船長は誰のために 4
ゆっくりとコリュの部屋のドアを開ける。
コリュの部屋は薄暗かった。
机の上のライトがだけが、部屋の半分だけに光を届けていた。
コリュは布団に丸まっているようだ。寝ているのだろうか。
「コリュっ。」
恐る恐るそう呼びかけてみる。
…反応が無い。
「コリュっ!コリュの端末を届けに来たのっ!…それに私、謝りたいのっ!」
大きな声で叫んだ。
しかし、反応が無かった。無視、されているんだろう。
リィリスは泣きそうになり、一歩後ずさった。
… ここで逃げたら、コリュと永遠に仲直りできない気がする。
「酷いこと言ってごめんなさいっ!コリュっ!!」
そう叫び、リィリスは布団ごとコリュに抱き着いた。
ギュッと力を込める。
コリュが確かにいる感触がある。
仲直りはできていないけれど、コリュのすぐ傍にいるだけで安心できる気がした。
抱きしめながら呼びかける。
心が震えて涙がでてくる。
「コリュ。。ごめん。コリュを傷つけるつもりは無かったの。。…ッ… グジュグジュ…もう、靴下なんてどうでもいい。…ッ… コリュと一緒にいられればそれでいいの。。」
布団を掴みながら泣きじゃくる。でも、コリュの反応は無かった。
「コリュが私のこと嫌いになっても、コリュを絶対離さないっ…!」
!!!!
固く閉じていた布団がパッと開いた。コリュはリィリスを布団で包み、ベッドに押し倒した。
「コリュっ。ごめん!!」
「いいよ。…もう怒ってないよ。」
リィリスはコリュも首に抱き着いた。
「ずっと一緒にいてくれる?」
コリュは頷いた。コリュの目は赤く腫れていた。コリュも泣いていたのかもしれない。
コリュとリィリスはしばらくそのままでいた。
コリュの呼吸の音を聴いていると安心できる。
私、仲直りできたんだ。。
ずっとこのままでもいいかもしれない。
でも、やらなきゃいけないことが他にもある。
このままではいられない。
リィリスは呟いた。
「そろそろ、行かなきゃ。ラノミナや他のみんなにも謝らなきゃいけない。」
コリュはリィリスの服を掴んだ。
「行っちゃうの?」
「うん。行かなきゃダメなのっ。皆にひどいことしちゃったから。」
「一緒に行く?」
「これは、私に対しての責任なのっ。だから一人で行かなかきゃいけないのっ。」
リィリスはベッドから降りた。
コリュも目を擦りながら起きあがった。なんだか、寂しそうな気がした。
「一人で謝らなきゃ意味が無いっ。… でも、ミュエネの所まで一緒に行こう。休憩談話ルームで待ってて。」
コリュは頷いた。
そして、コリュとリィリスは、一緒に顔を洗い、一緒にミュエネの部屋に向かった。