表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
宇宙の卵(ソラノタマゴ)  作者: しゃくとりむし
第2章 船長の風格 ~ リィリス ~
33/85

船長は誰のために 2

リィリスは部屋のライトを点けると、コリュの端末を机の上に置いた。


「コリュ。」


深い呼吸をする。

腕に力が入っていたことに気が付き、力を抜いてだらりと重力のままに垂らす。

いつもは気にならない人工の照明が、なんだか刺々しい気がする。


一日の事を振り返った。

気持ちが甦り、胸が苦しくなった。

体も心も疲れている。

リィリスは照明を点けたまま、ベッドに潜り込んだ。


ベッドに入っても胸の苦しみは無くならなかった。

この重い気持ちのために、寝むることはできなかった。


寝つけなかったリィリスは、端末の電源を入れて映画を見ることにした。


布団に包まったまま、虚ろな目で画面を見つめた。




◇◆



「航路の行方」映画のタイトルだ。


ライナスは貴族の家系に生まれた青年だったが、放蕩の限りを尽して、父親から戦艦の艦長として乗船するよう命令を受ける。


やる気も船乗りの経験も無いライナスは、部下達の笑いものにされてしまう。彼らを罰しようとするが、逆に苛めを受けて遂には海に突き落とされてしまう。


溺れて、沈みかけたライナスを、一人の老水兵が海から救いあげる。


「お前さん、船の上で意地を張りなさんな。」


ライナスは老水兵のアドバイスのもと、徐々に信頼を取り戻していく。


そんな折、戦争が起き、ライナス達の戦艦も駆り出される。


戦争を甘くみていたライナスは無茶な作戦を敢行し、老水兵をはじめとする仲間の多くを失ってしまった。

自身も深い傷を負い、病室に寝かされていたライナスは、死んだ乗り組み員たちの夢をみる。


「ヲォー!!  ヲォー!!」


ライナスは頭を抱え、叫んだ。


国に戻り療養を終えたライナスは、足を引き摺りながら、真っ直ぐと前方を睨みつけて歩き出す。


「大事なものは、もう戻らない。」


そう呟いて、新たな戦艦に乗り込むのであった。



◇◇







評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ