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宇宙の卵(ソラノタマゴ)  作者: しゃくとりむし
序章 何かが欠けた宇宙船
3/85

ハイイロタマゴ 3

ソラノタマゴの中からは測定機器を通してしか”外の世界”を見ることはできない。どんな宇宙の事象も新鮮で愛おしいものに感じる。でも、触れることは一生ない。「世界はただの”物質や法則”でもそれはとってもキレイ」もっと世界を自由に感じたい。それだけが私の望み。

                ~ ラノミナ・フュサリュー ~ 




 デスクの上から今日も一日が始まる。モニターに映し出される電波望遠鏡のデータを見ていたら気が付かないうちに寝てしまったようだ。まあ、いつものことなんだけど。


「おはよう。ラノミナ。スケジュールをちゃんとしなさいと何度言ったらわかるのですか。」


 モニターから声が聞こえる。教育プログラム「コアニー」だ。どうやったらこのプログラムをOFFにできるんだろう…


「いいじゃない。どこで寝ても一緒でしょ。」


…服がよだれで汚れちゃうのは嫌なんだけれどね。


「スケジュールを作ったことすらないなんて人間失格ですよ!ほら、早く顔を洗って朝ごはんを食べてください。」


「え~。面倒だなぁ。嫌だ。別にいいじゃない。」



 「コアニー」は機嫌を悪くしたようだ。部屋の灯り、測定機器、記録機器の電源を次々に切り始めた。…ちょっと意地悪をしすぎたようだ。


「わかった!わかったわ。一旦、部屋に帰るからそれだけは止めて!」



 部屋に戻り2週間ぶりのシャワーを浴びた。水が冷たく感じた。感覚器官から直接、物質の状態を把握することはこんなに気持ちがいいことなんだ。


 宇宙のどんな壮大な現象も、宇宙の法則に沿って起きただけのことだ。この私だってただの物質でエネルギーの流れの一部でしか無い。でも、私にとってこの世界はとってもキレイで愛おしいものに感じる。嫌いなものを見つけるのが難しいくらい。


 できれば、ソラノタマゴの岩石で覆われたガッチリした殻の中からではなくて、体全体で宇宙を感じたい。モニター越しでなくて、自分が事象に干渉できるくらい。近くで、もっと自由に。それが私の叶わない望み。



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