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宇宙の卵(ソラノタマゴ)  作者: しゃくとりむし
第2章 船長の風格 ~ リィリス ~
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靴下事変 1

あれから、気軽に話せる仲になるまで、そんなに時間はかからなかった。だって、この世界ソラノタマゴには7人しかいないのだから。そんな、ある日、事件が始まった。





「やっほーっ。ミュエネっ。」


「今日はいつもより早いですね。リィリス船長。」


いつものように席につく。毎日1回は、こうしてミュエネの部屋に行こうと決めている。私は船長だし…。他のみんなは、来なかったり来たりばらばらだけど、誰かは来ていることが多いかな。


「お飲み物でもいかがですか?」


「じゃあっ。野菜ジュースでっ」


ミュエネの作る料理はおいしい。食品ラインで自動的に製造されるものとは一味もふた味も違う。特に、野菜の栽培からこだわったこの野菜ジュースは格別だ。なんでも、培養液ではなくて土を使って栽培しているらしい。


「ぷふぁ~。おいしいな~っ。」


「ふふ。ありがとうございます。」


平和な日々、いつまでも満喫したいなぁっ。




リィリスが2杯目を飲み干した時、ラノミナが部屋に入ってきた。

部屋に入るなり、ラノミナは大声をあげた。


「ふ~。はァ。はァ。事件よ!!これは事件よ!!」


ラノミナの顔は紅潮している。相当慌てて走ってきたようだ。怒っているのかもしれない。



「どうしたんです?」


ミュエネが尋ねる。


「私の靴下が盗まれたの!!絶対盗難よ!!変態がいるのよ!」


足元を見ると、靴下を片方の足しか履いていないようだ。


「ナタークよ!きっと。セノアーかもしれない。絶対、とっ捕まえてボコボコにするんだから!」


物騒なラノミナの発言にミュエネは狼狽しているようだ。


「ラノミナ。落ち着いて。私も、今日、靴下を無くしたよ。よくあることだと思うよ。ほらっ、洗った後に片方の足づつバラバラになっちゃうから、無くなりやすいんだよ。」


「でも、ロードロックシステムが解除される前は一度もなかったの。解除されてから、靴下が無くなったのはこれで5度目よ!毎日よ!このペースで行くと私の靴下は1か月で底をついちゃう!」





「ふぁ~あ。眠い。」


コリュが入ってきた。朝からずいぶん時間が経っているのに随分眠そうだ。目をごしごしこすってるし、だらしがない恰好をしている。シャツが出ているし、頭はボサボサ。靴下も片方しか履いてない。。。履いて無い。 靴下!!


「コリュっ。靴下はどうしたのっ。片方しかはいてないけどっ。」


「無かった。」


「コリュも盗まれたのっ?」


「わからない。」


そう言われれば、私自身の靴下も、随分数が減っている。。気がする。あんまり普段から気にしていないことだからよくわかんないやっ。


「ナタークめ~~。」


ラノミナ的にはナタークが犯人らしい。完全に決めつけちゃっている。




そのナタークが頭をポリポリ掻きながら入って来た。


「あ。みんな~。私の靴下みてないですか。ちょっと無くなっちゃって。」


申し訳なさそうに尋ねた。


「ナターク!あなたがやったんでしょ!自分も無くしたなんて白々しい!」


ラノミナがくってかかる。


「私は何も。。…ラノミナさんも靴下なくしたんですか?」


「あなたと一緒にしないでよ!!っていうか犯人はあなたでしょ!」



う~む。これは事件だ。大事件のようだ。質量保存の法則が保たれているこの船内で、靴下が消えるとは。





「これは由々しき事態ねっ。全員召集をかけることにするっ。」


リィリスは、明るく嬉しそうな声で召集を決定した。







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