴下を盗む機械だ。これほどの数が潜んでいるとは…
私たちはこの宇宙船のことを何も知らないのかも知れない。こんなものだ潜んでいたなんて。
黒い機械は其々が6本の脚をゆっくりと動かしていた。
鳥肌が立った。体全体がむず痒くなる。
…あの機械は生理的に嫌いだっ。
そう思ったリィリスは静かに音を立てないように後ずさりをした。