犯人はピンク色 1
リィリスとコリュは、休憩談話ルームの扉を開けた。
一番奥のテーブルから、ゲンが見つけて手を振る。みんな集まっているようだ。
「コリュっ。行こうっ。」
リィリスとコリュは駆け出した。
◇◆
「まず、謝りたいのですっ。セノアー、ゲン、ナターク、ラノミナ、ミュエネっ!みんなごめんなさいっ。」
そう叫んでリィリスはペコリと頭を下げた。
「まあ、わかればいいのよ。わかれば。コリュにも謝ったもみたいだし、今回は、まあ、いいわ。」
ラノミナは顔を背けながら、そう言った。
「みんなもいい?喧嘩はいやだし、リィリスもわかってくれたみたいだから、良しとしましょう。」
ミュエネがそう言うとみんな頷いた。
… もっとどきどきするような事態になるかと心配していたけれどっ。謝ってみると意外にも、簡単にすんだ。本当に許してくれたのっ?まだ怒ってない??… まだ、不安。。
「リィリス船長。仲直りしたから大丈夫。さあ、椅子に座って。コリュさんも。」
リィリスの不安気な顔を察して、ナタークが気を使い、言葉をかける。
「うんっ。ありがとうっ。」
これから。これからが大事。失った信頼は取り戻せばいい。
皆に許してもらえた。それだけでも、大きな一歩のはずだからっ。
…
「みんな揃いましたことやし、始めまひょか。」
ゲンが笑いながらそういった。
ラノミナも頷く。
「そうね。この前は途中で終わっちゃたからね。船長さん?靴下の問題を、どうするか考えている?」
「うんっ。私に考えがあるのっ。」
リィリスは自分のアイデアを説明しはじめた。
「未知の事象に対して、情報が少なすぎると思うのよっ。今持っている情報じゃあ、判断なんてできないっ。だから、まず、情報収集をしてみたいのっ。私は、ここにいるクルーの誰かが盗んだなんて思わないっ。それ以外の可能性をまず検討したいんだっ。」
「具体的にはどうする予定なん?」
「そうねっ。靴下が無くなる現場を押さえるのっ。カメラかなんか置いて、コアニーに見ててもらうとか…かなっ。」
ラノミナが手を挙げる。
「ハイハイ! カメラなら私の部屋にあったわ。」
「せやな。配線はわてがやっちゃるわ。」
ゲンも張り切って頷く。
「じゃあ、コアニーを呼ぶ?」
ラノミナが鞄から端末を取り出そうとすると、
コリュが小さな声で呟いた。
「コアニーに頼まなくても、こっちの部屋まで映像を飛ばせる。」
ミュエネは「パチッ。」と手を打った。
「じゃあ、これで決まりね。セノアーの部屋にセノアーの靴下を仕掛ける。それを餌におびき寄せて、ラノミナのカメラで作成する。それを、この部屋でみんなでみる。配線はゲン。遠隔操作とソフトウェア関連の準備はコリュね。」
リィリスは、頷いた。
「ありがとう。みんな。」
「ちょっと、なんで僕の靴下なんですか!」
セノアーが抗議する。
「一番靴下盗まれているからですよ。」
「ちょっと待ってくださいよ~。ただでさえ、靴下少ないんですよ~。」
「いいじゃない。全部無くなっちゃたわけじゃないし、一年経てば、少しは供給されるでしょ。」
「そんな~。」
この宇宙船に、日常が戻ってきた。
靴下事件は解決できるのだろうか。
刺激ある展開が欲しいなあ。一人、また一人と消えていって、リィリス一人になっちゃうとか。いかんいかん、それをやってしまうと、ホラーになってしまう。物語も終わってしまうではないか。宇宙船が故障して、食糧の配給が止まり、乗り組み員たちはサバイバルを始める。。とか。ぎゃー。これもお話終わっちゃうし、残虐描写有りになっちゃうよ。… ブツブツ…